④ 乳がん ホルモン治療の副作用と向き合う食事
Dr.大友(渋谷セントラルクリニック エグゼクティブ ディレクター)
乳がんのホルモン剤による副作用について、もう一度まとめて教えて頂いてもよろしいですか。
Dr.川村(川村病院副院長)
ホルモン剤はエストロゲンを抑えて乳がんの再発を予防するというお薬です。そのためエストロゲンが減少することに伴って更年期障害のような火照りだとか、冷や汗とかそういった症状が認められます。他にも関節の節々の痛みなどがよくみられる副作用です。
Dr.大友
一般的な更年期症状ですと、元気の無さ、エネルギーの無さみたいなものもあるんですけど。そういったことも起こりえますか。
Dr.川村
そういった症状もあるかと思います。
Dr.大友
もちろん手術の後であり、がんの治療中なので気が滅入っている人が多いと思います。どんなことをしたらよろしいですか。
Dr.川村
更年期障害のような症状に対してということですね。
Dr.大友
例えば、一般的には大豆というかね大豆のイソフラボンがいいって言われていると思いますけれども。欧米の研究だとイソフラボンは乳がんにおいては取りすぎるのはちょっとまずいんじゃないかという話しもあります。色々と意見が分かれるところだと思いますが、先生はどうお考えですか。
Dr.川村
イソフラボンは大豆に代表されるようなものですけれども、軽いエストロゲン作用があります。そのことで更年期様症状は緩和するかもしれないけれども、乳がんのホルモン治療に対して逆の作用があるので良いと言う人と悪いって言う人と説があります。欧米ではちょっと控えた方がいいんじゃないかと言うことを言う先生もいらっしゃいますし、逆にそこまで悪さをしないんではないかと言う先生もいます。私の見解としては摂り過ぎなければいいのではないかなと思います。
Dr.大友
一般論としては乳がんの再発のリスクを下げるというお話はありますよね。
Dr.川村
ありますね。
Dr.大友
日本ではどうなんですか?日本の研究では如何ですかイソフラボンを摂ることによって何か悪いことが起きたりするものなんですか。
Dr.川村
日本ではイソフラボンを摂ることによって再発のリスクを少し減らすと言う論文がいくつかあります。
Dr.大友
なるほど。あんまり心配し過ぎないことが重要ってことですね。
Dr.川村
そうですね。心配し過ぎないでいいと思います。
Dr.大友
イソフラボンをどの程度摂るかどうかってのは主治医の先生とご相談していただくと。やはりケースバイケースでしょうからね。
Dr.川村
先生とよく相談されて大豆などのイソフラボンを摂取されるのがいいと思います。
Dr.大友
イソフラボンが摂りたくない場合、そうは言っても気持ち的にホルモン作用があるものはあえて摂りたくないなっていう風に患者さんに質問されたら先生だったらどんなことをお勧めしますか?それ以外にお食事で何かいい方法はありますか。
Dr.川村
関節の痛みだったり、更年期障害に対してですね。私のお勧めは抗酸化物質、ビタミンとかそういったものを摂るのも一つかなとも思います。
Dr.大友
お野菜?
Dr.川村
お野菜とかですね。
Dr.大友
フルーツやお野菜で特にお勧めなどありますか。
Dr.川村
特に特定のお野菜というのはありませんけど、バランス良く新鮮なお野菜を摂って頂ければいいかなと思います。
Dr.大友
もう少し具体的に何かお伺いできますか。トマトがいいとかリコピンのような物質が良いとか。
Dr.川村
トマトもそうですし、オレンジなどの柑橘類もお勧めですね。
Dr.大友
なるほど、良く分かりました。では野菜の比率が多いベジファースト(野菜を最初に食べる)であり、ベジロット(野菜が豊富)なお食事をして頂くということですかね。
Dr.川村
そうですね。
大友博之 渋谷セントラルクリニック エグゼクティブ ディレクター
日本抗加齢医学会専門医、日本麻酔科学会専門医、日本医師会認定産業医、国際抗加齢医学会専門医(WOSAAM)
免疫栄養学に基づいた食事指導、ホルモン補充療法、再生医療、運動療法を取り入れた新しい統合医療をベースにした診療で著名人にもファンが多い。最先端の西洋医学に通じている一方で、「鍼治療の魔術師」と呼ばれるほど鍼治療の名手で東洋医学にも造詣が深い。
またワインと健康食の愛好家しても名高く、ボルドー、ブルゴーニュ、シャンパーニュのワイン騎士団から名誉ある「シュバリエ」を叙任されているほか、料理芸術や食の楽しみといった価値感を共あする美食家が集う日本ラ・シェーヌ・デ・ロティスール協会の「オフィシエ」でもある。
川村雅彦 川村病院副院長
日本外科学会 専門医、日本消化器外科学会 専門医指導医、日本消化器内視鏡学会専門医指導医、日本消化器病学会 専門医、消化器がん治療認定医、日本乳癌学会 認定医、日本医師会認定産業医
‘診断から治療、看取りまで’をモットーにどんな時も患者さんの心に寄り添える医師を心がけています。