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乳糖不耐症の人に対するインドの伝統乳ギーの効能

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1904年にジャコモ・プッチーニのオペラ『蝶々夫人』がミラノ・スカラ座で初演されました。
蝶々夫人の舞台となるのが19世紀末の長崎。日本のどの都市よりも異国情緒にあふれていたであろう長崎の食べ物の代表格といえば、牛乳をはじめ、バターチーズなどの乳製品でした。

今では日本中どこででも乳製品を取ることができますが、第二次世界対戦が終わるまでは必ずしも一般的な食べ物ではありませんでした。19世紀になってからオランダから長崎に持ち込まれたバターやチーズは医薬品扱いされていたようです。

DR大友はある時から乳糖不耐症になってしまったため、好物にも関わらず最近ではあまり乳製品を得意としていません。

今日はチーズやバターに含まれる乳糖の量について考察してみたいと思います。

そもそも乳糖不耐症とは何かということから。
小腸から分泌されるラクターゼという乳糖分解酵素が不足していることによって、乳糖をグルコースとガラクトースに分解することができないこと。
乳糖を分解できないとお腹が痛くなったり、水っぽい下痢になってしまったりすることが多いです。
ちなみに正常に分解できる人はこれをエネルギー源として利用することができます。

生まれたての赤ちゃん~5歳ぐらいまではラクターゼは多く分泌されるので母乳が飲めないということはありませんが、大人になるにつれてラクターゼが分泌されなくなって来る可能性があります。
これまでは下痢にならなければあまり問題ないとされてきましたが、人によっては分解されない乳糖による腸管の粘膜が傷つくことによって体内に慢性的な炎症を引き起こす可能性があることが話題になっています。

牛乳には多くの乳糖が含まれているので、乳製品をうまく分解できなくなってきた大人はチーズやバターなどをうまく使う必要があります。

熟成チーズは乳糖があまり含まれていません。というのもチーズを熟成させている過程で乳糖が分解されるからです。
同様に、十分に発酵されたヨーグルトも乳糖が含まれる割合が少なくなっています。
とはいっても70%くらいは乳糖が残っているので、腸内環境が荒れている場合は反応してしまう可能性は高いです。

・ハードチーズ:製造過程で乳糖が失われるので、乳糖不耐性の人でも食べやすくなっています。
  パルメザンチーズやグリュイエールチーズなどが有名ですね。
・セミハードチーズ:ハードチーズよりは乳糖が多く含まれます。
  マンチェゴチーズやカマンベールチーズなどが有名ですね。
・フレッシュチーズ:カッテージチーズやモッツアレラチーズは乳糖を多く含むので注意が必要です。

乳糖不耐症の人がバターを食べたい場合は乳糖を含まない純粋な乳脂肪から作られたものが最適。
その代表格がインドの伝統医学であるアーユルヴェーダでも重要な役割を持つギー

『ギーは、インドを中心とした南アジアで古くから作られ、食用に用いるバターオイルの一種。
乳脂肪製品ギーは発酵無塩バター(インドでは「マカーン」と言う)を煮詰め、水分や蛋白質を取り除き、純粋な乳脂肪となっている。』とされています。

バターの栄養成分としてはビタミンAビタミンDが知られていますが、ギーには他にも共役リノール酸なども含まれているので健康に対する効果もより期待することが出来ます。
乳脂肪分から作られているとはいってもカロリーもほとんど変わることがありません。
バターが
大さじ1杯あたり102キロカロリーに対してギーは112キロカロリーです。
また煙点が高い(ギーは230℃、バターは180℃)ので揚げ物や炒め物にも向いています。

DR大友のお手製 「ギーを使ったうどの炒め物」

DR大友のお手製 「ギーを使った舞茸、えのき茸ぶなしめじの炒め物」

乳糖不耐症に関しては賛成意見、反対意見もありますが、
乳製品が食べられるようになってまだ1世紀強しかたっていないわけですから、腸が乳製品を上手に処理できない人もいると思います。

いずれにしてもそれぞれの人にとって腸内環境に良い食材を選択していただくことがDR大友の願いです。
言うまでもなく乳糖だけで消化管が悪くなるのではなく、アルコールや過度な肉食など暴飲暴食、腸内細菌の悪さなど様々な要因によって腸内環境は悪化します。
ですから普段は乳糖が問題ない人でもお腹の調子が悪い時はバターをギーに変えてみたり、フレッシュチーズの代わりに熟成したチーズを食べるなどお腹に優しい選択を日々していくことが重要だと思います。

今日も最後までご覧いただきありがとうございました。
もう少し乳糖不耐症についてお知りになりたい方はニャンコちゃんのお話をご覧ください

 

〔大友“ピエール” 博之〕

日本のみならずロサンゼルス、フランクフルト、香港、バンコクに拠点を持ち、個別化医療(precision medicine)を実践している。免疫栄養学に基づいた食事指導、ホルモン補充療法、運動療法を取り入れた治療で定評がある。

・ 医師 日本抗加齢医学会専門医 / 欧州抗加齢医学会専門医 / 日本麻酔科学会専門医
・ 西洋薬膳研究家、シェフドクターピエールとしても活躍中
渋谷セントラルクリニック代表
・ 一般財団法人 日本いたみ財団 教育委員
・ 一般社団法人食の拠点推進機構 評価認証委員/食のプロフェッショナル委員

・ 料理芸術や食の楽しみといった価値感を共有するシェフなどが集う日本ラ・シェーヌ・デ・ロティスール協会のオフィシエ
・ ワインにも造詣が深く、フランスの主要産地から名誉ある騎士号を叙任している。
 シャンパーニュ騎士団 シュヴァリエ / ボルドーワイン騎士団 コマンドリー /ブルゴーニュワイン騎士団 シュヴァリエ  

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