傷ついた茄子(なす)が健康に良い理由

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“不出来のリンゴ”と呼ばれていた茄子(なす)

泡がパチンと弾かれると同時に手品のように現れるのは、揚げた茄子にウニ。
泡もオレンジのソースとなり食欲を誘ってくれます。


茄子ウニは和食でよく見る組み合わせで、この一皿も味付けは和そのものもなのだけれど、オレンジが入ることで一気にイタリア気分になるから面白い。

よく考えてみたら茄子とウニとオレンジって全部、シチリア料理の定番素材。

茄子もオレンジもアラブ人によってシチリアにもたらされましたが、茄子は生で食べるとぜんぜんおいしくないからという可哀想な理由で “不出来のリンゴ” と呼ばれ、なかなかイタリアの中北部までは広まらなかったそう。
ただシチリアでは料理人たちが当時高級だったの代用品として茄子を使うようになり、多くの郷土料理が生まれたと言われています。

傷アリ茄子のチカラ

一方その頃の日本では茄子の初物が江戸っ子たちの間で大流行し、現在の価格で1つ数万円にもなったというから驚きです。
そのほかにも茄子を焼いて歯磨き粉に使うなど、江戸時代から健康食材として使われていたのですね。

栄養素的には水分が9割と言われる茄子は栄養がないと思われがちですが、茄子の皮に豊富に含まれるポリフェノールの一種「ナスニン」に強力な抗酸化作用があり、肌のバリア機能をアップさせて夏の強い紫外線からお肌を守る効果も!

また、ビタミンA、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンCなどのビタミン類やカルシウムや鉄などのミネラルも豊富。
利尿作用があるカリウムも豊富なのでむくみを解消する効果も期待できそう。

茄子の主な栄養成分(可食部100gあたり 1個60~80g)
カルシウム・・・220mg
・・・0.3mg
ビタミンA・・・8μg
ビタミンB1・・・0.05mg
ビタミンB2・・・0.05mg
ビタミンC・・・4㎎
食物繊維・・・2.2g

茄子の効能効果は盛りだくさん。
夏バテ防止
利尿作用があるカリウムを多く含んでおり、体の熱を水分と一緒に体外に放出することで体を覚ますことが出来ます。また、リン脂質の構成成分であるコリンは胃液の分泌値を促進して食欲不振を解消してくれます。

老化防止
茄子に含まれるポリフェノールのナスニンやクロロゲン酸、β-カロテンなどは、活性酸素によって生じる過酸化脂質を抑制する働きがあり老化防止に効果があります。

認知症予防
コリンは体内でレシチンやアセチルコリンに合成されます。レシチンやアセチルコリンには、血管のつまりを防いだり血管を拡張させたりする効果があり、脳の血流を整え記憶力や学習能力を向上させます。

生活習慣病
ポリフェノールのナスニンは、血中コレステロール濃度を低下させ動脈硬化を予防してくれます。また、カリウムが余分なナトリウムを排出してくれる他、アセチルコリンが血管を拡張させてくれるため高血圧を防ぎます。

疲れ目の回復
ブルーベリーに含まれるアントシアニンと同じ仲間のナスニンは、抗酸化力が強く、疲れ目を解消したり紫外線から目を守ってくれます。


そして今回知った驚くべき事実を一つ。

ナスニンは傷のついた茄子の方が、傷のないものより断然多く含まれているらしい。
これは人間の自然治癒力と同じ仕組みで、傷を修復しようと新たにポリフェノールが作られ、傷の周辺にたまっていくからみたい。

傷はあるけれども新鮮、という茄子を見つけたら、皮ごと調理してポリフェノールをたっぷり摂取しましょう。

夏バテ防止の食材としても優れている茄子の栄養素をもう少し詳しくお知りになりたい方はこちらをご覧ください。
熱も水分も放出してくれる「茄子」

 

〔大友“ピエール” 博之〕

日本のみならずロサンゼルス、フランクフルト、香港、バンコクに拠点を持ち、個別化医療(precision medicine)を実践している。免疫栄養学に基づいた食事指導、ホルモン補充療法、運動療法を取り入れた治療で定評がある。

・ 医師 日本抗加齢医学会専門医 / 欧州抗加齢医学会専門医 / 日本麻酔科学会専門医
・ 西洋薬膳研究家、シェフドクターピエールとしても活躍中
 渋谷セントラルクリニック代表
 一般財団法人 日本いたみ財団 教育委員

・ 料理芸術や食の楽しみといった価値感を共有するシェフなどが集う日本ラ・シェーヌ・デ・ロティスール協会のオフィシエ
・ ワインにも造詣が深く、フランスの主要産地から名誉ある騎士号を叙任している。
 シャンパーニュ騎士団 シュヴァリエ / ボルドーワイン騎士団 コマンドリー /ブルゴーニュワイン騎士団 シュヴァリエ

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