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農薬は癌を増やすのか?日本と世界の残留農薬基準値を考える

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TPPに伴う農業交渉が大詰めを迎えているようです。(2019年4月18日現在)

とかく関税のことが取りざたされていますが、食の安全の事も同様に大きな問題となっています。

農業協同組合新聞によると『日本政府はこの間、離脱した米国の要求に沿って、種子法廃止や、企業への主食種子データの提供、自家採種原則禁止、生乳流通自由化など、ことごとく日本の農業を追い詰める法改正をセットで進めているのだ。

〈中略〉

交渉が関税以外のサービスや非関税障壁を含む段階に進めば、米国製薬業界やバイオ業界が繰り返し要求を出している「薬価」や「遺伝子組み換え作物」「ゲノム編集」や「農薬」などの分野がテーブルに乗って来る。』とあります。

遺伝子組み換えの農作物が含まれているお食事が、それと知られずに発泡酒や大豆油を通して私たちの身の回りに出回っていることは前に書きました。

そこで今日は農薬の基準値について考えたいと思います。そもそも農薬は何故良くないのでしょうか?

などの可能性が指摘されています。

4月初旬にモナコで開催されていた世界的なアンチエイジングの学会でも農薬については話題になっていました。そこでは緑茶のアンチエイジング、予防医学上の重要性が示される研究報告があったのですが、日本で作られた緑茶には農薬が多く含まれているから要注意と発表者が述べたことに関しては日本人として寂しく思いました。

こうした表現になったのは、ヨーロッパでは殺虫剤を使用することは、たとえ低濃度であっても、体にとって有害であり毒性があると考えられているからです。

実際にオーガニック食品を摂っていると癌が発生しにくくなるというフランスの研究があります。

この研究は68000人以上が参加していて、『オーガニック食品摂食回数増加と、癌リスク減少は相関する』ことが示されています。

オーガニック食品を摂る人は普段から様々な健康上に配慮したライフスタイルを送っている可能性があるので、癌になりにくいというところがあるかもしれないという注釈もありますが、それでも高い健康意識を持ち続けることががんの発生を防ぐところに繋がっているのだと思います。

こうした概念が一般に知れ渡っているので、オーガニック商品は街のとっても小さなスーパーであっても見つけることができます。これらの商品の多くは殺虫剤のみならず、合成肥料や遺伝子組み換え農作物を排除した商品として陳列されています。

先ほど話題にしたお茶、お米をはじめとして世界中の国別の残留農薬基準値を農林水産省が示しておりますのでご紹介したいと思います。

〚茶〛

〚米〛

中国、インド、ロシアは基準値がなくて日本よりも基準が緩いですが、日本はアメリカ、EU,台湾、韓国、ベトナム、インドネシア、 UAE、サウジアラビアなどの国に比べて残留農薬基準値が甘いことがわかります。

日本の農産物は世界中の中でも安全だと盲目的に日本人は思っている節があります。ただし、残留農薬基準値を見れば日本の農産物は少なくとも農薬という観点からはまだまだ課題があるようにも思えます。

いよいよ近づいてきた東京オリンピックの選手村の食事も問題になっています。2012年のロンドン大会以降、オリンピックではサステイナビリティ(持続可能性)がキーワードになっていて選手村や競技場の食材はオーガニックを優先的に調達することが盛り込まれています。

しかし日本のオリンピックではこれが難しい可能性があります。それどころかGAP(Good Agricultural Practice)と呼ばれるトレーサビリティ(農薬を使う前提ではありますが、生産工程の標準化)を保証することもできないかもしれないのです。農林水産省は、東京オリンピック開催前までにオーガニックの農産物の生産面積を1%にするという目標を掲げていましたが、現状では残念ながらその半分にも満たない状況です。

オリンピックはとかくスポーツ選手の努力と才能だけに目が行きがちですが、 オーガニックも含めた日本の農作物の今後についても考える良い機会ではないでしょうか?

 

大友博之 渋谷セントラルクリニック エグゼクティブ ディレクター

日本抗加齢医学会専門医、日本麻酔科学会専門医、日本医師会認定産業医、国際抗加齢医学会専門医(WOSAAM)

免疫栄養学に基づいた食事指導、ホルモン補充療法、再生医療、運動療法を取り入れた新しい統合医療をベースにした診療で著名人にもファンが多い。最先端の西洋医学に通じている一方で、「鍼治療の魔術師」と呼ばれるほど鍼治療の名手で東洋医学にも造詣が深い。

またワインと健康食の愛好家しても名高く、ボルドー、ブルゴーニュ、シャンパーニュのワイン騎士団から名誉ある「シュバリエ」を叙任されているほか、料理芸術や食の楽しみといった価値感を共有する美食家が集う日本ラ・シェーヌ・デ・ロティスール協会の「オフィシエ」でもある。

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