夏を乗り切る驚きの新潟のスタミナ食とは⁉
新潟の夏の食べ物の定番
新潟は美味しいものの宝庫ですが、なかでも印象的なのがクジラ汁。
新潟の郷土料理の一つで、塩漬けにしたクジラの皮の脂身とお野菜を味噌で煮たものです。
クジラ汁は北海道や山形など他の地域でも、さまざまな具材で色々な時期に作られているそうですが、新潟では昔から夏の食べ物の定番。
高温多湿となる厳しい暑さに負けないためのスタミナ食として重宝されたみたい。
熱々の汁に鯨の油、と聞くとなんだかハードなイメージかもしれませんが、いただいてみるとこれが驚くほど胃に優しくじんわりと体に染み渡ります。
新潟ではお野菜は地元でとれた丸茄子を使うことがほとんどだそうですが、なるほど茄子とクジラというのも相性が良いのだなと開眼の思いでした。
鯨肉はナンバーワンのスタミナ食
クジラ汁がなぜスタミナ食なのかを考えてみましたが、DHA/EPAたっぷりの脂肪が頭をシャキッとさせてくれるからなのかも。。
鯨肉の脂質にはマグロやブリと同様にDHA・EPAが多く含まれています。海の哺乳類特有のDHAが豊富に含まれており、その効果はEPAの10倍!
DHAやEPAには悪玉コレステロールの減少、血流改善効果があり、生活習慣病の予防・改善に期待できますね。
また、日本人に不足しがちな鉄分が多く含まれています。鉄は摂取しても吸収されにくく、欠乏すると貧血の原因となります。鯨肉は吸収性のよいヘモグロビン鉄の形で含まれているので鉄分の補給源として優秀な食材といえます。
それだけでなく鯨は“バレニン”という疲労の予防・回復に効く成分を驚異的に含んでいるのも理由のひとつ。
バレニンは鯨肉特有の遊離アミノ酸でカルノシンと同じく疲労回復効果が認められています。特にヒゲクジラ類に多く含まれていて、なんと!100gあたりに対する有効成分の含有量は牛肉や豚肉の3~6倍も。
出典=「鯨肉に含まれるバレニンについて」(畑中寛)
3種類のクジラのデータは釧路水試「平成21年度事業報告書」鯨種別の遊離アミノ酸組成(2009年)より
疲労回復効果(乳酸の分解)に優れているバレニンの効能・効果はその他にも
・認知症
・もの忘れの予防改善
・老化物質の除去
・疲れにくい体を作る
・アレルギー症状を起こしにくい
鯨肉には食べ物アレルギーを起こしにくく、卵や牛乳、肉類などタンパク質源のアレルギーを持つ患者のための代替品としても注目されています。
鯨肉を東洋医学的にみると
・寒熱:温(体を温める)
・昇降・収散・潤燥:昇(気や熱を上昇させる)、潤(体を潤す性質)
・臓腑:脾、肺
・五味:甘(補い滋養する作用)
・毒性:なし
そういう意味でも夏バテにクジラと考えたのには先人の知恵が詰まっているのだなと思った次第。
皆さんの故郷にもきっと様々な郷土料理があると思いますが、Dr.ピエールにもぜひ教えて欲しいです!
低カロリーだけじゃない!鯨肉の凄すぎる栄養素についてもう少し詳しくお知りになりたい方はこちらをご覧ください。
低脂肪・低コレステロールでヘルシーな「鯨肉」
釜めし弥彦
新潟県西蒲原郡弥彦村弥彦1127
〔大友“ピエール” 博之〕
日本のみならずロサンゼルス、フランクフルト、香港、バンコクに拠点を持ち、個別化医療(precision medicine)を実践している。免疫栄養学に基づいた食事指導、ホルモン補充療法、運動療法を取り入れた治療で定評がある。
・ 医師 日本抗加齢医学会専門医 / 欧州抗加齢医学会専門医 / 日本麻酔科学会専門医
・ 西洋薬膳研究家、シェフドクターピエールとしても活躍中
・ 渋谷セントラルクリニック代表
・ 一般財団法人 日本いたみ財団 教育委員
・ 料理芸術や食の楽しみといった価値感を共有するシェフなどが集う日本ラ・シェーヌ・デ・ロティスール協会のオフィシエ
・ ワインにも造詣が深く、フランスの主要産地から名誉ある騎士号を叙任している。
シャンパーニュ騎士団 シュヴァリエ / ボルドーワイン騎士団 コマンドリー /ブルゴーニュワイン騎士団 シュヴァリエ