グルテンフリーを超える?フォドマップ食
過敏性腸症候群や炎症性腸疾患のお食事法の一つとして注目されているのが低フォドマップ食。
フォドマップ(FODMAP)とは、F(Fermentable:発酵性)、O(Oligosaccharides:オリゴ糖)、D(Disaccharides:二糖類)、M(Monosaccharides:単糖類、And、P(Polyols:ポリオール)の頭文字をつなげた造語です。
フォドマップ食に含まれる発酵性のオリゴ糖、2糖類、単糖類、ポリオールは、小腸を通過する時に腸内細菌で分解され、水素ガスなどを発生させます。消化不良の時のおならをイメージすると分かりやすいですね。
こうした食べ物から発生するガスは腸管から吸収されにくいので、腸管の内部の浸透圧を上げることにより、腸の中に水を引き寄せることになります。またこうした食材は小腸で吸収されにくいので、大腸内に長く留まることになります。結果として腸が刺激されることにより下痢や便秘などが生じてしまうのではないかとされています。
●「高フォドマップ食」に該当する食材
オリゴ糖:食物繊維を多く含む穀物類、豆類、玉ねぎ、ニンニク、アーティチョーク、レンズ豆、ひよこ豆、ブロッコリー、芽キャベツ、大豆製食品
2糖類:牛乳、ヨーグルト、柔らかいチーズ類 、アイスクリーム
単糖類:マンゴー、スイカ、えんどう豆、ハチミツ、アガベシロップ 、異性化糖
ポリオール :サクランボ、ネクタリン、リンゴ、梨、キノコ、カリフラワー、甘味料 (キシリトール, ソルビトール)
●「低フォドマップ食」に該当する食材
果物:バナナ、ブルーベリー、グレープフルーツ、レモン、ラズベリー
野菜:人参、セロリ、さやいんげん、じゃがいも、かぼちゃ、ズッキーニ
穀物:グルテンを抜いたパンまたはシリアル、米、オーツ麦、タピオカ
乳製品:ラクトース抜き牛乳・ヨーグルト、ハードチーズ
その他:豆腐
ただしオリゴ糖に反応しやすい人がポリオール、単糖類や二糖類にも反応しやすいわけでもありません。フォドマップを上手に導入するには食事療法に詳しい方と一緒に様々な試行錯誤をしていく必要があります。
やはり全ての人に対して絶対的に効くお食事というのは世の中には存在していないからです。例えば、世の中にはグルテンフリー食や乳糖フリー食など様々なお食事法があります。ですから自分に合ったお食事は何なのかを探して真摯に病気と向き合っていく努力が必要だと思います。食物過敏性検査はこうしたことを見つけやすくしてくれる可能性があります。
今日も最後までお読みくださいましてありがとうございました。
もう少し過敏性腸症候群とフォドマップ食についてお知りになりたい方は菰池先生との対談をご覧ください。
〔大友“ピエール” 博之〕
日本のみならずロサンゼルス、フランクフルト、香港、バンコクに拠点を持ち、個別化医療(precision medicine)を実践している。免疫栄養学に基づいた食事指導、ホルモン補充療法、運動療法を取り入れた治療で定評がある。
・ 医師 日本抗加齢医学会専門医 / 欧州抗加齢医学会専門医 / 日本麻酔科学会専門医
・ 西洋薬膳研究家、シェフドクターピエールとしても活躍中
・ 渋谷セントラルクリニック代表
・ 一般財団法人 日本いたみ財団 教育委員
・ 料理芸術や食の楽しみといった価値感を共有するシェフなどが集う日本ラ・シェーヌ・デ・ロティスール協会のオフィシエ
・ ワインにも造詣が深く、フランスの主要産地から名誉ある騎士号を叙任している。
シャンパーニュ騎士団 シュヴァリエ / ボルドーワイン騎士団 コマンドリー /ブルゴーニュワイン騎士団 シュヴァリエ