⑭ 肝臓がん 食事療法の考え方

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【Dr.大友とDr.菰池の対談動画はこちらをclick】

Dr.大友  (渋谷セントラルクリニック総院長)
肝臓に優しいお食事をトピックスも含めてお伺いしたいと思います。
Dr.菰池的に肝臓に対して良いお勧めの食材ってありますか?

Dr.菰池 (たまち徳栄ビルクリニック院長)
肝臓の病気になっている方と病気を予防する方で少し考え方が変わってきてしまいます。今日は一般的なケース、つまり肝臓の病気でも比較的軽い方や肝臓の病気にならない予防目的の方に対してのお食事のお話を致します。

Dr.大友
前にお話をお伺いした際には、白米とかじゃなくて精製していない穀物だったり、お野菜海藻が大事というお話でした。こうしたお食事は肝臓の悪い人達にもお勧めできるものなんですか。

Dr.菰池
肝臓は糖分の代謝を行っている臓器なんですけども、糖代謝に際して負担をかけない時間を作る、つまり血糖値を一定に保つために血糖値の上がり下がりが少ない食品が推奨されています。そういう意味でも先ほどお話が出た穀物だとか野菜海藻類そういったものが望ましいと言われていますね。

Dr.大友
血糖が急にビュンと上がるお食事が肝臓への負担をかけてしまうこともあるということですね。

Dr.菰池
はい。

Dr.大友
日本は残念ながら食料自給率が40%台なので、大半の食材を残念ながら海外に依存します。そこでご質問ですが、海外からくると輸送の時間のことも含めて保存料だったり、農薬だったりのことも心配になるんですが、そういったことはどのように考えたらいいんですか。

Dr.菰池
もちろんお野菜に限らず食材は新鮮であればあるに越したことがないと思います。

Dr.大友
じゃあ新鮮であるってことはすごく重要。

Dr.菰池
だと思います。添加物がないとか精製されていないことも重要です。

Dr.大友
なるほど。本当の理想は地産地消のような感じになるのが理想なんでしょうか。

Dr.菰池
あ~そうかもしれませんね。

Dr.大友
冷蔵庫の性能は上がったけど、基本的にはフレッシュなものを早めに食べるのが理想

Dr.菰池
理想だと思います。

Dr.大友
僕がもう一つお伺いしたかったのはタンパク質のことです。
僕らが医学を学び始めた20年くらい前は肝臓の病気の人にはタンパク質はあんまり摂らせてはいけないみたいな風潮があったかと思います。最近、そうしたタンパク質の摂取に関して変化があるみたいですね。

Dr.菰池
これは約10年ほど前から少し考え方が変わっています。
これまではタンパク質を制限した食事が肝臓が悪い人には良いと言われていましたが、外国を中心に大規模な臨床試験が色々とされてタンパク質制限をする人としない人を比べても、特に肝臓の病気が進行するスピードがあまり変わらなかったということが知られるようになってきました。
肝臓の機能がよほど悪い方は別なんですが、一般的に肝臓の病気を進めないため、肝臓の病気にならないためという意味では良質なタンパク質を摂るっていうことが今はむしろ必要だと言われています。

Dr.大友
むしろ必要だったのですね。
良質ということはあんまり望ましくないタンパク質があるということでもあると思うんですが、今までのお話しだと脂身の多いお肉加工したお肉、ソーセージとかベーコンは避けた方がいいという話だったと思います。Dr.菰池としては具体的に良質なタンパク質というとどんなもの?

Dr.菰池
お魚ももちろんそうだったりしますし、鶏肉。いわゆる美味しくない部位とされるところかも知れませんけどささみや胸肉というのは割と良質だと言われていますね。

Dr.大友
お野菜、例えば大豆なんて畑のお肉って言われることもあるかと思うんですがどうですか。

Dr.菰池
いいと思います。

Dr.大友
アミノ酸スコアという概念からすると、様々なアミノ酸が含まれているという意味においては多分が一番良くて100、が70くらい、も70くらいでちょっと魚が少なくて、大豆は大分下がりますよね。

Dr.菰池
下がりますよね。

Dr.大友
そこら辺はどういうふうに考えたらいいですかね。

Dr.菰池
そればっかりを食べるわけではないのでなかなかどっちがいいどっちが悪いってのは優劣はつけなくていいんじゃないかと思います。
バランスよく摂るってことが日々のお食事では重要ですからね。一食だけで決まるわけではありませんのでバランスよく摂って頂ければなと思います。

Dr.大友
アルツハイマーとか認知症に対してはお魚を週3回以上摂ったほうが良いというアメリカの報告もあると思いますが、比率はどうしたらよいですか?
バランスよくとはお肉が少なめでお魚とかお野菜由来のタンパク質が多ければ多いほど良いってことになるんですか。

Dr.菰池
肝臓に限ってお話をすれば、動物性のタンパク質の方が体に悪い成分(脂肪分とか一種の糖類)が多く含まれていますので、脂肪肝がある方だったり、お酒を飲まれる方はお魚を召し上がる方が個人的にはいいのかなと思います。動物性の脂で余計な脂肪分を摂らないって言うことの方が大事かと思います。

Dr.大友
タンパク質の問題だけではなくて脂肪の側面もあるということですね。

Dr.菰池
そうですね。

Dr.大友
タンパク質と同じように良質な脂肪と良質じゃない脂肪が有るとすると、お肉は比較的酸化しやすい脂で、お魚やアボカドなどのお野菜のはどちらかというと肝臓を守る方に。

Dr.菰池
働いてくれる。

Dr.大友
なるほど。勉強になりました。

 

大友博之 渋谷セントラルクリニック エグゼクティブ ディレクター

日本抗加齢医学会専門医、日本麻酔科学会専門医、日本医師会認定産業医、国際抗加齢医学会専門医(WOSAAM)

免疫栄養学に基づいた食事指導、ホルモン補充療法、再生医療、運動療法を取り入れた新しい統合医療をベースにした診療で著名人にもファンが多い。最先端の西洋医学に通じている一方で、「鍼治療の魔術師」と呼ばれるほど鍼治療の名手で東洋医学にも造詣が深い。

またワインと健康食の愛好家しても名高く、ボルドー、ブルゴーニュ、シャンパーニュのワイン騎士団から名誉ある「シュバリエ」を叙任されているほか、料理芸術や食の楽しみといった価値感を共有する美食家が集う日本ラ・シェーヌ・デ・ロティスール協会の「オフィシエ」でもある。

菰池信彦 たまちホームクリニック院長

日本内科学会認定医、日本消化器病学会認定消化器病専門医、日本消化管学会認定指導医、日本肝臓学会肝臓専門医、日本ヘリコバクターピロリ学会認定感染症認定医、日本がん治療認定医機構がん治療認定医、日本カプセル内視鏡学会認定医、日本医師会認定産業医

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