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その症状はサバアレルギーじゃなくてヒスタミン中毒かも

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サバには DHAEPAオメガ3不飽和脂肪酸が 含まれていて体内の慢性炎症を減らすことから脳梗塞や心筋梗塞の予防や認知症の予防が期待できます。そのためDR大友も外来をしている時に患者さんにお勧めすることの多い食材です。

でもサバはアレルギーがあるから食べられませんと言われることがあります。そうした方の訴えを聞くと顔が赤くなって蕁麻疹が出たといかにもアレルギーのようにも思えます。ただ採血でアレルギー検査をしても鯖に反応することはないことも少なくありません。アレルギーのような反応なのにアレルギーではない。どうしてそんな不思議なことは起きてしまうのでしょうか?

その鍵を握るのがヒスタミンです。

花粉症や食べ物のアレルギーなどの発症の引き金となるのは、私たちの皮膚や粘膜など全身に広く分布するマスト細胞(肥満細胞)です。アレルギーの原因物質(アレルゲン)と反応したマスト細胞は、ヒスタミンを放出させるのでアレルギー症状が発生してしまうのです。

サバにはこのヒスタミンが多く含まれていることがあるのですね。ヒスタミンを多く含む食材はサバだけではなくて カジキマグロブリサンマイワシなどの赤身のお魚があります。その他にも鶏肉、ハム、チェダーチーズ日本酒ワインなどにも多かれ少なかれ含まれていることがあります。

こうしたヒスタミンを含む食材を食べて以下のような症状が出てしまった場合にヒスタミン中毒を疑います。

ヒスタミン中毒では食後 30分から数時間後に顔面紅潮、発疹、吐き気などの症状を呈します。一見するとアレルギーのようにも思えますが、食事が原因なので誰にでも起こりえます。多くの場合は6~10時間程度で症状は治まり、それ以上のひどい症状が出てしまうことはあまりありません。

白身のお魚よりもサバを始めとしてカジキ、マグロ、ブリなどの赤身魚でヒスタミン中毒が多い理由はヒスチジンというアミノ酸にあります。ヒスチジンが多く含まれているお魚にヒスタミン生成菌が付着するとヒスチジンが分解されてヒスタミンがつくられてしまうのです。

ヒスタミンが厄介なのは加熱をしても分解されないことにあります。そのためサバの味噌煮を食べてもヒスタミン中毒になってしまう可能性があります。冷蔵庫などで0℃~10℃で保存していればヒスタミンができることはまずありませんが、冷蔵や冷凍する前にすでにヒスタミンの量が増えていればヒスタミンは減りませんので食中毒が引き起こされる可能性はあります。

ヒスタミンを産生する菌の一つにモルガン菌があります。モルガン菌は室温では増殖しますが、低温であれば増えないのでお魚にヒスタミンを増やすことはありません。そのため魚が死んだ瞬間から最終的に加工、調理されるまでに温度管理を徹底することが重要になります。

他にもヒスタミンを産生する菌にはビブリオ菌がありますが、この菌は低温でも増える可能性があります。ですからきっちりと温度管理をしていれば大丈夫というわけでもありません。常に食べる方もヒスタミン中毒に気をつけている必要があります。

ちなみに食品中にヒスタミンができていても、外見の変化や腐敗臭はありませんが、食べたときに舌がピリピリすることがあるので要注意です。少量のヒスタミンであればさほど症状が出ませんが、100ミリグラム以上食べると食中毒を発症する可能性が高まります。

ヒスタミン中毒を防ぐために厚生労働省東京都は以下のような注意を出しています。
•魚を購入した際は、常温に放置せず、速やかに冷蔵庫で保管するようにする
•ヒスタミン産生菌はエラや消化管に多く存在するので、魚のエラや内臓は購入後できるだけ早く除去する
•赤身魚の干物など加工品も、低温保存する
•冷凍した赤身魚を解凍する時は、冷蔵庫で解凍するなど、可能な限り低温で短時間のうちに解凍する。また凍結と解凍の繰り返しは避ける

アレルギーに似た反応が出たときは焦らずに対処すること。

決してヒスタミン中毒だろうと決めつけたりしないでください。今回は取り上げませんでしたが、サバにアレルギーがなくてもサバにいるアニサキスにアレルギーを持っている人も少なくありません。こうした場合はアナフィラキシーショックといって症状が急速に悪化してしまう可能性もあります。状況に応じて早急に救急受診をすることも念頭においてくださいね。

今日も最後までご覧いただきありがとうございました。

大友博之 渋谷セントラルクリニック エグゼクティブ ディレクター

日本抗加齢医学会専門医、日本麻酔科学会専門医、日本医師会認定産業医、国際抗加齢医学会専門医(WOSAAM)

免疫栄養学に基づいた食事指導、ホルモン補充療法、再生医療、運動療法を取り入れた新しい統合医療をベースにした診療で著名人にもファンが多い。最先端の西洋医学に通じている一方で、「鍼治療の魔術師」と呼ばれるほど鍼治療の名手で東洋医学にも造詣が深い。

またワインと健康食の愛好家しても名高く、ボルドー、ブルゴーニュ、シャンパーニュのワイン騎士団から名誉ある「シュバリエ」を叙任されているほか、料理芸術や食の楽しみといった価値感を共有する美食家が集う日本ラ・シェーヌ・デ・ロティスール協会の「オフィシエ」でもある。

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