天然油脂の中でビタミンAはトップクラスな「バター」 ばたー
牛乳(生乳)に含まれる乳脂肪を凝集して練り上げ、固めたものがバターです。バター1箱(200g)を作るのに4.4ℓの牛乳を必要とします。
日本で流通しているバターの多くは、乳酸菌などを加えず発酵させないフレッシュバターと呼ばれるバターです。
フレッシュバターには、有塩バターと無塩バターがあり、一般的に家庭で使われるバターは有塩バターです。無塩バターは塩味がないため、製菓用や調理用として利用されます。
栄養素
バターの成分の80%は乳脂肪です。乳脂肪は食用油脂の中で最も消化が良いといわれれ、乳幼児や高齢者、胃腸の弱い人などでも胃腸に負担をかけずに栄養素を摂取できます。
バターには生乳由来の脂溶性ビタミンA,D,Eが多く含まれています。とりわけ、ビタミンAは牛乳の13~15倍と豊富に含まれています。
バターの油脂は、主にパルミチン酸やステアリン酸など中鎖脂肪酸に近い油脂で構成されています。中鎖脂肪酸は体内で素早く分解され、エネルギーに変わるため、脂肪がつきにくい特徴があります。
バター(有塩バター)の主な栄養成分(100gあたり 大さじ8~9杯 )
総カロリーと三大栄養素
・エネルギー……745kcal
・タンパク質……0.6g
・脂質……81g
・炭水化物……0.2g
ビタミン
・ビタミンA……510㎍
・ビタミンD……0.6mg
・ビタミンE……1.5mg
・ビタミンK……17㎍
・ビタミンB1……0.01㎎
・ビタミンB2……0.03㎎
・ビタミンB12……0.1㎍
・パントテン酸……0.06㎎
・ビオチン……0.4㎍
ミネラル
・ナトリウム……750㎎
・カリウム……28㎎
・カルシウム……15㎎
・マグネシウム……2㎎
・リン……15㎎
・鉄……0.1㎎
・亜鉛……0.1㎎
・ヨウ素……2㎍
・クロム……1㎍
・モリブデン……3㎍
脂肪酸
・脂肪酸総量……70.56g
・飽和脂肪酸……50.45g
・一価不飽和脂肪酸……17.97g
・多価不飽和脂肪酸……2.14g
・n-3系脂肪酸……0.28g
・n-6系脂肪酸……1.86g
・オレイン酸……16000㎎
・リノール酸……1700㎎
・α-リノレン酸……280㎎
・イコサトリエン酸……80㎎
・アラキドン酸……110㎎
その他
・食塩相当量……1.9g
効能・効果
皮膚や粘膜を保護する
バターは天然油脂の中で、ビタミンA(β–カロテン,レチノール)の含有量がトップクラスです。皮膚や粘膜を健康に保ち、病原菌が体内に侵入するのを防ぐ働きがあります。ビタミンAが不足すると、風邪を引きやすくなったり、口内炎や歯ぐきの腫れなどが起こりやすくなったりします。
目を健康に保つ、眼病予防
ビタミンAは、目の網膜にあるロドプシンを作るために必要な成分です。ビタミンAが欠乏すると光を感じる網膜の働きが悪くなり、暗がりで物が見えなくなる夜盲症(鳥目)が起こります。
骨や歯を健康に保つ
バターは牛乳に由来する油脂のため、カルシウムやマグネシウム、リンなどのミネラルが含まれています。骨や歯を丈夫にする働きがあり、骨粗しょう症の予防にもつながります。また、バターに含まれるビタミンDにはカルシウムの吸収を促進する働きがあります。
老化を防ぐ
バターには高い抗酸化作用があるビタミンEが含まれています。ビタミンEには細胞の酸化を防ぎ、体の老化を防ぐ働きがあります。また、シミやそばかすを予防したり、冷え性を改善する効果もあります。
東洋医学的側面
・寒熱:微寒(体の熱を冷ます)
・昇降・収散・潤燥:収(気を体の内に収める作用)、潤(体を潤す性質)
・臓腑:肝、脾、肺、腎、大腸、小腸
・五味:甘(補い滋養する作用)
・毒性:無毒
気や血を補い五臓の機能を高めます
疲労回復やストレスによるダメージを回復します
皮膚や粘膜に潤いを与え、咳や乾燥肌を防ぎます
便秘を改善します
栄養素を上手に摂るための保存方法と調理方法
有塩バターは塩分を1~2%ほど加えてあり、日持ちしやすいように加工されていますが、冷蔵庫に入れて保存しましょう。28℃ほどで溶けてしまい、一度溶けると組織が壊れるため、風味や口当たりが損なわれます。また、長期間保存する場合は冷凍庫で保存できます。
バターは油分と水分が多く、摂り過ぎると体を冷やします。また、カロリーが高くコレステロールや中性脂肪を増やすため、摂り過ぎには注意しましょう。
バターは香りが良く、明るいクリーム色のものを選びましょう。(少し黄味がかった色はビタミンAの色素です)
バターとマーガリンは似ていますが、原料や製造法が全く違うのものです。マーガリンを使う際、少量のバターを加えると、風味よく調理できます。また、マーガリンに含まれるトランス脂肪酸による悪影響を減らすことにもつながります。