日本人は「微量元素」不足だった
【DR大友の視点】
現代人は飽食の時代と言われて栄養失調という言葉は死語のように思われている。
事実、外来で患者さんに ’あなたは栄養素失調です’ とお伝えしても訝しい顔をされることが多い。でも事実として亜鉛が欠乏していない人やビタミンDが欠乏していない人を探す方が難しいという実感がある。
現代ビジネス 2017/9/19 日本人は「微量元素」不足だった…生きるための「元素」を知ろう!
に面白い記事があったのでご紹介させていただく。
『約1400人の住民の血清中の亜鉛濃度を調べたところ、血清亜鉛値80マイクログラム/デシリットルを基準にして考えると、長野県の人びとは亜鉛欠乏の傾向にあることがわかった。長野県の人びとだけが特殊な食事をしているわけではないので、これは日本国民全体にも当てはまると考えられる。』
亜鉛の濃度は食事に大きく影響されるので、この基準が絶対的であるかはどうかは別としてかなりの人が亜鉛が足りない、そしてそのために亜鉛欠乏のような症状を呈している可能性があることを示唆している。
亜鉛が欠乏している症状
食欲減退
生活活性の低下
性欲の減退
抑うつ傾向
味覚異常
が代表的ですが、それ以外にも老化の促進、皮膚トラブル、骨粗鬆症、脱毛、免疫力の低下が生じる可能性があります。
というのも亜鉛は細胞分化、糖の処理(インスリン抵抗性)、ホルモン産生に重要な働きをしていてカラダの機能を維持するために非常に重要です。
亜鉛の低下は主にミネラルの摂取量低下、ホルモン異常(ホルモン低下・ホルモンバランスの悪化・ピルの内服)、酸化ストレス、遅発性アレルギー、有害金属汚染によって生じます。
この記事の中では亜鉛不足の原因としてフィチン酸を取り上げています。
『亜鉛不足の原因は、パンにあった。彼らがイランで日ごろ食べていた未発酵のパンには、フィチン酸という化合物が多く含まれており、これが食品中やもともと体内にあった亜鉛と結合することで、亜鉛の吸収を抑えている、あるいは亜鉛の体外への排出を促していると理解されるようになった。』
日本人にとってもフィチン酸は実は身近です。
フィチン酸は大豆に含まれており、気を付けないと亜鉛を始めとするミネラルや微量元素の不足を引き起こしてしまうかもしれないのです。
ただ生活の知恵とはよく言ったもので、日本人はにがり(マグネシウム)を加えてお豆腐を作りその欠点を補っているのも見過ごせません。
人間の遺伝子は全ての栄養素が少なすぎても多すぎても余り働かないようになっています。採血や尿検査で自分には何が足りない(多い)のかを調べてみるのも現代的なヘルスマネージメントだと思います。
そんな時間はない、そんなお金がないという人は最高品質のマルチビタミン・ミネラルのサプリメントをお取りになることをお勧めします。
大友博之 渋谷セントラルクリニック エグゼクティブ ディレクター
日本抗加齢医学会専門医、日本麻酔科学会専門医、日本医師会認定産業医、国際抗加齢医学会専門医(WOSAAM)
免疫栄養学に基づいた食事指導、ホルモン補充療法、再生医療、運動療法を取り入れた新しい統合医療をベースにした診療で著名人にもファンが多い。最先端の西洋医学に通じている一方で、「鍼治療の魔術師」と呼ばれるほどハリ治療の名手で東洋医学にも造詣が深い。
またワインと健康食の愛好家しても名高く、ボルドー、ブルゴーニュ、シャンパーニュのワイン騎士団から名誉ある「シュバリエ」を叙任されているほか、料理芸術や食の楽しみといった価値感を共有する美食家が集う日本ラ・シェーヌ・デ・ロティスール協会の「オフィシエ」でもある。