遊離脂肪酸の役割 ゆうりしぼうさんのやくわり

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遊離脂肪酸(FFA :Free Fatty Acid)は、脂肪細胞内に蓄えられていた中性脂肪が、酵素リパーゼによって分解されてグリセロールという物質とともに血液中に放出されたものを指します。遊離脂肪酸は、血液を介して全身に輸送され、体内の各組織でエネルギーとして利用されます。余った遊離脂肪酸は肝臓へ吸収されて再び中性脂肪へと合成されるため、血液中の遊離脂肪酸の濃度は一定の値に保たれています。

遊離脂肪酸は、水と脂肪(つまり油)という通常、混ざり合わないものをなじませる性質(これを「両親媒性」といいます)を持っています。正常な値であれば問題ありませんが、細胞に蓄積しすぎると水と油の層で構成されている細胞膜を溶かし、最終的には細胞を破壊してしまいます。例えば、遊離脂肪酸は心臓の筋肉を動かすエネルギーになりますが、心臓の状態が悪い時に血中の遊離脂肪酸の濃度が上昇すると、心不全を起こす可能性があります。また、アルコールの摂取や、激しい運動を長い時間続けることによって、血液中の遊離脂肪酸の濃度が上昇します。そのため、心臓が良くない状態の時は、飲酒や激しい運動をすることは避けなければなりません。

逆に、遊離脂肪酸の量を減少させるのは、インスリンという物質です。インスリンは糖の分解を促進するホルモンで、食後に大量に放出されます。そのため、食後は遊離脂肪酸の血中濃度が低下します。

このように遊離脂肪酸の血中濃度は、ホルモンの分泌によって制御されているため、副腎や甲状腺の機能に異常があると、再吸収や血中への放出のバランスが取れなくなります。副腎や甲状腺は体の中のあらゆる部分に働きかける様々なホルモンの分泌を制御している部分ですから、このような異常が起きることがあります。遊離脂肪酸の血中濃度は、健康のバロメータの1つと言えるでしょう。

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