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高カロリーだけど体温維持には効果的「ヘット(牛脂)」 ㇸっと(ぎゅうし)

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ヘットとは、の脂肪を精製した動物性の食物油脂です。「牛脂」とも呼ばれます。スーパーの精肉売り場などに置かれている白い脂の塊がヘット(牛脂)です。ハンバーグやステーキ、すき焼きなどの調理に利用すると、独特の風味とうま味が生まれます。市販のカレールーの製造にも使われます。

栄養素

牛脂は成分の99%以上が脂質で、飽和脂肪酸のステアリン酸やパルミチン酸、不飽和脂肪酸のオレイン酸、リノール酸などが多く含まれています。また、脂溶性のビタミンA,D,Kを含有するほか、微量ながらカリウム、リン、鉄が含まれます。

飽和脂肪酸は、摂り過ぎると中性脂肪やLDL(悪玉)コレステロールを増やし、肥満や生活習慣病、動脈硬化、虚血性心疾患などの原因となるため、注意が必要です。また、固形のヘット1片(20g)あたり、およそ180Kcalとカロリーが高いため、使い過ぎに注意しましょう。

ヘット(牛脂)の主な栄養成分(100gあたり 固形牛脂5個 )

総カロリーと三大栄養素

・エネルギー……940kcal
タンパク質……0.2g
脂質……99.8g
炭水化物……0g

ビタミン

ビタミンA……85㎍
ビタミンE……0.6mg
ビタミンK……26㎍

ミネラル

ナトリウム……1㎎
カリウム……1㎎
リン……1㎎
……0.1㎎

脂肪酸

・脂肪酸総量……89.67g
・飽和脂肪酸……41.05g
一価不飽和脂肪酸……45.01g
多価不飽和脂肪酸……3.61g
n-3系脂肪酸……0.17g
n-6系脂肪酸……3.44g
・オレイン酸……41000㎎
・リノール酸……3300㎎
・α-リノレン酸……170㎎
・イコサジエン酸……69㎎
・イコサトリエン酸……56㎎

効能・効果

活力をつける

牛脂は植物油よりカロリーが高く、体内で大きなエネルギーを作ります。活力をつけ、疲労回復や体力の維持に効果があります。ただし、余ったエネルギーは脂肪として蓄積されるため、カロリーが気になる人は、摂り過ぎに注意が必要です。

体温の保持

牛脂のカロリーは、体を動かすエネルギー源となるだけでなく、体温を保持する役割があります。体温を保つことで代謝を促進し、血流の改善や冷え性の予防に効果が期待できます。

肌の潤いを保つ

ヘットに含まれるビタミンAには、皮膚や粘膜を保護し、肌の潤いを保つ働きがあります。肌のカサつきなど乾燥肌が気になる人は、牛脂の油分を適量摂取することで肌の潤いが保たれます。

東洋医学的側面

・寒熱:温(体を緩やかに温める)
・昇降・収散・潤燥:潤(体を潤す性質)
・臓腑:脾、腎
・五味:甘(補い滋養する作用)
・毒性:無毒

気を補い、疲労を回復します
皮膚や粘膜に潤いを与え、乾燥肌を防ぎます
便秘を改善します

栄養素を上手に摂るための保存方法と調理方法

ヘットはラードよりもやや融点が低いですが、体内に入ると固まりやすい性質があり、血液の粘度が高くなる(血液がドロドロになる)ため、摂り過ぎに注意しましょう。

スーパーの精肉売り場などに無料で置いてあるヘットは、1個あたりおよそ7gです。1個あたりのカロリーは、およそ66Kkalとなり、23個でご飯1杯分に相当します。

精製されたヘットは冷蔵庫で保存します。ヘットは植物油に比べ、酸化しにくい性質がありますが、23か月程度で使い切りましょう。長期保存する場合は冷凍庫で保存しましょう。

日本人はサシ(脂)が入った牛肉を好む傾向がありますが、サシの部分はヘットと同等な脂質のため、脂肪の摂り過ぎが気になる人は、赤身肉など脂質の少ない牛肉を選びましょう。

 

【監修】 大友博之 渋谷セントラルクリニック エグゼクティブ ディレクター

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