喘息に効く漢方のひとつ「杏仁」 きょうにん
杏仁とは、杏子の種子の中の白い実のことで、漢方の世界では古くから喘息に効く民間薬として使用されてきました。杏仁の旬は6月下旬~7月中旬です。
栄養素
杏仁は生薬として使う場合は「キョウ二ン」と読み、お菓子など食品に用いる場合は「アンニン」と呼びます。
杏仁(キョウニン)は、古くから咳止め用の生薬として利用されてきました。杏仁にはアミグダリンという青酸配糖体が含まれており、これが体内で分解されて微量の青酸を生じます。青酸は呼吸中枢を鎮静させ咳を鎮める効果があるため、喘息や痰、呼吸困難に効き目があります。ただし、アミグダリンは青酸配糖体であり過剰摂取は中毒症状を引き起こす場合があるため注意が必要です。
また、杏仁に含まれる脂肪油が腸の通りを滑らかにするため便秘にも効果的です。
杏仁はそのままでは苦味が強いのですが、粉末状にした杏仁に甘みや牛乳を加えて食べやすくすることで薬膳デザートとして広まりました。これが杏仁豆腐のルーツと言われています。
杏仁の主な栄養成分
・アミグダリン・・・3%
・脂肪油・・・35~50%
効能・効果
鎮咳効果:アミグダリンが呼吸機能を鎮静し咳や痰を和らげて楽にする
風邪症状改善:アミグダリンが肺を潤し喉の痛みを和らげる
便通改善:脂肪油が腸を潤し便の動きをスムーズにする
胃症状の改善:胃でのたんぱく質消化酵素を抑制する
東洋医学的側面
・寒熱:温(穏やかに体を温める)
・昇降・収散・潤燥:降(気を降ろす)・散(気を体の外へ出す作用)・潤(体を潤す性質)
・臓腑:肺・大腸
・五味:苦(気を降ろす、固める作用)
・毒性:小毒
便通改善
喘息を和らげて喉の調子を整える
栄養素を上手に摂るための保存方法と調理方法
杏子の果実を採取してその中から種子を取り出したら、種子から皮をのけずに風通しの良い場所で日干しをして乾燥させます。
杏仁は杏仁豆腐として食べるのがおすすめです。肺を潤し咳を鎮める効果がある杏仁ですが、血を補う牛乳、気を補うグラニュー糖、体を温める黒砂糖などとの組み合わせでさらに効能がアップします。また、杏仁豆腐を寒天で作ればダイエット効果も期待できます。