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銀杏とウナギの食べ合わせはNGなのか?

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秋の味覚の食べ合わせ

秋の恵みといえば松茸銀杏(ギンナン)を炊いたご飯。

こんな贅沢ご飯にウナギが添えられたら、何回でもお代わりをしたくなる程の美味。
でもそれほど美味しいのに江戸時代の儒学者で医食同源に精通していた貝原益軒は養生訓にてウナギと銀杏を一緒に食べてはならないと説きました

どうやらウナギとの食べ合わせに関しては医学的な根拠はないようですが、銀杏の食べ過ぎは中毒になることをそんなに昔に気づいているのは立派だと思います。

知らないと怖い銀杏の世界

銀杏中毒とは銀杏に含まれる 4-MPNという成分がビタミンB6の働きを邪魔することによって、リラックスするのに必要なことで知られるGABA(脳の神経伝達物質)が作られなくなることが原因。
GABAが減った状態になると頭痛、吐き気だけでなくひどい場合だと痙攣を引き起こしてしまうこともあります。

銀杏中毒はビタミンB6の摂取が普段から足りない人お酒を飲みすぎていてビタミンB6が減っている人になりやすいので注意が必要です。
どれくらい食べたら中毒になるのかは、研究によってバラツキがあって子供で7~150粒、成人であれば40~300粒と幅広いのですが、
もし銀杏を食べてから1~12時間くらいの間に体調が悪くなった場合は中毒のことも頭の片隅においてください

銀杏の恐ろしさばかり書いてしまいましたが、銀杏に含まれるビタミンAビタミンCは、体の免疫力を高め風邪などの予防に効果的ですし、カリウムマグネシウムリンなどのミネラルはむくみや高血圧にも期待大なのはご存じでしたか?

銀杏にはビタミンEも含まれています。ビタミンEはビタミンCと一緒に摂取すると抗酸化作用が高くなり老化防止につながります。
さらに、ビタミンB1は特に豊富に含まれており、糖質のエネルギー代謝を助け、神経機能を正常に保ちます。
そのため、疲労回復、イライラ解消、食欲不振などに効果を発揮します。

銀杏ははビタミンやミネラルをバランスよく含み、糖質も豊富であるため、即効性のエネルギー補給源となる食材です。

その他にも銀杏の効能・効果には
・高血圧予防
カリウムが体内の余分な塩分を排出し高血圧や動脈硬化を予防する

・美容効果
ビタミンCがメラニンの生成を抑え肌を健康に保つ

・喘息改善
銀杏に少量含まれる青酸配糖体に鎮咳効果がある

・疲労回復
ビタミンB1が中枢神経や末梢神経を正常に保ち疲労やストレスを解消する

 

東洋医学的には
・寒熱:平(体を温めも冷やしもしない)
・昇降・収散・潤燥:収(気を体の内に収める作用)
・臓腑:肺・腎
・五味:甘(補い滋養する作用)・苦(気を降ろす、固める作用)
・毒性:小毒


秋の味覚を上手く取り入れて人生を楽しみましょう。

かんだ
東京都港区愛宕1丁目1-1虎ノ門ヒルズレジデンシャルタワー1階

 

〔大友“ピエール” 博之〕

日本のみならずロサンゼルス、フランクフルト、香港、バンコクに拠点を持ち、個別化医療(precision medicine)を実践している。免疫栄養学に基づいた食事指導、ホルモン補充療法、運動療法を取り入れた治療で定評がある。

・ 医師 日本抗加齢医学会専門医 / 欧州抗加齢医学会専門医 / 日本麻酔科学会専門医
・ 西洋薬膳研究家、シェフドクターピエールとしても活躍中
 渋谷セントラルクリニック代表
 一般財団法人 日本いたみ財団 教育委員

・ 料理芸術や食の楽しみといった価値感を共有するシェフなどが集う日本ラ・シェーヌ・デ・ロティスール協会のオフィシエ
・ ワインにも造詣が深く、フランスの主要産地から名誉ある騎士号を叙任している。
 シャンパーニュ騎士団 シュヴァリエ / ボルドーワイン騎士団 コマンドリー /ブルゴーニュワイン騎士団 シュヴァリエ 

2020年10月13日

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