ビタミンK びたみんけー

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ビタミンKとその役割について

ビタミンK類は2-メチルナフトキノン誘導体の数種を指します。食用油やヘキサン等の有機溶媒によく溶ける脂溶性ビタミンの一種です。一日の必要量は成人男性では75μg/日、成人女性では6065μg/日とされ、おおよそ1.5μg/㎏体重です。幼児、新生児では開きがあり、12歳児で25μg/日に対して、乳児(011ヶ月)が47μg/日と言われます。理由として新生児消化管出血や突発性乳児ビタミンK欠乏症予防のためビタミンK剤の投与が行われることが考慮されているからです。

欠乏すると血液凝固の低下を引き起こすため一般的に“ビタミンK(ドイツ語のKoaglation Vitamin(抗出血性ビタミン)より由来)”と呼ばれています。

ビタミンKの研究の歴史

ビタミンK1929年にコレステロールの研究をしていたH.Damによって偶然発見されました。コレステロール代謝の研究のため脂質除去をした飼料でニワトリを飼育していたところ、皮下出血などが起こることに気づきました。1935年にH.Damはそれまでに知られていたビタミンを飼料に添加しても出血症状は改善されなかったことから、血液の凝固に関与する新たなビタミンがあると考えKoaglation Vitamin(抗出血性ビタミン)と命名しました。さらにH.Dam1939年にアルファルファと腐敗魚肉よりビタミンKの単離に成功しました。粘稠状の前者に対して後者は結晶状であったので別物と考えられ、前者をビタミンK1、後者をビタミンK2としました。

ビタミンKの種類と所在について

ビタミンKK1からK7まで7種類が知られていますが、一般的には自然界に存在するビタミンK1K2のほかに合成物のビタミンK3があげられます。

ビタミンK1はフィロキノンと呼ばれ、ワカメ等の海藻類、小松菜やパセリ、抹茶等の緑黄色野菜の緑葉類に多く含まれています。ビタミンK2はメナキノンと呼ばれ、細菌類が生合成し、人体では腸内細菌が産生します。食品中には納豆、動物性食品の鶏肉等に多く含まれています。ビタミンK3はメナジオンと呼ばれており、人工的に合成されています。ビタミンK1は脂溶性ビタミンなので海藻、緑葉類を摂取する際には、油で炒めたりして調理し頂くと効率よく摂取できます。

血液の凝固とビタミンK類の役割

血管が傷つき出血した場合、傷口が小さければ、血液は間もなくゼリー状に固まり(血餅・けっぺい)、傷口を塞ぎます。この現象を血液凝固と呼びます。血液凝固は永久血栓ともよばれ、血小板凝集による剥がれやすい血栓をより強固なものにする、止血作用のなかで最も重要な過程です。血液凝固には主に肝臓で生合成される、トロンビンを含む約数十種類の酵素が関与しており、その産生にはビタミンK類が補酵素として重要な役割を果たしていることが解っています。例としてビタミンK類の欠乏下で生成されたトロンビンの前駆体は正常の場合には存在する残基が存在しない為、その残基に結合し、トロンビンに変化させる為に必ず必要なカルシウムイオンやリン脂質と反応できません。その結果、正常な血液凝固分子としての働きをしなくなることが解っています。

ビタミンK類の分布と欠乏症について

ビタミンK類は広く食品に分布しており、また腸内細菌からの供給があるため欠乏症になりにくいとされていますが、腸内細菌が少なくビタミンK類が不足しがちになる新生児は出血傾向や血液凝固の遅れ等の症状が出やすいと言われています。また、長期による抗生物質の投与により腸内細菌が減る、または腸の手術を受けた人などは欠乏症になりやすいといわれています。さらに慢性的なビタミンK類不足は骨粗鬆症を誘発するとも言われています。
ビタミンK1K2での過剰症はないとされていますが、血栓症の治療等に使用するジクロマールやワルファリンなどの抗ビタミンK剤については拮抗作用があるため注意が必要です。

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