ヒトの肌の脂に近く、肌の乾燥を防ぐ「ラード」 らーど
ラードは豚の脂肪から採油される半固形状の食用油脂です。植物油より酸化されにくく、油の風味が良いため、とんかつやコロッケなど揚げ物の調理やラーメンのスープに使う背脂などに利用されます。沖縄地方ではラードをご飯に混ぜた“ラードご飯”としても親しまれています。
栄養素
ラードの栄養素はほぼ100%脂質です。飽和脂肪酸が多く含まれ、効率良くエネルギーを生み出します。日本人の場合、飽和脂肪酸が不足することは少なく、余分なエネルギーは皮下脂肪や内臓脂肪として蓄積されるため、摂り過ぎには注意が必要です。
ラードの脂質は40%ほどが飽和脂肪酸で構成されるほか、不飽和脂肪酸のオレイン酸やリノール酸が多く含まれています。また微量ながら脂溶性のビタミンD,E,Kが含まれます。
動物性脂肪に多い飽和脂肪酸は、摂り過ぎると中性脂肪やLDL(悪玉)コレステロールを増やし、動脈硬化をはじめとする生活習慣病を招きます。特にラードは融点が高く、体内で固まりやすい性質があり、血液の粘度が高まる“血流ドロドロ”の状態を作りやすいため過剰摂取に注意が必要です。
ラードの主な栄養成分(100gあたり 大さじ8~9杯 )
総カロリーと三大栄養素
・エネルギー……941kcal
・タンパク質……0g
・脂質……100g
・炭水化物……0g
ビタミン
・ビタミンD……0.6mg
・ビタミンE……1.5mg
・ビタミンK……17㎍
脂肪酸
・脂肪酸総量……92.66g
・飽和脂肪酸……39.29g
・一価不飽和脂肪酸……43.56g
・多価不飽和脂肪酸……9.81g
・n-3系脂肪酸……0.46g
・n-6系脂肪酸……9.35g
・オレイン酸……40000㎎
・リノール酸……8900㎎
・α-リノレン酸……460㎎
・イコサトリエン酸……370㎎
・アラキドン酸……100㎎
効能・効果
学習力や記憶力の向上
ラードに含まれるアラキドン酸は、脳の神経細胞の主成分となり、学習力や記憶力、集中力を向上する作用があります。ただし、摂り過ぎると大腸がんや前立腺がん、動脈硬化、アレルギーなどを引き起こす恐れがあるため、過剰摂取には注意が必要です。
脳の血管を強くする
ラードに含まれるパルミチン酸から合成されるパルミトレイン酸は、脳内の血管に入り込むことができる数少ない脂肪酸の一つです。脳の血管を強くする働きがあり、脳卒中など脳血管障害の予防効果が期待できます。
肌の乾燥を防ぐ
ラードの脂はヒトの肌の脂に近いといわれ、肌の乾燥を防ぐ効果があります。また、空咳やのどの渇きを防ぐ効果も期待できます。
東洋医学的側面
・寒熱:平(体を温めも冷やしもしない)
・昇降・収散・潤燥:潤(体を潤す性質)
・臓腑:肝、腎
・五味:甘(補い滋養する作用)
・毒性:無毒
体にエネルギーを蓄えます
肉体疲労を回復します
体を潤し、乾燥を防ぎます
栄養素を上手に摂るための保存方法と調理方法
野菜炒めやチャーハン、中華料理、鉄板焼きなどでサラダ油をラードに変えて調理するとコクや風味が良くなります。
ラードは密閉したビンに入れ、冷蔵庫で保存します。時間が経つほど風味がなくなるため、開封後は2~3週間で使い切りましょう。清潔なスプーンを使い、雑菌が入らないように保存しましょう。
マヨネーズのような容器に入ったクッキング用のラードも市販されています。使いやすく保存にも便利です。