2つのタイプの違いが重要「紅花油」 べにばなあぶら

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紅花油はベニバナ(サフラワー)の種子から搾油された植物油で、サフラワーオイルとも呼ばれます。従来はリノール酸を多く含むハイリノールタイプが一般的でしたが、近年ではベニバナの品種改良によって、オレイン酸を多く含む“ハイオレックタイプ”が主流です。

ハイオレックタイプの紅花油は、ハイリノールタイプよりも酸化しにくい性質があり、健康増進や生活習慣病の予防効果が期待できます。また、有機無農薬栽培した原料を使用した製品が開発されるなど、より安全を配慮した紅花油も市販されています。

栄養素

従来の紅花油(ハイリノールタイプ)は体内で合成できない必須脂肪酸「リノール酸」を多く含んでいます。かつては、リノール酸には血中のコレステロール値を低下させる働きがあることなどから、健康に良い油として摂取が推奨されました。

しかし、現在ではリノール酸の過剰摂取が、動脈硬化やアレルギー、アトピー性皮膚炎などの原因となることが分かり、過剰摂取を控えるように注意喚起されています。そのため、オレイン酸の含有量が多いハイオレックタイプの方が健康に役立つと考えられます。

ハイオレックタイプの紅花油に多く含まれるオレイン酸には、LDL(悪玉)コレステロールを減少させる効果があり、高血圧や脂質異常症など生活習慣病の予防効果が期待できます。

また、一般的にリノール酸は酸化しやすいという欠点がありますが、オレイン酸は安定性が高く、酸化されにくく熱にも強い性質があります。

紅花油(ハイオレック)の主な栄養成分(100gあたり 大さじ78杯)

・エネルギー……921kcal
脂質……100g
・飽和脂肪酸……7.36g
一価不飽和脂肪酸……73.24g
多価不飽和脂肪酸……13.62g
・脂肪酸総量……94.21g
n-3系脂肪酸……0.21g
n-6系脂肪酸……13.41g
・オレイン酸……73000㎎
・リノール酸……13000㎎
・α-リノレン酸……210㎎
ビタミンE……27.1㎎
ビタミンK……10㎍

効能・効果

生活習慣病、動脈硬化の予防

紅花油に含まれるオレイン酸には、血液中のLDL(悪玉)コレステロールを減らす働きがあります。血流を改善し、高血圧や脂質異常症、糖尿病など生活習慣病を予防する効果があります。また、動脈硬化を予防することで、心筋梗塞や脳梗塞を予防します。

胃腸症状の改善

オレイン酸には、ストレスなどによる過剰な胃酸の分泌を抑える働きがあります。胃痛、胃もたれ、胃潰瘍、十二指腸潰瘍など胃腸症状を改善する効果につながります。

便秘の予防・解消 

オレイン酸には、便を柔らかくして腸の働きを活発にする作用があるため、便秘の予防・解消に効果的です。便通を改善することで、老廃物のデトックスやダイエットにも効果が期待できます。

骨粗しょう症の予防

紅花油にはビタミンKが含まれており、カルシウムが骨に沈着する働きを活性化します。骨を健康に保ち、骨粗しょう症の予防に役立ちます。

東洋医学的側面

・寒熱:平(体を温めも冷やしもしない)
・昇降・収散・潤燥:潤(体を潤す性質)
・臓腑:脾、肺
・五味:甘(補い滋養する作用)
・毒性:無毒

腸を潤し、お通じを良くします
血の流れを改善し、体調を整えます
皮膚の乾燥を防ぎます

栄養素を上手に摂るための保存方法と調理方法

紅花油には、ハイリノールタイプとハイオレックタイプの2種類ありますが、オレイン酸の含有量が多い“ハイオレックタイプ”を利用した方が健康に役立つと考えられます。

紅花油は安定性が良く、酸化しにくく熱に強い性質があるため、天ぷらや揚げ物などの調理に向いています。また、クセのないサラッとした食感のため、生のままサラダのドレッシングやマリネなどにも利用できます。揚げ物などに利用する場合は23回使ったら新しい油に交換しましょう。

紅花油は酸化しにくく、熱にも強い性質があり、常温で保存できます。ただし、直射日光を避け、コンロなど火の近くで保存することは避けましょう。開封後はキャップをしっかり閉め、酸化を防ぎましょう。

劣化した油は変色したり、塗料のような臭いが生じたりします。賞味期限に関わらず、開封後は12か月を目処に使い切りましょう。

 

【監修】 大友博之 渋谷セントラルクリニック エグゼクティブ ディレクター

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