⑦ クローン病の時に取るべきサプリメント

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Dr.大友
渋谷セントラルクリニック
エグゼクティブディレクター

クローン病の活動期というのは基本的に腸管安静、つまり腸を休めることが重要なので病院で断食をするのが良さそうだということ
がわかりました。活動期でない時はどんなものを食べるのが体に優しいのか、腸に優しいのかということをお伺いしたいと思います。
特にお野菜に関してはクローン病は一般的な常識と異なっているような印象もあるので、どんなものを食べたらいいのか特に気になります。

Dr.菰池
たまちホームクリニック院長

まず断食というお話がありました。お食事を食べない分、水分補給はしっかりして頂くのが大原則だと思います。こうした場合は
刺激物の入っていない飲み物という意味ではお水が一番だと思います。

Dr.大友
食べ物に含まれている水分の量は意外とバカにならないですよね。

Dr.菰池 
そうですね。お野菜には
繊維類が含まれているし、腸に良い食材という認識ですよね。ただ腸の病気を抱えていらっしゃる方、特にクローン病の場合は狭い狭窄してるところもある可能性があるという意味で、ちょっと考えて頂いた方がいいんです。

Dr.大友
例えば。

Dr.菰池 
やはり火を通すということと、胃腸に負担がかからない調理法で摂取して頂くことがいいかと思います。

Dr.大友
そうすると油で揚げるのはだめですよね。

Dr.菰池 
はい。

Dr.大友
蒸すか、煮るか、焼くか。どちらかというと蒸す方がいいですよね。

Dr.菰池 
蒸したり、煮たりする方が体に優しそうですよね。

Dr.大友
糖化ストレスも食材に強い火を入れていない方が少ないですものね。

Dr.菰池 
はい。

Dr.大友
そしてお勧めの食材はありますか?

Dr.菰池 
食材で言うとなんでしょうか。
繊維が入っているもの以外で栄養素的に良いのはカボチャでしょうか。あとジャガイモも良いでしょうね。

Dr.大友
皮は無しですかね。

Dr.菰池 
皮無しですね。皮は多少ならと言うのもあるかもしれませんけども、取れるのでしたら皮はむいて頂いた状態の方がいいでしょうね。

Dr.大友  
皮に含まれるカリウムを補給することは考えないで。

Dr.菰池 
そうですね。それは良くなってからにしましょうか。

Dr.大友
他は?

Dr.菰池 
あとはアスパラガスも繊維質ですけれども、熱を入れて
スジ取りをすれば良いと思います。

Dr.大友
ナスとかはどうですか?

Dr.菰池 
ナスもいいでしょうね。

Dr.大友
そういったものを摂るように心がける?

Dr.菰池 
とは言うものの、活動期にはそうしたお野菜は少し摂りにくいのが現実です。
病院では食事が出る時はそうしたお野菜をミキサーにして流動食みたいな形で出てくると思うんです。病院で出されるものは栄養素的には100点満点のお食事なんでしょうけども、その辺はミキサーにしすぎたりすると逆に飲みにくい部分もあると思いますので。

Dr.大友
味気なくなってしまいますから。

Dr.菰池 
その辺は上手くご本人に合ったやり方を試行錯誤して頂くのも良いんじゃないかと思いますね。

Dr.大友
塩分が多いと良くないなどのこともありますか?

Dr.菰池 
理論上は塩分が多すぎるからどうのこうと言うことはないとは思うんです。一般的には塩分を摂れば摂るほど水分も欲するようになると思うんですが。

Dr.大友
ミキサーではないとすれば、ひと手間かかりますけど野菜を煮て、すり鉢にあてたりとかは?

Dr.菰池 
いいですね。もしくはよく噛んで食べて頂くのでもいいかもしれません。

Dr.大友
腸の機能を回復するという観点からは咀嚼(そしゃく:かむこと)をするというのはいいと思いますか?

Dr.菰池 
消化管の病気の方は噛むと唾液も出ますし、望ましいかと思います。

Dr.大友  
腸のリハビリにもなる。

Dr.菰池 
そうですね。特に断食したあとは1回腸が休まってしまっている状況ですので、少しずつ動かすという意味では、噛んで頂いてゆっくり時間をかけて食べることは大事だと思います。

Dr.大友
お話をお伺いしてるとお野菜も食べる種類は決まっているし、お肉も食べない方がいいし、何か栄養素失調になりそうです。
ビタミンとかミネラルとか足りなくなりませんか?

Dr.菰池 
短期間であればそんなにビタミン欠乏ということが問題になることはないのかもしれませんけども、その絶食の期間とか食事制限の期間が長くなって来れば来るほどビタミン欠乏は心配ですよね。

Dr.大友  
10代、20代で発症して完全に治ることが今のところないクローン病。そうすると20年、30年、40年という単位で経過を追っていく必要があるとするならば、ビタミン、ミネラル、微量元素が体内から失われてしまう可能性についても気を付けていくべきでしょうね。
クローン病で体重が減りやすいことも関係があるんですよね?

Dr.菰池 
そうですね。ビタミン微量元素が減ってしまうと言うのは、成長期とか20代、30代の方にしてみれば非常にデメリットになりますよね。なので私は適宜サプリメントみたいなものも必要に応じて使って頂くのは良いかと思います。

Dr.大友
例えばどんなサプリメントをすすめますか?ビタミンB類とか必要ですか?

Dr.菰池 
そうですね。慢性炎症を腸に抱える病気ですので炎症を治すという意味では、ビタミンB、ビタミンC は大事でしょうし、
炎症が起きれば起きるほど鉄分も欠乏しがちですので鉄の補給だとか。

Dr.大友
出血することもあるでしょうしね。

Dr.菰池 
ほかにもビタミンDも免疫を司る栄養素ですけども、一般的には欠乏しがちですのでビタミンDを摂るのも大事といわれています。

Dr.大友
乳製品とかは制限された状態だと食べ物由来のビタミンDの量が少し減るかもしれませんね。
ビタミンDを摂ると免疫力が上がるというお話がありましたけど、腸そのものの免疫力を上げるという以外にも何か良さがあるものですか?

Dr.菰池 
ビタミンDはいろんなことが期待されていますよね。抗酸化じゃないですけど、発がんの予防、骨粗鬆症の予防、認知症の予防などの研究もあります。

Dr.大友  
クローン病の方はがんになりやすいのですか?

Dr.菰池 
潰瘍性大腸炎の時にお話ししましたけど、慢性炎症は発がんの原因になると言いました。
クローン病の場合は言われてはいませんが、理論上狭くなった腸の口側、つまり上流の方は常に大便がたまりやすくて、粘膜の刺激を与えてしまうので発がんという意味では心配して内視鏡の検査を行なっています。

Dr.大友
そういうこと聞くとすごく心配になります。
クローン病の活動が活発でお食事を摂る量が減ったらビタミンD、ビタミンBとか微量元素、ミネラルのとか、亜鉛セレンとかをサプリメントで摂るというのも重要な視点になりますね。
栄養素失調のことだけでなく、クローン病をもう少し根本的に良くなるために、例えばプロバイオティクスを飲んだ方がいいとか、お野菜も少ないので水溶性食物繊維だったり、プレバイオティクスみたいなを飲みたいなと思う方もいらっしゃると思います。そうしたサプリメントについてはどう思われますか?

Dr.菰池 
そうですね。非常に良いご意見だと思います。個人的にはプロバイオティクスは腸内環境そのものをよくするという意味では摂って摂り過ぎなことは全然ないと思っています。

Dr.大友
保険のお薬でも出てますよね。

Dr.菰池 
そうですね。多分消化器科専門医を受診して頂くと宮入菌やビフィズス菌のお薬が出ると思うんですね。
処方されているものだけでも最低限は足りるかもしれませんし、摂り過ぎて害がないんだったらもっと摂りたいと希望される方には、是非積極的に補充して頂いてもいいと思います。

Dr.大友
乳糖不耐症のこととかを考えると、ヨーグルトを摂るよりはサプリメントの方が同じお金を投資するなら良い可能性もあるということですね。

Dr.菰池 
効率的に必要なものだけ摂取できるという意味では良いかと思いますね。

Dr.大友
ただしそれには品質を選ばなければいけないでしょうね。

Dr.菰池 
そうかもしれませんね。

Dr.大友
ところで水溶性食物繊維は保険出てないですよね。

Dr.菰池 
出ないですね。

Dr.大友
野菜少ないのであれば、水溶性食物繊維は積極的に摂ることを考えたいですね。

Dr.菰池 
そうですね。

Dr.大友
水溶性食物繊維そのものはクローン病に悪さはしないですよね?

Dr.菰池 
水溶性食物繊維であれば、基本的に悪さはしないと思われます。

Dr.大友
そうしたら水溶性食物繊維を多く摂るオプションというのは。

Dr.菰池 
ありだと思います。

Dr.大友
結果的に腸内環境もよくしてくれる?

Dr.菰池 
良くしてくれる可能性はあると思います。

Dr.大友
なるほど。
クローン病はなかなか聞きなれない病気ですが、先ほど表を見たらクローン病にかかっている人がうなぎ上りだということに驚きました。そういう形で増えていることを考えるとライフスタイル、特にお食事が関係していることはまず間違いないでしょうね。
実際にお話しをお伺いしていて、若いうちにクローン病になったら人生がなかなか大変だと思います。

Dr.菰池 
そうですね。ですからお食事にはこだわっていただきたいと思います。

Dr.大友
ありがとうございました。

 

大友博之 渋谷セントラルクリニック エグゼクティブ ディレクター

日本抗加齢医学会専門医、日本麻酔科学会専門医、日本医師会認定産業医、国際抗加齢医学会専門医(WOSAAM)

免疫栄養学に基づいた食事指導、ホルモン補充療法、再生医療、運動療法を取り入れた新しい統合医療をベースにした診療で著名人にもファンが多い。最先端の西洋医学に通じている一方で、「鍼治療の魔術師」と呼ばれるほど鍼治療の名手で東洋医学にも造詣が深い。

またワインと健康食の愛好家しても名高く、ボルドー、ブルゴーニュ、シャンパーニュのワイン騎士団から名誉ある「シュバリエ」を叙任されているほか、料理芸術や食の楽しみといった価値感を共有する美食家が集う日本ラ・シェーヌ・デ・ロティスール協会の「オフィシエ」でもある。

菰池信彦 たまちホームクリニック院長

日本内科学会認定医、日本消化器病学会認定消化器病専門医、日本消化管学会認定指導医、日本肝臓学会肝臓専門医、日本ヘリコバクターピロリ学会認定感染症認定医、日本がん治療認定医機構がん治療認定医、日本カプセル内視鏡学会認定医、日本医師会認定産業医

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