胃のはたらき いのはたらき

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胃は大切な消化器機能を担う臓器のひとつです。胃は、入ってきた食べ物を一時的に貯蔵し、次の消化器官へと送り出す仕事をしています。食べ物が入っていないときは胃はぺちゃんこですが、食べ物が入ってくると風船のように広がる伸縮性のある臓器です。

胃の本来の役割

食べ物は口から入り、食道を通って胃の中へと運ばれ、そこで一時的に保管されます。食道と胃の間には噴門(ふんもん)があり、胃に入ってきた食べ物が食道へ逆流するのを防いでいます。胃の容量は成人では1,200mlから1,400mlくらいです。

胃の役割は主に3つに分けられます。

・胃酸を分泌することで、食べ物に付いている微生物を殺菌する。
・消化液を分泌して脂肪やたんぱく質の一次消化を行う。
・食べ物を貯蔵して、少しづつ次の消化管である十二指腸へと送り出す。

食べ物は、胃の中で胃酸により殺菌されます。そして、蠕動運動(ぜんどううんどう;うねるような運動のこと)と攪拌運動(かくはんうんどう;かきまぜる運動のこと)によって食べ物をよくこねた後に、消化酵素によってそれをドロドロの粥状にします。胃の蠕動運動は、1分間に3回程度規則正しく行われています。その後は、ドロドロの粥状になった食べ物は十二指腸へと送られます。胃と十二指腸の間には幽門輪(ゆうもんりん)があり、閉じだり開いたりして調整しながら、少しづつ胃から十二指腸へと食べ物を送り出しています。

こうした胃の貯蔵から排出までを胃の排泄作用といい、非常に重要な機能です。普通の食事では、食べ物は十二指腸へ送られるまでに胃の中に2時間から3時間程度とどまります。十二指腸では、色々な細胞が食べ物を感知して胃の働きを調整し、食べ物が胃にとどまる時間をコントロールしています。なお、水分、塩分、アルコールなどは胃ではなく主に小腸で吸収されます。

胃液とは

胃では、胃腺から一日に500mlから1,500mlもの胃液が分泌されています。胃粘膜の中には、胃液を分泌する噴門腺(ふんもんせん)、胃底腺(いていせん)、幽門腺(ゆうもんせん)という3種類の分泌腺があり、合わせて胃腺と呼んでいます。胃液には消化液の塩酸、消化酵素のペプシンのほか、胃酸から胃壁を保護する粘液などが含まれており、胃液はこれらの分泌液の総称です。胃液の役割は、ペプシンと塩酸により食べ物に含まれるたんぱく質を分解して消化することです。ここでは、脂質や糖質はある程度しか分解されず、小腸で主に分解されます。

胃液を分泌する腺細胞

胃液を分泌する腺細胞には、壁細胞、主細胞、粘液細胞があります。壁細胞からは主に塩酸が分泌されているため、胃の中は、ph13という強い酸性になっています。塩酸の主な役割は食べ物に付いた微生物を殺菌することです。主細胞からは、タンパク分解酵素であるペプシンの前駆体であるペプシノーゲンが分泌されます。ペプシノーゲンは酵素作用を発揮し、胃の細胞を分解しないようにしています。粘液細胞からは粘液が分泌され、強い酸性により胃の細胞が傷つけられないように保護しています。

胃の健康

ストレスが原因で胃が調子悪くなった時に『胃がキリキリ痛む』と表現することがあります。

慢性的にストレスを抱えると胃酸が持続的に分泌され、胃や十二指腸の粘膜が傷ついてしまうためです。胃の動きは自律神経によりコントロールされているため、ストレスがたまると自律神経のバランスが崩れ、胃は正常な消化活動ができなくなるのです。

また、食べ過ぎて胃がもたれるのは、胃で消化された食べ物がなかなか十二指腸へ送られず胃に滞留するためです。胃を健康に保つには、バランスのとれた食事と、上手なストレス発散により自律神経を整えておくことが大切です。

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