更年期や初期の風邪には「くず(葛)」 くず

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くずは、マメ科クズ属のクズの根から作られるでんぷんです。根を打ち砕き、水中で洗い出すことででんぷんを分離させ、これを沈殿法により水洗、精製したあと乾燥させたものが製品として販売されています。くずの旬は秋です。

くずは古くから食品や生薬として利用されてきた日本の伝統的な植物です。秋の七草の一つ
風邪をひいた時の「葛湯」や、くずの根を乾燥させて煎じた「葛根湯」は有名です。他にも、切り傷の回復にくずの青葉を搾った汁や養毛効果に良いとされる新芽を水で煮出したお茶などがあります。

くず100%のものは価格が高く、ほとんどの市販品にはじゃがいもでんぷんが含まれているものが多いです。産地は西日本を中心に数か所ありますが、一番有名な産地は、「吉野のくず」で有名な奈良です。

栄養素

くずは、ほとんどの成分が炭水化物です。また、炭水化物の中でも、ほぼ100%がでんぷんなので、食物繊維や他の糖質はほとんど含まれていないことになります。

でんぷんは、生のままでは消化に悪いため、水を加えて加熱することで食用として様々な効果を発揮します。生のを炊飯するのもこれにあたります。
また、マメ科に属しているためイソフラボンを多く含みます。

くずの栄養成分(可食部100gあたり 小さじ1で3g)

エネルギー・・・347kcal
炭水化物・・・85.6g
食物繊維・・・0g
・でんぷん・・・85.6g

効能・効果

風邪の諸症状の軽減:くず粉を湯に溶かして飲用することで、自然発汗がなく、頭痛、発熱、悪寒、肩こりなどを伴う症状に効果があります。比較的体力のある初期段階でないとあまり効果が得られません。

更年期障害の軽減:女性ホルモンに類似した構造をもつイソフラボンを多く含むため、更年期の女性などへの効果が期待できます。

東洋医学的側面

・寒熱:平(体を温めも冷やしもしない)
・昇降・収散・潤燥:潤(体を潤す性質)・昇(気や熱を上昇させる)
・臓腑:脾・胃
・五味:辛(発散、気を巡らせる作用)・甘(補い滋養する作用)
・毒性:なし

風邪の初期症状に効果がある漢方として「葛根湯」が有名です

栄養素を上手に摂るための保存方法と調理方法

通常の粉類と同様、しっかり密閉して保存することが大切です。湿気の多い時期などは、冷蔵庫に保管することをおすすめします。
寒気や発熱を感じ始めたときはもちろん、体を温めたいときに、くず粉と砂糖、またしょうが汁も一緒に、湯に溶かして飲むと効果が期待できます。また、あんかけにとろみとして使用したり、お菓子の材料として重宝できます。

 

【監修】 大友博之 渋谷セントラルクリニック エグゼクティブ ディレクター

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