

東京人にとって筍のお刺身が幻と言えるわけ
筍は鮮度が重要
筍は掘り起こしてから秒単位でえぐみが出始めるので、鮮度が何よりも重要。
今回は筍掘りの現場、料理屋さんで1時間後くらいのものを食べ比べたので、鮮度の重要性を体感することができました。
掘り立ての筍の食感は梨のようで、鼻から抜ける春の息吹がたまりません。また少しお塩をつけると、甘さが口中に広がります!
そのほかにも天ぷら松さんでは、筍のしゃぶしゃぶ、炭火焼き、天ぷらを堪能したほか、フレンチの塩釜焼きまでありとあらゆる筍料理を楽しませていただきました。
筍のえぐみの正体とは
食用のほとんどは、孟宗竹(もうそうちく)の地下茎から伸びた幼い茎の部分で、新鮮で掘りたての筍は生食もできます。
生長中の幼植物の特徴として遊離アミノ酸、還元糖などを多く含むため強い旨味をもっています。
同じアミノ酸であるアスパラギン酸も多く含まれ、からだの代謝を高めてくれる効果もあります。
茹でたときに出元てくるえぐみのもとは、アミノ酸のチロシンが酸化したホモゲンチジン酸とシュウ酸と言われています。
チロシンには、皮膚や髪の黒色色素であるメラニンなどの原料に体内で変換され、老化防止に役立ちます。
また、チロシンはドーパミンという交感神経を刺激する神経伝達物質の原料にもなるため、集中力や代謝を高める効果も期待できます。
筍を調理の際は、チロシンを取り除かずにそのまま召し上がってくださいね。
さらに、チロシンには甘いモノを食べたい欲求を抑えてくれる効果があるとも言われています。
東洋医学的には、
・寒熱:寒(体の熱を冷ます)
・昇降・収散・潤燥:降(気を降ろす)
・臓腑:胃、胆
・五味:甘(補い滋養する作用)・苦(気を降ろす、固める作用)
・毒性:なし
「朝堀り」の筍
Dr.ピエールは筍は勝手に生えてくるものとイメージしていましたが、実際には1年中ケアする必要があります。
土を切り崩して盛ったり、その上に藁を敷いたり、土壌を大切にしながら最後の最後に筍を掘るという工程になるわけです。
しかもお一人で五千坪の筍を管理しているというのだから驚くほかありません。
周りの皆様には筍掘りは楽しいものと思われたようですが…
プロにとってはものの数分ですが、私は30分かかっても傷つけずに掘り上げることは難しくなかなかの重労働であるということだけをお伝えしたいと思います。
そしてこれだけの手間をかけても、お刺身になり得る極上の白子は1%程度しか獲れないというのですから、その貴重性はおして知るべしということ。
最盛期で朝2時起きで働かれているのにも関わらず、何から何までたいへんお世話になりました。
Dr.ピエールもそう簡単に筍のお刺身が食べたいなんて、口に出していけないことを学びました。
天ぷら松さんで1年前にいただいた筍の記事です。よろしかったらご覧ください。
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天ぷら松
京都府京都市右京区梅津大縄場町21-26
〔大友“ピエール” 博之〕
日本のみならずロサンゼルス、フランクフルト、香港、バンコクに拠点を持ち、個別化医療(precision medicine)を実践している。免疫栄養学に基づいた食事指導、ホルモン補充療法、運動療法を取り入れた治療で定評がある。
・ 医師 日本抗加齢医学会専門医 / 欧州抗加齢医学会専門医 / 日本麻酔科学会専門医
・ 西洋薬膳研究家、シェフドクターピエールとしても活躍中
・ 渋谷セントラルクリニック代表
・ 一般財団法人 日本いたみ財団 教育委員
・ 料理芸術や食の楽しみといった価値感を共有するシェフなどが集う日本ラ・シェーヌ・デ・ロティスール協会のオフィシエ
・ ワインにも造詣が深く、フランスの主要産地から名誉ある騎士号を叙任している。
シャンパーニュ騎士団 シュヴァリエ / ボルドーワイン騎士団 コマンドリー /ブルゴーニュワイン騎士団 シュヴァリエ