低脂肪・低コレステロールでヘルシーな「鯨肉」 くじら
鯨の旬は冬です。夏に向けて餌が豊富な高緯度の海域に移動するとされています。 そのため冬の時期には脂肪を多く蓄えた鯨肉を楽しむことができます。
鯨肉の効能・効果
鯨肉は牛肉や豚肉と比べるとタンパク質が多く含まれ、脂肪分のほとんどが良質の多価不飽和脂肪酸のため生活習慣病やダイエットに効果的な食材です。日本人が欠乏しがちな鉄分を多く含んでいるのも特徴です。また鯨肉はビタミンAが豊富で、セレンや亜鉛も豊富です。
さらに鯨肉には食べ物アレルギーを起こしにくく、卵や牛乳、肉類などタンパク質源のアレルギーを持つ患者のための代替品としても注目されています。
- 抗疲労効果成分バレニンが豊富
鯨肉にはバレニンという疲労回復効果のある栄養素が含まれているのが特徴です。バレニンは鯨肉特有の遊離アミノ酸でカルノシンと同じく疲労回復効果が認められています。
バレニンは人間の筋肉にも含まれていて、筋肉を守る働きをしています。鯨は繁殖時期の半年間、絶食状態のまま不眠不休で大海原を大回遊しなければなりません。鯨の巨体を動かすパワーの源になっているがバレニンです。
バレニンは、特にヒゲクジラ類(ミンククジラなど)に多く含まれています。しかも、100gあたりに対する有効成分の含有量は牛肉や豚肉の3~6倍にものぼります。
- 低コレステロールで血管疾患予防
鯨肉は、魚肉と比べても低コレステロールで、n-3の脂肪酸を多く含んでいるため、日本人の健康に最適な食材だと言えます。なかでも血液の擬固を抑制し、血管系の病気の予防、発癌の予防効果も期待でき注目されているEPA(エイコサペンタエン酸)や頭が良くなることで知られているDHA(ドコサヘキサエン酸)の割合が多くなっています。また鯨肉にはEPAの10分の1の量でEPAと同様の血管疾患予防効果が認められると報告のあるDPA(ドコサペンタエン酸)も含まれています。
- 血液サラサラのDHA・EPAが豊富
鯨肉の脂質にはマグロやブリと同様にDHA・EPAが多く含まれています。海の哺乳類特有のDHAが豊富に含まれており、その効果はEPAの10倍。
DHAやEPAには悪玉コレステロールの減少、血流改善効果があり、生活習慣病の予防・改善に期待できます。
- 吸収されやすい鉄分が豊富
鯨肉には日本人に不足しがちな鉄分が多く含まれています。鉄は摂取しても吸収されにくく、欠乏すると貧血の原因となります。鯨肉は吸収性のよいヘモグロビン鉄の形で含まれており、鉄分の補給源として優秀な食材といえます。
- コラーゲン、コンドロイチンが豊富
鯨肉の脂部位には、皮膚の主成分で肌の弾力や強度を保つ為に必要な天然のコラーゲンが豊富です。また軟骨には加齢とともに減少し、老化防止作用があるコンドロイチンが多く含まれています。
鯨肉の主な栄養成分(可食部100g当たり)
・エネルギー・・・106kcal
・タンパク質・・・ 24.1g
・ビタミンA・・・ 7μg
・ビタミンD・・・ 0.1μg
・ビタミンB12・・・2μg
・ビタミンB6・・・0.46mg
・ビタミンB1・・・0.06mg
・ビタミンB2・・・ 0.23mg
・葉酸・・・ 4μg
・ビタミンC・・・ 1mg
・ナトリウム・・・ 62mg
・カリウム・・・ 260mg
・ナイアシン・・・ 11.9mg
・鉄・・・ 2.5mg
・亜鉛・・・ 1.1mg
・セレン・・・ 32μg
・炭水化物・・・ 0.2g
・脂質・・・0.4g
東洋医学的側面
・寒熱:温(体を温める)
・昇降・収散・潤燥:昇(気や熱を上昇させる)、潤(体を潤す性質)
・臓腑:脾、肺
・五味:甘(補い滋養する作用)
・毒性:なし
栄養素を上手に摂るための保存方法と調理方法
水産資源の観点で話題に上りやすい点がありますが、日本では昔から食べられていた栄養価の高い食材です。
生の鯨肉が手に入ったら薄切りにしてお刺身で楽しむのも良いでしょう。
鯨肉の栄養素をしっかりと摂取するためには、竜田揚げなど揚げ調理がおすすめです。
脂肪が多いのは皮、また皮にはコラーゲンも含まれています。脂肪やコラーゲンまでしっかり摂取するにはスープや鍋など汁物料理がお勧めです。