明るい光の力でメンタルを治す
光は脳にも大きな影響を与えています。そのため明るい光を浴びることで脳機能を改善して様々な症状を改善できるかもしれません。
・ 集中力が足りない
・ 不安が強い
・ ウツっぽい
・ 記憶力が悪い
・ 睡眠の質が悪い
集中力が下がっている人
前の日飲み過ぎたわけでもないのに、どうにも集中力がなくて仕事が進まない日は誰にでもあると思います。原因がなぜなのかを知ることは難しいと思いますが、集中力や注意力が低下しているなら明るさが不足していることを疑ってみてはいかがでしょうか?
DR大友も欧米系のホテルに行って少し薄暗い光のムーディーなお部屋にいると、高級感を感じる一方で仕事をしようと思っていたのになんだか眠くなってバタンって寝てしまうこともあります。
ある一定以下の薄暗い光の下にいる人の集中力は低下しがちです。集中力が途切れているときは1時間ちょっと屋外に出て日の光を浴びると回復することもあります。どうしても外に出れない人は高輝度ランプを使用することでも光のパワーの代用ができるかもしれません(1)。
(1) Psychol Rep. 2008 Feb;102(1):299-304. Pilot study of light therapy and neurocognitive performance of attention and memory in healthy subjects.
不安が強い人
明るい光への露出が多ければ多いほど不安が少ないという研究があります。不安を抱えている参加者を3,000ルクス、曇りがちな日に外に出ているのと同じぐらい光のエネルギーで明るく照らすと不安のレベルが下がることが知られています。不安障害を持つ人であれば更にその効果が高くなるかもしれません。(2)
それだけではなく女性では2000ルクス以上の自然な光を30分以上見ていると女性は幸福感が増すともいわれています。(3)
(2)Does bright light have an anxiolytic effect? BMC Psychiatry. 2007 Oct 30;7:62. (3)A short nap and natural bright light exposure improve positive mood status.Ind Health. 2007 Apr;45(2):301-8.
ウツっぽい人
抑うつと光の関係については多くの研究が進められています。日中の光であれ、人工的な強い光であれ3週間程度意識的に光を浴びてもらうことで季節性感情障害(SAD)の人で改善することが分かっています。
(4)Bright light, negative air ions and auditory stimuli produce rapid mood changes in a student population: a placebo-controlled study. Psychol Med.
記憶力が衰えている人
人は5日も意識的に続けて明るい光を浴びていると記憶力が上がるという研究があります。健常の人だけでなく、認知症がある人でもその可能性が指摘されているのだから試さない理由はありません。
(5)[Effects of bright light on cognitive disturbances in Alzheimer-type dementia. Nippon lka Daigaku Zasshi. 1999 Aug;66(4):229-38.
睡眠の質が悪い人
睡眠相前進症候群と呼ばれる『慢性的な入眠時間の前進(早眠)・および覚醒時間の前進(深夜覚醒、および再入眠困難)』特徴とする睡眠障害(概日リズム睡眠障害)では光を浴びることが改善に役立つのではないかとされています。研究によると夕方に265ルクス以上の光を2~3時間程度浴びていると睡眠の質が改善されたようです。(6)
そして若者にも多い睡眠相後退症候群は、慢性的な睡眠のタイミングに関する障害(概日リズム睡眠障害)のひとつで、とても遅い時間に眠りにつく傾向があり、朝起きることが困難であるとされています。この睡眠障害のパターンもイルミネーションマスクを使うことによって改善する可能性が指摘されています。(7)
(6)Bright light mask treatment of delayed sleep phase syndrome. , Biol Rhythms. 2002 F eb;17 (1):89-1 01. (7)J Biol Rhythms. 2002 Feb;17(1):89-101.Bright-light mask treatment of delayed sleep phase syndrome.
光での治療が個人的に良いと思うのは当事者ではなく、家族なり、配偶者なり、パートナーが病気を治すための良い環境を引き出せることにあると思います。病気を患っていると患者さん自身が必ずしも治療に協力的ではないことがありますが、光を使った治療は本人の気が付かないところで周りが病気を良くするチャンスがあります。
薬物治療、お食事やエクササイズに加えて、光を使った環境設定は治療には重要な要素だと考えます。
Part1 光を浴びないと元気になれない?光線の力と健康について
Part3 慢性疲労や不眠症の人に朗報。なんと光を適切に浴びるだけで睡眠のホルモンであるメラトニンがなんと2倍に!!
大友博之 渋谷セントラルクリニック エグゼクティブ ディレクター
日本抗加齢医学会専門医、日本麻酔科学会専門医、日本医師会認定産業医、国際抗加齢医学会専門医(WOSAAM)
免疫栄養学に基づいた食事指導、ホルモン補充療法、再生医療、運動療法を取り入れた新しい統合医療をベースにした診療で著名人にもファンが多い。最先端の西洋医学に通じている一方で、「鍼治療の魔術師」と呼ばれるほどハリ治療の名手で東洋医学にも造詣が深い。
またワインと健康食の愛好家しても名高く、ボルドー、ブルゴーニュ、シャンパーニュのワイン騎士団から名誉ある「シュバリエ」を叙任されているほか、料理芸術や食の楽しみといった価値感を共有する美食家が集う日本ラ・シェーヌ・デ・ロティスール協会の「オフィシエ」でもある。