田子で収穫したニンニクと、埼玉県産を食べ比べ
冷涼な山の麓で育った青森田子産のニンニク
ニンニクそのものを感じ取るのに最適な料理法はなんだろうと考えて選んだのがアヒージョ。
いずれも無農薬で育てられたニンニクは、田子産のものが白さが目立ちますが、どちらも皮からはち切れそうにパンパンでずっしりとした粒。
ゆっくりと加熱して柔らかく煮えたところを食べてみると、田子産のほうはお芋かと思うほどのホクホク感と甘みにあふれているのですが、最後に凛とした余韻が残るのが印象的。
埼玉産のものは甘みの奥にニンニクらしい辛みが感じられる力強さを感じさせるバランスが秀逸。
青森県では芋、埼玉県では長ネギが多く栽培されているけれど、まさにそのイメージにピッタリの個性で驚くばかりだった。
同じ品種なのにこんなに個性に差があるのかはきっとテロワールによるもの。
テロワールはワインの世界でよく使われる言葉で、作物が育つ土地の個性や生育環境のこと。
ヨーロッパでは、テロワールが作物やワインの味わいに大きな違いをもたらしているという考えが根付いているため、畑の名前がワインの名前になっていたりするのです。
冷涼な山の麓で育った青森田子産のニンニクは昼夜の寒暖差から来るシュッとした端正さを感じさせますが、葡萄の栽培でも寒暖差が激しいところのワインはミネラル感あふれるシュッとしたワインに仕上がりやすい。
ニンニク=活力=アリシン 医食同源効果
“ニンニク=活力”と言われる鍵は、匂いのもとであるアリシン。
アリシンは体内に入ると、糖質をエネルギーに変えるビタミンB1と結びついて、体への吸収率を高めてくれます。ビタミンB1を効率的に吸収することが、元気のもとになるのですね。
さらにニンニクの成分は交感神経を刺激して、“やる気モード”を引き起こすホルモン、アドレナリンの分泌を促進するので、ここ一番!という時の力も湧いてきます。
杞憂に終わりましたが、ニンニクだけでは胃もたれするのではないかと一緒にアヒージョにしたもうひとつの胃腸に優しい食材が“山芋“。
中国では”山の薬”と呼ばれ、乾燥させたものが生薬としてエネルギーアップや不老長寿に使われており、日本では”山のうなぎ”と呼ばれ、その滋養強壮は広く知られています。
山芋には消化を助けるタンパク質や糖質を分解する酵素が豊富で、栄養を吸収しやすい形にしてくれることで疲労回復や滋養強壮につながるのです。
Dr.ピエールはお料理が終わったあとはワインを飲むのですが、この最強スタミナコンビをつまみにワインを飲んでいたら驚くほど酔わなかったという新発見。
山芋のネバネバに胃腸を守られたのか、ニンニクがビタミンB1を補うとともに肝臓の解毒酵素を増やしてくれたからなのか、身体が強くなるってこういうことかと実感しました。
Dr.ピエール ニンニクと長芋のアヒージョ
【材料】
ニンニク : 1玉
長芋 : 10cm
赤唐辛子 : 1本…タネを取り除く
オリーブオイル : 100ml
塩 : 小さじ1/4
【作り方】
① ニンニクの皮をむいて粒ごとに分け、長芋は7〜8ミリ厚さの半月切りにする。
② 小さいフライパンにニンニク、唐辛子、塩を入れてオリーブオイルを注ぎ、弱めの火にかける。
③ ニンニクが色付いたらひっくり返し、長芋をいれて両面に火を通す。ニンニクが柔らかくなれば完成。
〔大友“ピエール” 博之〕
日本のみならずロサンゼルス、フランクフルト、香港、バンコクに拠点を持ち、個別化医療(precision medicine)を実践している。免疫栄養学に基づいた食事指導、ホルモン補充療法、運動療法を取り入れた治療で定評がある。
・ 医師 日本抗加齢医学会専門医 / 欧州抗加齢医学会専門医 / 日本麻酔科学会専門医
・ 西洋薬膳研究家、シェフドクターピエールとしても活躍中
・ 渋谷セントラルクリニック代表
・ 一般財団法人 日本いたみ財団 教育委員
・ 料理芸術や食の楽しみといった価値感を共有するシェフなどが集う日本ラ・シェーヌ・デ・ロティスール協会のオフィシエ
・ ワインにも造詣が深く、フランスの主要産地から名誉ある騎士号を叙任している。
シャンパーニュ騎士団 シュヴァリエ / ボルドーワイン騎士団 コマンドリー /ブルゴーニュワイン騎士団 シュヴァリエ