

ストレス× 解毒 × ホルモンの三方向に効く、“食べるメディスン”
ストレス・解毒・ホルモンに効く「食べる薬」
私、ピエールが日本で展開しているワインレストラン「FAM」のコンセプトは、「美味しいのに、医学的に正しい」。つまり、美味しさの奥にある「生きる知恵」をテーマとしています。
特にストレスの多い日本人にぴったりだと感じ、FAMでよく提供するのが牛タンです。そのため、旅先で牛タンを見かけるとつい選んでしまうことが増えました。
バンコクでは、ワットポー近くのミシュラン6年連続掲載のイサーン料理店「Somtum Der」で出会った一皿が印象的でした。青マンゴーと牛タンを組み合わせた料理には、解毒・ホルモン・副腎回復の知恵が詰まっており、まさに「食べる薬」と言えるものでした。
牛タンと青マンゴーの栄養とその魅力
牛タンの栄養素
ビタミンB群・亜鉛・鉄・カルニチン
→ 副腎ストレスをケアし、成長ホルモン分泌を助ける働きがあります。
高タンパク×低糖質
→ 成長ホルモン経路を穏やかに刺激し、肌や筋肉、代謝の若返りに導きます。
青マンゴーの酸味の働き
胃酸分泌を促進し、タンパク質の吸収率を向上させます。
レプチン感受性を高めて満腹中枢を正常化し、睡眠やホルモンリズムを安定させます。
ポリフェノール「マングフェリン」は肝臓の解毒酵素を活性化。豊富な食物繊維が腸内デトックスを促進し、腸内フローラを整えます。
これらの組み合わせは偶然ではなく、イサーン地方の人々が気候や身体感覚に基づいて選んできた知恵から生まれたものです。暑く湿度が高く疲労が溜まりやすい土地だからこそ、このような医食同源の食文化が根付いているのでしょう。
ミシュランレストランでソムタムを作っている方。熟練の技が光ります。
食文化に息づく未来の医療
イサーン地方の気候風土と人々の身体感覚から生まれた「医食同源」の知恵は、現代にも通じる機能性医学そのものです。バンコクで出会ったこの一皿は、美味しさだけでなく、未来の医療へのヒントも与えてくれるものでした。
美味しい料理が健康を支えるという新しい視点に気づかせてくれたこの経験に感謝します。
〔大友“ピエール” 博之〕
日本のみならずロサンゼルス、フランクフルト、香港、バンコクに拠点を持ち、個別化医療(precision medicine)を実践している。免疫栄養学に基づいた食事指導、ホルモン補充療法、運動療法を取り入れた治療で定評がある。
・ 医師 日本抗加齢医学会専門医 / 欧州抗加齢医学会専門医 / 日本麻酔科学会専門医
・ 西洋薬膳研究家、シェフドクターピエールとしても活躍中
・ 渋谷セントラルクリニック代表
・ 一般財団法人 日本いたみ財団 教育委員
・ 一般社団法人食の拠点推進機構 評価認証委員/食のプロフェッショナル委員
・ 料理芸術や食の楽しみといった価値感を共有するシェフなどが集う日本ラ・シェーヌ・デ・ロティスール協会のオフィシエ
・ ワインにも造詣が深く、フランスの主要産地から名誉ある騎士号を叙任している。
シャンパーニュ騎士団 シュヴァリエ / ボルドーワイン騎士団 コマンドリー /ブルゴーニュワイン騎士団 シュヴァリエ