“世界でもっとも健康的な食材50″にもランクイン「ギー」 ぎー
ギー(Ghee)は、牛や水牛、ヤギなどの乳を加熱して溶かし、発酵させた後に凝固させて作る黄金色をしたバターオイルの一つです。発酵無塩バターとも呼ばれ、インドやスリランカなど南アジア地域では調理に使われるほか、宗教的な儀式にも用いられます。
アメリカのTIME誌で「世界でもっとも健康的な食材50」に選定されたこともある食材です。
栄養素
ギーの成分の99%以上は飽和脂肪酸と呼ばれる脂質です。一般的に、飽和脂肪酸は動物の肉や脂肪、乳などに多く含まれる悪い脂質と思われがちですが、ギーの脂肪の多くは短鎖脂肪酸もしくは中鎖脂肪酸と呼ばれる脂質で、摂り方によっては体の健康に役立つ脂質といえます。
短鎖脂肪酸や中鎖脂肪酸は、体内で比較的エネルギーに変わりやすい特徴があり、少量で多くのエネルギーを生み出すため、スタミナやエネルギーの維持に役立ちます。また、運動などをしっかり行えば、体内にも蓄積しにくい脂質と考えられます。
また、ギーに多く含まれる脂溶性ビタミンのビタミンAやビタミンEには粘膜の保護や活性酸素の除去効果など健康に役立つ働きがあります。ただし、カロリーが高いため、摂り過ぎには注意が必要です。
ギーの主な栄養成分(100gあたり 大さじ5~6杯程度)
・エネルギー……897kcal
・脂質……99.7g
・炭水化物……0g
・ビタミンE……1.49g
・ビタミンA……776.45㎍
効能・効果
疲労回復、体力の向上
ギーの主成分となる短鎖脂肪酸や中鎖脂肪酸は、牛や羊など反芻動物が、草などを消化して作った動物のエネルギー源となる成分です。少量でも大きなエネルギーを短時間で燃焼させることから、疲労回復や体力の向上に役立ち、比較的脂肪になりにくい性質があります。
皮膚や粘膜を強くする
ギーに多く含まれるビタミンAは、皮膚や粘膜を強くする働きがあり、風邪やインフルエンザなど感染症を予防する効果があります。また、ビタミンAが不足すると夜盲症(鳥目)や視覚異常を起こすことがあります。
ただし、摂り過ぎると脂肪肝や肝機能障害を起こす恐れがあるため、注意が必要です。
抗老化作用
ギーに含まれるビタミンEは抗酸化作用が高く、細胞の老化を予防し、免疫力を高める働きがあります。また、血流を改善し、美肌効果も期待できます。
東洋医学的側面
・寒熱:温(緩やかに体を温める)
・昇降・収散・潤燥:昇(気や熱を上昇させる)
・臓腑:脾、胃
・五味:甘(補い滋養する作用)
・毒性:無毒
エネルギーを作り出し、疲労を回復する
体力増強、血を養う
胃腸機能の回復
栄養素を上手に摂るための保存方法と調理方法
調理油脂として炒め物などに利用したり、パンに塗ったり、ピザなどにトッピングしたりして食べると滋養がつきます。
インドではマッサージ用のオイルとしても利用されているようです。冷蔵庫で保存します。油脂が参加するため、開封後はできるだけ早く使い切りましょう。カロリーが高いので、摂り過ぎには注意が必要です。