睡眠を取れば痩せられるのか?ダイエットと脳機能
Dr.大友 (イシペディア編集長)
本日は睡眠不足と太りやすさが関係しているかを渋谷セントラルクリニック院長のDr.河村にお伺いしたいと思います。そこでズバリお聞きします。ダイエットの成功と睡眠は関係していると思いますか?
Dr.河村(渋谷セントラルクリニック院長)
私は関係あると思います。睡眠は代謝や食欲や血糖のコントロールにおいて非常に重要な働きをしていることが分かっています。
Dr.大友
10年前は睡眠を制するものがダイエットを成功させるなんて論文も多かったですね 。睡眠だけでも一つのテーマになりそうですが、睡眠が悪いってどんな状況ですか?
Dr.河村
まず睡眠の障害とは何かついて考えてみたいと思います。睡眠の障害とは睡眠時間が足りないことや睡眠の質が悪いことの二つが原因として考えられます。
Dr.大友
睡眠の時間に関しては誰もが認識できるかと思いますが、睡眠の質については何か客観的なご意見はありますか?
Dr.河村
私は目覚めた後のすっきり感が睡眠の質を考える簡単な方法だと思いますよ。
Dr.大友
確かにお酒を飲んで二日酔い気味の朝なんかは ドンヨリした感じで目が覚めますね。
Dr.河村
最近ではアップルウォッチなどの機能でレム睡眠やノンレム睡眠について調べることができますから、そういったことを参考にしてもよろしいかもしれません。
Dr.大友
先ほど睡眠の質が悪い症状の一つとして寝起きが悪いというお話をいただきました。他にもそういったことを示すような症状はありますか?
Dr.河村
やはり食欲はひとつの症状になるでしょうね。また誰にも睡眠が十分でないとイライラしたり、仕事がはかどらない(生産性が悪い)ことなどは体験されたことがあるのではないかと思います。
Dr.大友
たびたびの二日酔いの話で恐縮ですが、朝起きた時に筋肉がだるいようなそんな症状も睡眠の質を反映していますか?
Dr.河村
筋肉がだるい感じがするとか、目がピクピクするなんかは睡眠の質が悪いことを示す症状の一つですね。
Dr.大友
それ以外にはどんなことがあるでしょうか?
Dr.河村
やはり集中力が下がるのではないでしょうか。反応が鈍くなってしまったり、記憶力が悪くなったりなどの症状は睡眠の質が悪いことを示す症状だと思います。
Dr.大友
なるほどですね。一般的によく寝られなくなることははうつ病(抑うつ状態)の始まりの症状として知られています。そういった理解でよろしいでしょうか?
Dr.河村
そうですね。気が滅入って(プチウツ)しまったり、不安が強くなってしまったりといった症状を悪化させる可能性はあると思います。私たちのクリニックではフードクレイビングと言って食欲のコントロールが出来なくなってしまっている人も少なからずいらっしゃいます。
Dr.大友
最近ではショートスリーパーなんて言葉も流行っていて、睡眠時間が短くても良い人の存在も知られています。先生の考えではダイエットしたい人はどれぐらいの時間寝るのが理想的?
Dr.河村
睡眠には脳をリフレッシュする効果だけではなく、成長ホルモンの分泌を促したりする時間としても重要です。そういった観点から私は7~9時間ぐらいは寝ていただきたいなと思います。
Dr.大友
成長ホルモンはダイエットに重要なホルモンですからね。特に運動した日は長く寝た方が良さそうですね。
Dr.河村
その通りです。筋肉量を増やす反応と脂肪の量を減らす反応は体内では同じ工程なので、エクササイズをした日はよく寝ていただきたいです。
Dr.大友
ジムに行くと、終わった後に付いいっぱいビールなんて人もいますがどう考えですか?
Dr.河村
二つの意味で残念だと思います。一つはビールのカロリーの問題。何よりもビールを飲むことによって肝臓に負担がかかり、夜間の成長ホルモンの分泌量が減る可能性も指摘されています。
Dr.大友
そういった意味ではせっかく運動した日はお酒を飲まずに、早く寝た方が良いということでしょうか?
Dr.河村
まさにその通りですね。エクササイズをした後3時間以内にタンパク質をしっかりとっていただきたいと思います。タンパク質の量も運動していない日よりは気持ち多めにお召し上がりになった方が良いと思います。
Dr.大友
タンパク質は体重あたりどれぐらい取ったらよろしいのでしょうか?
Dr.河村
年齢やエクササイズの種類や負荷にもよりますが、少なくとも体重あたり0.8 g/kg必要だと思いますし、強めのエクササイズをした人や若い人では体重あたり1.2 g/kgとってもよろしいと考えます。
Dr.大友
よくわかりました。この後は睡眠の質を下げてしまう原因についてお伺いしたいと思います。