② クローン病は10年の間に半分くらいの方が手術になる

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Dr.大友  (渋谷セントラルクリニック エグゼクティブ ディレクター)
クローン病は良くなったり、悪くなったりするという話を聞いたことがあります。

Dr.菰池(たまちホームクリニック院長) 
先ほどお話しましたけど、クローン病は難病指定されていて現時点では完治することがない病気です。
そのため良くなったり、悪くなったりを繰り返すというのがこの病気の特徴です。

Dr.大友 
活動期と寛解期という二つの時期があるということなんですね。

Dr.菰池 
活動期というのは活動性の炎症がある時期。
寛解期というのは症状が落ち着いて、ご本人としては治っているのに近い状態です
けれども、病気が再燃する可能性があるという意味で寛解という言い方をします。
完治ではなくて寛解ですね。

Dr.大友 
活動期というのはお腹が痛くなったり、下痢をしたり、症状が出やすい時期ですよね。

Dr.菰池 
そうですね。

Dr.大友 
治らないということなんですが、しっかりとお薬を飲んでいればお茶を濁せる感じではあるんですか?

Dr.菰池 
もちろん軽症の方は飲み薬だけで寛解状態を維持できる、いわゆる押さえ込むことも可能ですね。

Dr.大友
もし飲み薬だけで押さえ込めなければどうなるんですか?

Dr.菰池 
飲み薬だけで抑え込めない場合には注射のお薬を使います。
最近普及してきているのですが、生物製剤といって
免疫を抑えるようなちょっと強めの点滴、あるいは注射などのお薬も出てきています。
ほかにも皆さんあまり良いイメージを持たれていない方も多いのですが、ステロイド剤といって副腎皮質ホルモンも使用することがあります。

Dr.大友
それでも落ち着かないと色々な症状が出てきて、手術になったりすることもあるんでしょうか。

Dr.菰池 
はい。この病気の場合はいろんな場所に炎症が起きることがあるんです。

Dr.大友
腸とは限らない。

Dr.菰池 
そうですね。腸とは限らないで口の中、口内炎で発症する方もいらっしゃいますし、食道だったり胃の中だったり十二指腸、小腸、大腸、あるいは肛門ですね。
消化管といわれている管一本筋の管ですけどそこのどこに炎症が起きてもおかしくない。
そしてそれが一つの部位だけではなくて飛び飛びで炎症を起こしてしまうこともあります。

Dr.大友 
スキップリージョンですね。

Dr.菰池 
はい。よくスキップリージョンと聞かれたことがありますよね。

Dr.大友 
ひどくなってくると手術で何か症状が出たりするんですか?

Dr.菰池 
そういうケースもあります。

Dr.大友 
腸の壁がだんだん薄くなっていき、最後には食べ物の圧力に耐えきれなくて穴が開いてしまう?

Dr.菰池 
そうです。そうすると
緊急手術になってしまう方が中にはいらっしゃいます。

Dr.大友 
手術はだいたいどれぐらいのパーセンテージですることになるんでしょうか。

Dr.菰池 
今は新しいお薬がいろいろ出てきてるので手術までおよぶ方の比率はちょっと下がってはきているのです。
これまではクローン病を発症してから10年の間に半数くらいの方、半数以上の方がなんらかの手術が必要になるという風には言われていました

Dr.大友 
なるほど。それは慢性炎症を抑えるような生物製剤などのお薬が普及してきたということなんですね。

Dr.菰池 
はい。

Dr.大友 
ということはクローン病では手術が必要にならないように、病状が落ち着いた時期、つまり寛解期を長くしていくのが一番理想ということですか。

Dr.菰池 
はい。手術で完治するんであれば手術をすればいいという意見もあるかもしれませんが、
手術をするというのは腸に穴が開いてしまったとか、腸が細くなってしまったというのを一時的に治す治療でつまり根本的な治療ではありません。
クローン病は特に若い世代がなる病気ですので、手術をいかに回避してあげるか、避けてあげるかというのが我々医師の力の見せ所だと思っています。

Dr.大友 
クローン病は消化管の様々なところにできやすいという話だったんですが、できやすい場所とかあるんですか?
たとえば口の中よりは小腸にできやすとか。

Dr.菰池 
はい。大腸、小腸に起きる方が圧倒的に多いです。

Dr.大友 
わかりました。
このあとはクローン病はどのようにして見つけられ、診断されていくのかについてお伺いしたいと思います。

 

大友博之 渋谷セントラルクリニック エグゼクティブ ディレクター

日本抗加齢医学会専門医、日本麻酔科学会専門医、日本医師会認定産業医、国際抗加齢医学会専門医(WOSAAM)

免疫栄養学に基づいた食事指導、ホルモン補充療法、再生医療、運動療法を取り入れた新しい統合医療をベースにした診療で著名人にもファンが多い。最先端の西洋医学に通じている一方で、「鍼治療の魔術師」と呼ばれるほど鍼治療の名手で東洋医学にも造詣が深い。

またワインと健康食の愛好家しても名高く、ボルドー、ブルゴーニュ、シャンパーニュのワイン騎士団から名誉ある「シュバリエ」を叙任されているほか、料理芸術や食の楽しみといった価値感を共有する美食家が集う日本ラ・シェーヌ・デ・ロティスール協会の「オフィシエ」でもある。

菰池信彦 たまちホームクリニック院長

日本内科学会認定医、日本消化器病学会認定消化器病専門医、日本消化管学会認定指導医、日本肝臓学会肝臓専門医、日本ヘリコバクターピロリ学会認定感染症認定医、日本がん治療認定医機構がん治療認定医、日本カプセル内視鏡学会認定医、日本医師会認定産業医

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