

暑さや湿邪から身を守る「じゅんさい(蓴菜)」
じゅんさいとは
じゅんさいはアジア、北米、オーストラリア、アフリカなど世界中に広く分布しており、日本では秋田と山形を主産地として淡水の沼や溜池に自生するスイレン科の多年生水草です。かつては全国で見られる植物でしたが、きれいな水でしか生息できず、水質汚濁や農薬などに敏感で栽培方法を少しでも誤ると簡単に死滅してしまうため、現在では希少な食材です。じゅんさいの収穫時期は4月下旬から9月上旬で最盛期は6月頃です。
じゅんさいは沼底に根を張り、そこからたくさんの茎を伸ばします。葉の色は緑色、裏は紫を帯びた楕円形をした葉が水面いっぱいに広がります。
5、6月頃の若芽・若葉は食用となり、柔らかく透明のゼリー状でぬめりで被われており、新鮮なものほど味が良いとされています。つるんとした喉越しとぷるぷるの食感が特徴です。食用としているのは日本と中国と言われています。
じゅんさいの効能・効果
じゅんさいの成分は90%以上が水分でできており、その他には食物繊維、ビタミンB2、亜鉛などを含みます。
ちなみに、じゅんさいのぬめり成分は「アルギン酸」という食物繊維のひとつです。
・コレステロールの排出
ぬめり成分であるアルギン酸は、腸内にあるコレステロールを体外に排出するため、脂質異常症や動脈硬化の予防に働きかけます。
・アンチエイジング
昔から生命力の源である腎を補う食材とされ、その音が「若芽」「若女」と通じることから、老化を防ぎ、若返りの薬として使われてきました。実際にじゅんさいにはお茶に匹敵するほどのポリフェノールが含まれていることが知られています。
・むくみの防止
じゅんさいには利尿作用があり、体の余分な水分を外に出す働きがあります。
独特のぬめり成分はガラクトース、グルクロン酸、フコース、マンノースなどの多糖類とされています。
効能 :熱を取り除き、身体に害を与える作用を排除する。高熱・悪熱、多汗・四肢痙攣、麻痺、できもの。脾胃の気を下ろして吐き気を止める。
じゅんさいの主な栄養成分(1パック 200g当たり) 10kcal
・ 食物繊維・・・2g
・ タンパク質・・・0.8g
・ ビタミンA ・・・4μg
・ ビタミンE ・・・0.2mg
・ ビタミンK ・・・32μg
・ ビタミンB2 ・・・0.04mg
・ 葉酸 ・・・6μg
・ ナトリウム ・・・4mg
・ カリウム ・・・4mg
・ カルシウム ・・・8mg
・ マグネシウム ・・・4mg
・ リン ・・・10mg
・ 脂質・・・0.0g
じゅんさいの東洋医学的側面
・寒熱:涼(穏やかに体の熱を冷ます)
・五味:甘味、寒性
・臓腑:肝、脾
・毒性:なし
湿邪が滞らないよう、余分な水分を汗や尿として排泄させる
湿邪とは…
水分バランスの乱れのことを指します。
湿度の高い環境では、十分に汗をかくことができず、体内に余分な水分や老廃物が溜まりやすくなり血のめぐりが悪くなります。
このような不調を引き起こす湿度や湿気のことを“湿邪(しつじゃ)”と呼び、体内に取り込まれることで、頭痛、消化不良、便秘、むくみ、などの様々な不調が全身に表れます。
梅雨の時期に病気を引き起こす外的要因として最も強くなるのが「湿」です。
そして「湿」にかかわるのが五臓のうちの消化器系統全般を司る「脾(ひ)」です。
脾の働きには
・食物の消化吸収を栄養に変化させてカラダ全体に行きわたらせる
・水分代謝の助け
・血が脈外に出ないようにコントロールして出血を防ぐ
・臓器を正しい位置に留める
脾の働きが悪くなると下痢になったり、食欲不振、疲れやすい、むくみ、尿の量が少なくなる、倦怠感、めまい、顔色や唇に赤みがない、血便、血尿、皮下出血、不正出血、味覚が鈍るなど様々な症状が起こります。
じゅんさいの栄養素を上手に摂るための保存方法と調理方法
じゅんさいには、生のままパック詰めされているものと、水煮にしてからパックや瓶づめにされているものがあります。生のものは鮮やかな緑色をしていて、水煮のものは赤みがかった色をしています。
生のじゅんさいは、鮮度が落ちる前に早めに食べ切るようにしましょう。すぐに食べない場合などは下ごしらえをしてから冷蔵保存します。
じゅんさいを水で2~3回ほど洗って水気を切り、沸騰したたっぷりの湯で鮮やかな緑色になるまで茹でます。茹で上がったらすばやくザルに取り、冷水または氷水で冷やしましょう。そのあと小分けにして冷蔵庫で保存してください。
じゅんさいの独特な舌触りを活かして、さっと湯通ししてわさび醤油で食べたり、酢の物や汁物のほか、天ぷら、うどんや蕎麦のトッピングなど、くせのないたんぱくな味わいなのでいろいろなレシピが楽しめる食材です。
生じゅんさいが手に入ったらじゅんさい鍋で頂くのもオススメです。