③ クローン病の診断 カプセル内視鏡は使えるのか?

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【Dr.大友とDr.菰池の対談動画はこちらをclick】

Dr.大友 (渋谷セントラルクリニック エグゼクティブ ディレクター)
クローン病かどうかとわからなくても下痢をしたり、体重が減ったりしていると気になって病院に行くと思います。
クローン病はどのように診断されるんでしょうか?

Dr.菰池(たまちホームクリニック院長) 
色々な症状があって病院に行かれると思いますが、この病気が疑われた場合はまず問診と血液検査をします。
多くの場合は腸が張っているケースが多いですのでお腹のレントゲンを撮る、場合によってはお腹のCT検査を撮ります。

Dr.大友
どんな問診をなさるのですか?

Dr.菰池 
腸に炎症をきたす病気で圧倒的に多いのは急性腸炎といって食あたりみたいな感じですね。食べた物で当たってしまう。
こうした食あたりは皆さん経験あると思うんですけど、通常は一週間以内に治りますよね。
ただクローン病みたいに慢性的に炎症を起こす病気は2週間以上症状が続くっていうことは特徴的だと思うので、そういった長い経過で下痢とか腹痛を起こしているかどうかというのは大事な問診になりますね。

Dr.大友  
問診をした後のステップは?

Dr.菰池 
血液の検査をして潜在的な炎症がないかどうかを調べたりします。
他にもクローン病では吸収が弱くなっていますので、
栄養失調になっていることが
特徴的ですね。

Dr.大友
どんな検査項目をお調べになるんですか?

Dr.菰池 
一般的には総蛋白とかアルブミンと言われているものが栄養の指標になりますし、炎症で言うと白血球の値だったり、CRPという数字が一般的に用いられます。

Dr.大友  
そこでアルブミンだったり総蛋白が低下していて炎症所見があった場合はどんな検査をしようということになるでしょうか?

Dr.菰池 
まずは画像検査 、レントゲンの検査を経てからCTの検査です。ただ最終的な診断は内視鏡の検査になると思います。
よくできる炎症を起こす場所が大腸や小腸ですので最初から小腸を検査するのも選択肢ですが、まずはできる施設が多いという意味では
大腸の内視鏡の検査がファーストチョイスじゃないかと思います。

Dr.大友  
内視鏡が嫌だっていう方もいますよね。

Dr.菰池 
そうですね。やっぱり苦痛を伴う、多少なりとも苦痛を伴う検査ですので、あるいはちょっと恥ずかしいっておっしゃる方もいらっしゃいますので。

Dr.大友  
押さえつけてやるんですか?

Dr.菰池 
メリット・デメリットをご説明するしか最初のうちはないとは思うのですが、例えばCTの検査でもある程度疑わしいものがあるかどうかわかりますので、そういう検査をお勧めしたりします。ひと昔前には注腸検査といってお尻からバリウムを入れるような検査をしていたこともあります。

Dr.大友  
今はカプセル内視鏡もありますね。もともと小腸は内視鏡で見えにくい部位として知られてきたわけですが、そういった場合にカプセル内視鏡でどうにかわからないかと思われる人もいると思います。そういった検査では如何でしょうか?

Dr.菰池 
そうですよね。患者さんとしてはカプセル内視鏡はすごく頼りたい検査だと思うんですね。
ただ、このクローン病の場合は、腸が狭窄と言って狭くなる合併症があります。カプセルの内視鏡を飲んで、その狭くなったところにカプセルが挟まってしまうと大変なことになってしまうのですね。

Dr.大友  
それは最悪なパターンになってしまいますね。

Dr.菰池 
場合によってはそのカプセルを取るために手術が必要になるというケースも
これまでに何例か報告されてますので、最初にやる検査ではないと思います。
ただカプセル内視鏡もいろんなやり方があって、最初にその狭くなってるところを通過できるかどうか軟らかい予備のカプセルを飲んで頂いて確認する方法もあります。それで上手く通ることが確認できたら、本当のカプセル内視鏡を飲んで頂くというやり方も出てきています。

Dr.大友
最初から消化器内科の先生のところで発見されることが多いのですか?

Dr.菰池 
様々なケースがありますね。
最初のうちにお尻に痔があって肛門外科に行かれて、肛門外科の先生がこれは普通の痔じゃなくてクローン病の痔かもしれないと診断されるケースもあります。
あとは稀ですけども皮膚科で結節性紅斑(赤い発疹)という症状をもとに見つかることもあります。

Dr.大友
眼科とかどうですか?

Dr.菰池 
眼科からのこともありますね。
ぶどう膜炎といって炎症を起こした場合に、ただのぶどう膜炎じゃなくて、やはり内科的な病気が隠れているかもしれませんねということで回されてくるケースもあります。
他にもリウマチみたいな膠原病に合併するケースもあります。

Dr.大友
いずれにしてもクローン病は免疫が関わっている病気なので、体の至る所に症状が出る可能性があるという
ことでしょうか?

Dr.菰池 
そうですね。

Dr.大友
このあとはクローン病の治療法についてお伺いしたいと思います。

 

大友博之 渋谷セントラルクリニック エグゼクティブ ディレクター

日本抗加齢医学会専門医、日本麻酔科学会専門医、日本医師会認定産業医、国際抗加齢医学会専門医(WOSAAM)

免疫栄養学に基づいた食事指導、ホルモン補充療法、再生医療、運動療法を取り入れた新しい統合医療をベースにした診療で著名人にもファンが多い。最先端の西洋医学に通じている一方で、「鍼治療の魔術師」と呼ばれるほど鍼治療の名手で東洋医学にも造詣が深い。

またワインと健康食の愛好家しても名高く、ボルドー、ブルゴーニュ、シャンパーニュのワイン騎士団から名誉ある「シュバリエ」を叙任されているほか、料理芸術や食の楽しみといった価値感を共有する美食家が集う日本ラ・シェーヌ・デ・ロティスール協会の「オフィシエ」でもある。

菰池信彦 たまちホームクリニック院長

日本内科学会認定医、日本消化器病学会認定消化器病専門医、日本消化管学会認定指導医、日本肝臓学会肝臓専門医、日本ヘリコバクターピロリ学会認定感染症認定医、日本がん治療認定医機構がん治療認定医、日本カプセル内視鏡学会認定医、日本医師会認定産業医

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