水銀の健康被害について知っている?

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編集部W
マグロの食べ過ぎって身体に悪いのですかって質問が来ています。

Dr.大友 (イシペディア編集長) 
それはマグロに含まれる水銀の話?

編集部W
そのようですね。

Dr.大友
それでは良い機会なので、水銀と健康問題についてまとめてみようか?

編集部W
水銀と言えば水俣病ですよね。アセトアルデヒド工場で触媒として使われていた水銀が工場内で変化して発生した有機水銀が原因物質でした。

Dr.大友
そうですね。日本はその後規制が厳しくなっているけど、東南アジアをはじめとした発展途上国ではまだまだ規制が甘いところもあるから食材などを通じて日本人の身体に蓄積していることは十分に考えられると思います。

編集部W
水銀はどんなところから吸収されるのですか?

Dr.大友
まず水銀についてお話ししましょう。
先ほどお話に合ったように水俣病の原因として知られる有害金属で、メチル水銀などの有機水銀は中枢神経に障害を起こすことがあります。
水銀は、ひとつは火山活動や土壌からの火山ガスの放出といった自然現象として、大気、水圏、土壌の中で種々の形で排出されています。
また人為的に化石燃料の燃焼、金の採掘、セメントの生産などでも排出されています。

編集部W
人工的にも作られるのですね。

Dr.大
水銀の汚染源としては次のものが挙げられます。

  • 海産物、魚、特に大型魚
  • アマルガム
  • 殺虫剤
  • 防カビ剤
  • 塗料
  • チロメサール
  • 水銀温度計
  • 加工食品

編集部W
現代の日本人はどこから主に水銀を取っているとお考えですか?

Dr.大友
厚生労働省が実施している調査によると平均的な日本人の水銀摂取量は健康へ影響を及ぼすレベルではないものの、日本では水銀摂取の80%以上が魚介類由来となっています。そのため魚介類を摂取するときに水銀含有量の高いものを避けることが望まれます。

編集部W
やはり魚介類なのですね。具体的にはどんなお魚が宜しくないのでしょう?

Dr.大友
マグロ類、サメ類、深海魚、鯨類などメチル水銀濃度が高い水産物の摂取に注意が必要です。
ここで言いたいことは、お魚が悪いという意味ではなく、特定の水産物を摂取しすぎることで水銀を摂りすぎることがあるということです。
魚を食べることによって健康には大きなメリットがあるのですが、その一方でこうした有害物質による健康被害も考えなくてはならない時代になったということですね。

編集部W
やはり工場からの排水が問題なのですか?

Dr.大友
日本は有害金属に関してはかつての公害を引き起こした時代よりも基準が厳しくなっていますが、日本のすぐ近くの発展途上国でそうした規制が甘い国もありますし、日本の電化製品などがそうした国で処理されていることもそうした有害金属の一つの原因になっている可能性はあります。
いずれにしても水銀は様々な経路で海洋に流入しますので魚介類を摂取することで、食物連鎖の過程で体内に水銀を蓄積してしまうことがあることに注意しなくてはなりません。

編集部W
お食事以外には水銀を摂ることはありますか?

Dr.大友
日本では少ないですが、歯科の治療でアマルガムという歯科充填剤で使われていたことがあるようです。

編集部W
歯医者さんですか。

Dr.大友
ここは僕の専門分野以外なのでコメント難しいですが。
アマルガムは約50%の無機水銀を含む合金で、一般的には「銀歯」といわれムシ歯の治療において歯の充填によく用いられてきた材料です。
歯科用水銀アマルガムでは他に、銅・銀・錫・亜鉛なども含まれています。
アマルガムの使用について、一部の国では水銀を使用するということから環境に配慮し使用を認めなくなりましたので全世界的には減っています。
日本の歯科治療では30年ほど前から一般的な使用が禁止され現在では使用されていません。
諸外国では実績や費用の面から未だ用いられている地域があります。

編集部W
なるほど。水銀はどれくらいとったら宜しくないのかについてはまた次回お伺いさせてください。

Dr.大友
了解です。

 

Part1 水銀の健康被害について知っている?

Part2 子供の知能指数や認知症の原因としても注目されている水銀の脳への影響

Part3 水銀の心臓への影響と日々の生活におけるお勧め水銀対策とデトックスの方法

 

〔大友“ピエール” 博之〕

日本のみならずロサンゼルス、フランクフルト、香港、バンコクに拠点を持ち、個別化医療(precision medicine)を実践している。免疫栄養学に基づいた食事指導、ホルモン補充療法、運動療法を取り入れた治療で定評がある。

・ 医師 日本抗加齢医学会専門医 / 欧州抗加齢医学会専門医 / 日本麻酔科学会専門医
・ 西洋薬膳研究家、シェフドクターピエールとしても活躍中
渋谷セントラルクリニック代表
・ 一般財団法人 日本いたみ財団 教育委員
・ 一般社団法人食の拠点推進機構 評価認証委員/食のプロフェッショナル委員

・ 料理芸術や食の楽しみといった価値感を共有するシェフなどが集う日本ラ・シェーヌ・デ・ロティスール協会のオフィシエ
・ ワインにも造詣が深く、フランスの主要産地から名誉ある騎士号を叙任している。
 シャンパーニュ騎士団 シュヴァリエ / ボルドーワイン騎士団 コマンドリー /ブルゴーニュワイン騎士団 シュヴァリエ     

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