米ぬかポリフェノールが自律神経のバランスを整える「米油」 こめあぶら
米油は玄米を精製するときに出る「米ぬか」から搾油された穀物油です。実った稲のような黄金色で、臭いやクセがなく、ふっくらとした風味があります。揚げ物がカラッと香ばしく揚がるため、せんべい、揚げあられ、ポテトチップス、かりんとうなど保存性食品の製造に使用されます。調理の際に気分が悪くなる「油酔い」が少ないことも特徴です。
栄養素
玄米が体に良いといわれるように、米ぬかにはさまざまな栄養素が含まれています。コレステロールや中性脂肪を減少させる植物ステロール、自律神経を整えるγ–オリザノール、保湿効果が高いスクワレン、肌の潤いを保つセラミド、抗酸化作用が高いビタミンEなど健康と美容の維持増進に役立つ成分が数多く含まれています。
また、脂質の摂取はバランスが大切で、飽和脂肪酸(S)、不飽和脂肪酸(M)、多価不飽和脂肪酸(P)の比率が3:4:3となるのが理想的です。米油に含まれる脂肪酸はSMP比のバランスが理想に近く、それぞれの脂肪酸が持つ働きを最大限に引き出すことができます。
米油の主な栄養成分(100gあたり 大さじ7~8杯)
・エネルギー……921kcal
・脂質……100g
・飽和脂肪酸……18.8g
・一価不飽和脂肪酸……39.8g
・多価不飽和脂肪酸……33.26g
・脂肪酸総量……91.86g
・n-3系脂肪酸……1.15g
・n-6系脂肪酸……32.11g
・オレイン酸……39000㎎
・リノール酸……32000㎎
・α-リノレン酸……1200㎎
・ビタミンE……25.5㎎
・ビタミンK……36㎍
効能・効果
自律神経の調整、更年期障害の緩和
米ぬかに含まれるγ–オリザノールは、米ぬか由来のポリフェノールです。医薬品やサプリメントにも使われる成分で、高い抗酸化作用を持つとともに自律神経のバランスを整える働きがあります。不安や緊張を和らげる効果や、女性ホルモンのエストロゲンに似た働きをすることから月経異常や更年期障害を改善する効果があります。
コレステロールや中性脂肪を減らす
米油に含まれる植物ステロールの一種オリザステロールは、血液中のLDL(悪玉)コレステロールや中性脂肪を減少させる働きがあり、高血圧や脂質異常症、高血糖など生活習慣病を改善する効果があります。また、オリザステロールには前立腺肥大による排尿障害を改善する働きも報告されています。
肌の新陳代謝を活発にする
米油には天然の保湿剤とのいわれるスクワレンが多く含まれています。スクワレンは化粧品の成分としても利用され、肌に潤いを与え、肌の新陳代謝を活発にする美肌効果があります。また、スクワランには肝機能の改善や潰瘍治療の促進、老化防止などの効果もあります。
血糖値の改善、糖尿病の予防
米油に含まれるポリフェノールの一種フェルラ酸にはインシュリンの分泌を促進し、血糖値を下げる働きがあるため、糖尿病の予防に効果があります。また、血圧を下げたり、中性脂肪を減少させたりする作用があり、生活習慣病の予防にも役立ちます。
認知症の予防、脳機能の改善
米油に含まれるフェルラ酸は、アルツハイマー型認知症の原因となるβ–アミロイドから脳の神経細胞を守る働きがあるとして注目されています。また、脳の酸化ストレス(※1)から脳神経細胞を保護する働きがあります。
(※1)酸化ストレスとは、体内で発生した活性酸素などが、体の細胞や組織などに結びつき、ダメージや障害を蓄積させること。
東洋医学的側面
・寒熱:平(体を温めも冷やしもしない)
・昇降・収散・潤燥:潤(体を潤す性質)、降(気を下ろす)
・臓腑:肝、脾、肺
・五味:甘(補い滋養する作用)、酸(免疫力を高める)
・毒性:無毒
自律神経やホルモンバランスを整えます
気力や体力を補い、体の免疫力を高めます
皮膚や粘膜に潤いを持たせ、乾燥を防ぎます
栄養素を上手に摂るための保存方法と調理方法
米油は、調理の際に気分が悪くなる、いわゆる「油酔い」が少ないため、油酔いを起こしやすい人でも安心して調理できます。
酸化安定性(酸化しにくい性質)が高く、炒め物や揚げ物など調理後の食材の保存性を高めます。
雑味がなく栄養価も高いため、生のままサラダのドレッシングやマリネなどに利用するのもおススメです。
常温で保存できますが、しっかりとキャップを閉め、直射日光を避けましょう。購入後の油を車のダッシュボードに置いたりしないように気をつけましょう。