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味の素グリナで注目されるアミノ酸’グリシン’は睡眠に役立つのか?

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最近、睡眠とアミノ酸の関係についてよく聞かれます。

なんでだろうと思っていましたら、味の素さんが睡眠アミノ酸グリシン『グリナ』を発売されたからのようです。グリナは機能性表示食品で以下のような届出をしています。
「グリナ」の画像検索結果

『本品には”グリシン”が含まれており、すみやかに深睡眠をもたらし、睡眠の質の向上(熟眠感の改善、睡眠リズムの改善)や、起床時の爽快感のあるよい目覚め、日中の眠気の改善、疲労感の軽減、作業効率の向上に役立つ機能があります。』

グリシンは果たして睡眠に役立つのでしょうか?調べてみると福岡県薬剤師協会が面白いデータを公表していました。

グリシンはアミノ酸のひとつで、生体内ではセリンより生合成され、クレアチン、ポルフィリン、プリン、グルタチオンの原料となる。グリシンの摂取により末梢血流が増加し熱放散を促し、睡眠と関係が深い「深部体温」が低下して、睡眠の質が向上することが示唆されており、ヒトに対して以下の報告がある。

〔不眠傾向患者171名 (平均47.1±13.3歳、日本) を対象とした臨床試験〕
グリシン3g/日を就寝の30分~直前に、4週間摂取させたところ、睡眠深度、中途覚醒回数等の改善がみられた。
〔健常者11名 (平均40.5±10.1歳、日本) を対象としたプラセボ対照クロスオーバー単盲検無作為化試験〕
グリシン3g/日を就寝前に摂取させたところ、睡眠満足感、寝付きの状況、睡眠時間、日中の眠気、日中の認知機能に改善がみられた。

つまり不眠傾向にある人も、睡眠に困っていない人もグリシンを追加することで睡眠の満足感が増しているということですね。その一方で、グリシンは抗精神病薬のクロザピン(商品名クロザリル)の効果を減弱させる報告があるようなので一緒に使用することは避けるべきとも言っています。

DR大友は時差やストレス?で睡眠がうまく取れないときには睡眠を司るホルモンであるメラトニンを内服することがあります。メラトニンは昼夜のバランスを司るので自然な睡眠へと誘うことができるとされています。今回のグリシンは内服してもメラトニンの血中濃度に関連していないようなので、メラトニンとは違う経路で睡眠に役立っているのでしょう。

睡眠とホルモンの関係については前に記事でもご紹介しましたが、その際にトリプトファンと呼ばれるアミノ酸ビタミンB葉酸マグネシウムなどの栄養素が重要だとお話ししました。

今日は睡眠に重要な栄養素としてグリシン以外に亜鉛をご紹介したいと思います。亜鉛は味覚を正常に保つ効果で有名ですが、ストレス緩和にも役立つことが知られています。また睡眠にも重要な役割を果たしていることが知られていて、血液中の亜鉛の濃度が保たれていればいるほど、良質な睡眠や7~9時間程度の睡眠時間を確保することができるのではないかと言う報告もあります。

そのためDR大友のクリニックでも採血する際には亜鉛は必ずチェックしています。
亜鉛は血液脳関門を通過する物質ではありますが、ある程度の量を超えた場合に血液脳関門を一度に通過する亜鉛の量が増えるという研究報告も指摘されています。そういった観点から考えるとお食事からだけではなく、サプリメントの併用も考える必要があるのかもしれません。
またそれ以外にも先ほどから話題になっていたグリシンの受容体にカルシウム、マグネシウムイオンと働くことによって睡眠に影響を与える可能性も指摘されています。

亜鉛は男性ホルモンや成長ホルモンの分泌にも大きな影響を与えておりますので、日々のお食事から欠かすことのないようにしたいですね。

尚、お酒の摂りすぎやマグロなどに含まれる水銀や農薬に含まれるヒ素などの有害物質が体内にあると亜鉛は体から排出される傾向にあります。こういったことにも気をつけていただきたいです。

結論から言うと、満足の睡眠が得られない理由としては心理的なプレッシャーや社会的なストレスであることも少なくありません。でも栄養素が足りてなくて満足に寝られないことがあることもまた事実。安易に睡眠薬に頼る前にご自身の睡眠障害パターンに合ったお食事やサプリメントをとっていただければと思います。

今日も最後までご覧いただき誠にありがとうございました。

もう少しお付き合いいただける方は亜鉛が含まれる食材についてご覧ください。亜鉛といえば、一般的には牡蠣が有名ですが、今日は『緑黄色野菜の王様』とも言われるケールについてご紹介したいと思います。

 

大友博之 渋谷セントラルクリニック エグゼクティブ ディレクター

日本抗加齢医学会専門医、日本麻酔科学会専門医、日本医師会認定産業医、国際抗加齢医学会専門医(WOSAAM)

免疫栄養学に基づいた食事指導、ホルモン補充療法、再生医療、運動療法を取り入れた新しい統合医療をベースにした診療で著名人にもファンが多い。最先端の西洋医学に通じている一方で、「鍼治療の魔術師」と呼ばれるほど鍼治療の名手で東洋医学にも造詣が深い。

またワインと健康食の愛好家しても名高く、ボルドー、ブルゴーニュ、シャンパーニュのワイン騎士団から名誉ある「シュバリエ」を叙任されているほか、料理芸術や食の楽しみといった価値感を共有する美食家が集う日本ラ・シェーヌ・デ・ロティスール協会の「オフィシエ」でもある。

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