① 便秘を放置すると長生きできないかも

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Dr.大友 (渋谷セントラルクリニック総院長)
本日はたまちホームクリニック院長のDr.菰池をお迎えして便秘、特に慢性便秘症についてお伺いしたいと思います。消化器のDr.としては便秘を診ない日はないのではないですか?

Dr.菰池(たまちホームクリニック院長) 
悩んでいらっしゃる患者さんは非常に多いですね。

Dr.大友  
便秘と言われても皆さん同じことを考えているかどうかがわからないな、と言うのが普段外来をしていて印象があるんです。まずどういうことを便秘と言うのですか?

Dr.菰池 
便秘の定義はすごく難しいと思うんですね。2日に一回しか出ない方でも十分良いと言う方もいらっしゃれば、毎日出てても出きらないので私は便秘だと感じていらっしゃる方もいらっしゃいます。2017年に日本の厚生省がガイドラインを出して便秘の定義を出しております。

Dr.大友  
便秘の定義があるわけですね。

Dr.菰池 
はい。

Dr.大友
厚生労働省のガイドランはたいてい難しくなっていますので、優しく教えて頂けますか?

Dr.菰池 
はい、確かに難しいです。『本来出すべき糞便(ふんべん)を十分な量、かつ快適に排出できない状態のこと』を慢性便秘と言うように定義します。

Dr.大友  
本来体外へ排出すべき糞便、排出しなくて良い糞便はないですよね。

Dr.菰池 
そうですね。大腸の中で糞便が作られるわけですから、大腸の中に溜まっていると言うことはよくない。

Dr.大友  
必ず出さなければいけないわけですね。十分な量と言うことはチョロチョロ出ている鳥の糞便みたいなのはダメと言うことですね。

Dr.菰池 
そうですね。患者さんがよく仰るのが鹿の糞便とか羊の糞便とか言いますけど、糞便がチョロチョロと言うことになるとあまり良くないと言うことになります。

Dr.大友  
量の問題がありました。快適に排出できない状態と言うことですが、これは踏ん張っちゃダメと言うことですか?

Dr.菰池
そうですね。踏ん張る方は大概が排便に時間がかかるんですね。トイレに長く座って踏ん張る、でもちょっとしか出ない。それを1日何回も何回もと言うことになると、恐らく快適ではないと思います。

Dr.大友  
朝に1回ポンと出る。つまり言葉は悪いですけど一本グソみたいな糞便が出た方が良いのですか?

Dr.菰池 
バナナみたいな糞便が良いですね。

Dr.大友  
私は痛みが専門なのでどちらかと言うとお年寄りを診ることが多いです。
便秘症は男性と女性どちらに多いとかあるのでしょうか?

Dr.菰池 
若い方は女性の方が多いですね。10代から60代くらいまでの方は圧倒的に女性の方が多い病気です。

Dr.大友
それを超えると?

Dr.菰池 
60代、70代から男性の方が増えてきて、80代の方は男女比はほとんど同じくらいと言うことが言われています。

Dr.大友  
何で歳をとってくると男性が便秘になるんですか?不思議ですね。

Dr.菰池 
いろんな原因があると思いますが、活動量が落ちてくると言うのが一つ一番大きな要素だと思います。

Dr.大友
運動量が減る。

Dr.菰池 
歩かなくなってくるので腸の動きも悪くなってくる。

Dr.大友
通勤しなくなるとか。

Dr.菰池 
それもそうでしょうね。

Dr.大友
お薬とかは?

Dr.菰池 
60代、70代になってくるといろんな病気になって常用薬が増えてくると思いますので、お薬の副作用で便秘になってくると言う方もいらっしゃいます。

Dr.大友  
整形外科やペインクリニックでは60歳を超えると痛み止めを飲んでいることから胃腸薬を手放せなくなる方たちはいらっしゃいますからね。そういった副作用の可能性もあるかもしれませんね。

Dr.菰池 
痛み止めもやはり便秘になる一つの要素ですよね。

Dr.大友
便秘と言うと僕は若い時に麻酔をしていたので、実は死ぬ病気という印象があります。

Dr.菰池 
便秘イコール死に直結と言うことはあまりないかもしれませんけども、たまにありますね。

Dr.大友  
救急で腸が破裂してしまったみたいな状態でいらして、その方は3年くらい便秘だったと言う話を聞いたりします。

Dr.菰池 
ありますよね。あまり大々的に申し上げると恐怖心を煽る(あおる)ようで。。

Dr.大友
放置したらよくないので仰ってください。

Dr.菰池 
便が詰まってしまい腸が破れてしまう、破裂してしまう。それで命に関わると言う方はご高齢の方で多いですよね。

Dr.大友  
腸が薄くなってくるからと言うことですか?

Dr.菰池 
生理現象で腸も薄くなってきますし、慢性的に腸の圧力が高くなってくるので、いわゆるパンパンな状態でゴムじゃないですけど腸の壁が少し伸びる。

Dr.大友
破裂する寸前の風船のように。

Dr.菰池 
そうです。

Dr.大友
実際どうなのでしょう。慢性的に便秘があると将来病気になりやすいとか死亡率が高いとか、そういうお話はあるんですか?

Dr.菰池 
アメリカで便秘の方と便秘じゃない方を比べた研究があります。統計を取った場合に、便秘じゃない方の方が生存率が高いつまり長生きできると言うことは報告されています。

Dr.大友  
長生きできる!便秘だと長生きできないかもしれないと言うことですね。

Dr.菰池 
程度にもよると思いますが、毎日快適に糞便を出していらっしゃる方の方が健康でいられることはあると思います。

Dr.大友  
それは便秘を引き起こすいろんな原因をこのあとお伺いしたいと思っていますけれども、食物繊維を摂った方が良いとか、運動した方が良いとか排便すると言う行為そのものはやはり人間の健康のバロメーターだからと言う理解でよろしいでしょうか。

Dr.菰池 
その通りです。

Dr.大友  
なるほど。こちらに資料がありますが、「慢性便秘がある人とない人の生存率を15年間追跡したところ便秘がある人の方が生存率が有意に低下していた。」10 パーセント以上ですものね。

Dr.菰池 
そうですね。15年で7割5分と6割ぐらいですかね。

Dr.大友
と言うことで、深淵なる慢性便秘の世界にDr.菰池に誘って頂きたいと思います。

Dr.菰池 
よろしくお願いします。

 

大友博之 渋谷セントラルクリニック エグゼクティブ ディレクター

日本抗加齢医学会専門医、日本麻酔科学会専門医、日本医師会認定産業医、国際抗加齢医学会専門医(WOSAAM)

免疫栄養学に基づいた食事指導、ホルモン補充療法、再生医療、運動療法を取り入れた新しい統合医療をベースにした診療で著名人にもファンが多い。最先端の西洋医学に通じている一方で、「鍼治療の魔術師」と呼ばれるほど鍼治療の名手で東洋医学にも造詣が深い。

またワインと健康食の愛好家しても名高く、ボルドー、ブルゴーニュ、シャンパーニュのワイン騎士団から名誉ある「シュバリエ」を叙任されているほか、料理芸術や食の楽しみといった価値感を共有する美食家が集う日本ラ・シェーヌ・デ・ロティスール協会の「オフィシエ」でもある。

菰池信彦 たまちホームクリニック院長

日本内科学会認定医、日本消化器病学会認定消化器病専門医、日本消化管学会認定指導医、日本肝臓学会肝臓専門医、日本ヘリコバクターピロリ学会認定感染症認定医、日本がん治療認定医機構がん治療認定医、日本カプセル内視鏡学会認定医、日本医師会認定産業医

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