美肌のためにシンコを喰わむ
夏の風物詩、愛されシンコ
モナコ辺りのセレブは古くから美肌のためにキャビアを好みましたが、現代の日本を生きる私たちは美肌のためにはシンコかな。
夏の風物詩として昔から江戸っ子に愛されてきたシンコを、住所や電話番号はおろか、正式な名称までもが非公開というボブ寿司さんで贅沢にも一皿たっぷり。
シンコは小肌、コノシロ、と大きくなるにつれて名前が変わる出世魚。
江戸時代まで武士は出世に伴って名前を変える習慣があり、そこから出世魚は縁起のよい魚とされるようになったみたい。
すぐ成長して小肌になってしまうため、シンコと呼ばれる時期は7~8月頃とごくわずか。
特に早い時期に食べるほど美味しいとされ、シンコの初物は初夏の楽しみのひとつ。
高度な職人技が必要
ところでシンコが高級なのは、その価格と職人の手間がすごいから。
小肌よりも更に塩と酢の加減をデリケートに、職人は技の全てを集約して最高のものを作らなくてはならない。
それだけ大変で仕入れが高くても、江戸前の寿司屋は威光を賭けて初物を競り落とし多くのお店が原価ギリギリや原価割れで提供している。
これは昔から’初物は儲からない’と割り切り、手間暇かけて損をする、年に一度の意地と誇りの仕事だから。
ところで酢で柔らかくなっているので気付かないものの、実はシンコには小骨がついているのでカルシウム満点。
カルシウムというと骨を強くするイメージですが、実は美肌には欠かせないミネラル。
お肌の内側に存在し、細胞を再生してお肌の生まれ変わりをスムーズにしてくれる。
酢にはカルシウムの吸収率を上げる効果があるので、非常に理にかなった食べ方ですね。
またシンコには「肌とエネルギー代謝のビタミン」と呼ばれるビタミンB2、保湿効果のあるマグネシウムや血流を良くするDHA・EPAも豊富。
Dr.ピエールも大将の粋な計らいとたっぷりのシンコで翌日にはお肌ピチピチになってました。
梅雨が明けて、マスクをしていると大事なミネラルは汗で失われがち。
ちょっと贅沢ではあるけれど、旬のシンコの力で美肌を目指しましょう。
〔大友“ピエール” 博之〕
日本のみならずロサンゼルス、フランクフルト、香港、バンコクに拠点を持ち、個別化医療(precision medicine)を実践している。免疫栄養学に基づいた食事指導、ホルモン補充療法、運動療法を取り入れた治療で定評がある。
・ 医師 日本抗加齢医学会専門医 / 欧州抗加齢医学会専門医 / 日本麻酔科学会専門医
・ 西洋薬膳研究家、シェフドクターピエールとしても活躍中
・ 渋谷セントラルクリニック代表
・ 一般財団法人 日本いたみ財団 教育委員
・ 一般社団法人食の拠点推進機構 評価認証委員/食のプロフェッショナル委員
・ 料理芸術や食の楽しみといった価値感を共有するシェフなどが集う日本ラ・シェーヌ・デ・ロティスール協会のオフィシエ
・ ワインにも造詣が深く、フランスの主要産地から名誉ある騎士号を叙任している。
シャンパーニュ騎士団 シュヴァリエ / ボルドーワイン騎士団 コマンドリー /ブルゴーニュワイン騎士団 シュヴァリエ