牧草牛の方が長生きできる理由はその特別な脂肪にあり
グラスフェッド牛がおすすめなわけ
仕事で訪れたパリで寄せていただいたのは高田賢三さんのお料理番をされていた中山シェフのレストラン。
この日のメインは フランス中部リモージュ地方が原産のリムーザン牛。
リムーザン牛は脂肪が少なく赤身の旨味があるので、こうしたキャビアと合わせてもすごくお品が良い感じ。
ところで牧草を食べて育つリムーザン牛は美味しいだけでなく、健康の面からもオススメ。
理想的な脂質の摂り方
一般に牛肉が健康に良くないと言われる理由の一つがオメガ6飽和脂肪酸が多いから。
現代の健康を脅かすアレルギー、がん、心臓血管病、慢性の痛みはオメガ6がオメガ3よりも相対的に多くなることで慢性の炎症が起こっていることが原因とされています。
アンチエイジングの世界ではオメガ3:オメガ6を4:1で摂取することを理想としていますが、普通の牛肉ではその比率が20:1になることもあります。
その一方でグラスフェッド、つまり牧草を食べて育つ牛のお肉はその比率が3:1と低いので病気になりにくいというわけ。
オメガ3とは
オメガ3は不飽和脂肪酸(多価不飽和脂肪酸)の一つで、ヒトの体内で合成できないため、食事などから摂取する必要がある必須脂肪酸です。
代表的なオメガ3として、αリノレン酸、DHA(ドコサヘキサエンサン)、EPA(エイコサペンタエン酸)などがあります。
それぞれのオメガ3には、私たちの健康増進や病気の予防に役立つ働きがあり、日々の食生活で意識して摂取することが大切です。
オメガ3が人間の健康に与える効果は多く報告されていますが、腸内細菌叢の多様性と組成について、オメガ3が大きな働きをしているという報告もあります。
腸内細菌の乱れは慢性炎症の原因なので、がん、アトピーなどの皮膚疾患、アレルギー、認知症など多くの疾患や症状に関わっています。
オメガ3を多く含む食材には、
(食材100g当たりの含有量)
<食用油>
・大豆油……6.10g
・ひまわり油……0.43g
・綿実油……0.34g
<魚類>
・クロマグロ(トロ)……5.81g
・サンマ……3.78g
・ブリ……3.35
・真いわし(生干し)……3.12g
・真サバ……2.12g
オメガ3はお魚に含まれていることもあり日本人は長生きとされてきましたが、食文化の西洋化が進んでいるのもまた事実。
牛肉を食べる時は牧草牛をお召し上がりになられるのも1つのアイディアかもしれませんね。
Restaurant TOYO
17 Rue Jules Chaplain, 75006 Paris, フランス
〔大友“ピエール” 博之〕
日本のみならずロサンゼルス、フランクフルト、香港、バンコクに拠点を持ち、個別化医療(precision medicine)を実践している。免疫栄養学に基づいた食事指導、ホルモン補充療法、運動療法を取り入れた治療で定評がある。
・ 医師 日本抗加齢医学会専門医 / 欧州抗加齢医学会専門医 / 日本麻酔科学会専門医
・ 西洋薬膳研究家、シェフドクターピエールとしても活躍中
・ 渋谷セントラルクリニック代表
・ 一般財団法人 日本いたみ財団 教育委員
・ 料理芸術や食の楽しみといった価値感を共有するシェフなどが集う日本ラ・シェーヌ・デ・ロティスール協会のオフィシエ
・ ワインにも造詣が深く、フランスの主要産地から名誉ある騎士号を叙任している。
シャンパーニュ騎士団 シュヴァリエ / ボルドーワイン騎士団 コマンドリー /ブルゴーニュワイン騎士団 シュヴァリエ