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がんを予防したいなら「ターメリック」を使おう たーめりっく

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    ターメリックの和名は、「ウコン」。ウコンの地下茎を乾燥させたものがターメリックで一般には粉末にしてスパイスとして使われています。
    香りはやや土臭く華やかな味わいはありませんが、鮮やかな黄色の色付けができるスパイスとしてカレーや沢庵漬けの色付けに使われています。

    ターメリックにはクルクミンと呼ばれる黄色のポリフェノールが含まれており、抗酸化作用やコレステロール値の低下・肝機能の向上・消炎・鎮痛・解毒などの効果があると言われています。何千年も昔から中国伝統医学やアーユルヴェーダ(インドの伝統的医学)において、傷口の炎症や消化不良の薬として使われてきました。

    ターメリックの旬は11月上旬~下旬です。葉っぱが枯れ始めたら収穫の適期です。

    栄養素

    ターメリックに含まれる成分の中で最も注目されているものが「クルクミン」。

    クルクミンはポリフェノールの一種であり、ターメリックの中でも主となる有効成分です。クルクミンは強い抗酸化・抗炎症作用があると考えられています。
    これらの作用には、シワやシミ予防となるアンチエイジング効果・消化不良の改善・肝機能を助ける効果が期待されるため、美容・健康に効果的と言われています。

    有効成分クルクミンの注目が高まっているターメックのさらなる健康効果については現在も研究途中です。

    ターメリックの栄養成分(可食部 100g あたり)

    ・ エネルギー……352kcal
    ・ 脂質……2.6g
    ・ 炭水化物……74.4g
    ・ ナトリウム……22.5g
    ・ クルクミン……1500㎎
    ・ デメトキシクルクミン……530㎎
    ・ ビスデメトキシクルクミン……500㎎
    ・ リン……微量(測定値なし)
    ・ ……微量(測定値なし)
    ・ カルシウム……微量(測定値なし)
    ・ 精油成分(ターメロン、シオネール)……微量(測定値なし)

     ※根を1株程度乾燥させたものを粉末状にした場合の含有量

    効能・効果

    ◆記憶力の向上
    最近の研究で脳に関連する健康効果があるとわかりました。2018年に実施された51~84歳の人を対象とした研究では、90ミリグラムのクルクミンを1日2回、18カ月間摂取し続けた人は、偽薬を飲み続けた人より記憶力がアップしたということがわかりました。クルクミンの抗炎症作用が脳の記憶障害の原因となる病気を予防する効果も期待できます。

    ◆心臓病予防
    クルクミンの抗酸化作用や抗炎症作用は、糖尿病性心筋症や不整脈など特定の心臓病の予防に役立つ働きがある。
    学術誌『Pharmacological Research』に掲載されたレビュー論文より

    ◆特定のがん予防に効果
    クルクミンが皮膚がんや消化器がんなどの特定のがん細胞の活動を抑えたり、成長を遅らせたりすることが発表されています。ターメリックががんにおよぼす影響を確かめるためには、さらなる研究が必要になります。
    学術誌『Molecules』に掲載されたレビュー論文より

    ◆変形性関節症の痛みをやわらげる
    クルクミンを4週間摂取し続けると、変形関節症の痛みがやわらぐ(非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)やグルコサミンを摂取した場合と同等の効果が得られる)可能性があるという報告があります。
    roasted turmeric caul iflower with greek yogurt dressing delicious healthy food on a grey background, top viewOksanaKiianGetty Imagesレビュー論文

    ◆花粉症の症状を軽減
    花粉症による空咳(乾いた咳)、かゆみ、そして鼻水や鼻づまりの人には、抗酸化作用や抗炎症作用があると考えられているクルクミンが役に立つかもしれません。
    クルクミンのアレルギー症状に対する効果の実験を実施したところ、ヒスタミンの放出が抑えられ、アレルギー症状が大幅に軽減されました。

    ◆うつ病の症状を軽減
    うつ病を患って抗うつ薬を飲んでいる人の症状を軽減してくれます。ある研究では、クルクミンと抗うつ薬のプロザックとの飲み合わせに悪い影響は見られなかった上、良好な効果が得られる傾向があったとのこと。

    ◆コレステロール値を適正に保つ
    ターメリックとクルクミンが血中脂質濃度に与える影響について7つの研究をまとめたところ、それらが心血管疾患のリスクをいくらか軽減できる可能性があることがわかりました。

    ◆歯周病予防
    ターメリックの抗炎症作用や抗真菌作用が、一般的な歯周病のひとつである歯肉炎の予防や治療に役に立ちます。

    東洋医学的側面

    ・ 寒熱:寒(体の熱を冷ます)
    ・ 昇降・収散・潤燥:潤(体を潤す性質)・降(気を降ろす)
    ・ 臓腑:脾、肺
    ・ 五味:辛(発散、気を巡らせる作用)・苦(気を降ろす、固める作用)
    ・ 毒性:無毒

    気血の巡りを良くして、腹痛、月経痛、乳房のハリや痛みを改善します
    体の血を冷まし、精神を安定させ、イライラを解消します
    吐血、血尿、鼻血などの止血作用があります
    肝の機能を改善し、黄疸や胆石を改善します
    血流を改善し、肩こりや腰痛を改善します

    栄養素を上手に摂るための保存方法と調理方法

    ターメリックに含まれているクルクミンは油溶性で水に溶けないため、炒める時に加えることでクルクミンの成分をしっかりと吸収することができます。
    カレーを作る際には、カレー粉から自作すると乳糖不耐症やグルテンフリーなどの食事制限がある方にもお召し上がりいただけます。

    基本となるスパイスはターメリック、クミン、ガラムマサラ、コリアンダー、レッドペッパーなど。お好みでカルダモンやシナモン、クローブ、ブラックペッパーなどを組み合わせることで相乗効果が高まり滋味深いカレーに仕上がります。

    飲み物ではシナモン、ジンジャーなどのスパイスと、はちみつを混ぜたゴールデンラテがあります。牛乳よりは豆乳やアーモンドミルクにするとよりヘルシーに楽しめます。

    ターメリックパウダーは密閉容器に入れて直射日光、高温多湿を避け常温で保存するとよいでしょう。

     

    【監修】 大友博之 渋谷セントラルクリニック エグゼクティブ ディレクター

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