コルドバ名物のスープを食べると血圧が下がる理由は?
名物料理には得てして医食同源的な要素がある
イスラム、キリスト、ユダヤの様式が混在するレコンキスタ様式の街並みが美しいコルドバ。
このコルドバの名物料理がトマトを主な具材とした冷製スープのサルモレッホ。
スペイン料理で一般的に有名なのはガスパチョですが、このスープにはパプリカやきゅうりが入っていないのが特徴です。
通常は卵と生ハムを載せているようですが、この街唯一の五つ星ホテルのリストランテだけあって卵の代わりに羊のチーズ、マグロと生ハムのアンサンブルとなっているところがお洒落な感じ。
ところでコルドバはスペインの中でも塩辛いお料理が多いことで有名。
塩気が多いのが健康面で良くないとされるのは血圧が上がるからです。。
ただ名物料理には得てして医食同源的な要素があり、マイナスを補ってくれることも多いです。
ここではトマトが良い働きをしてくれています。
血圧を下げるための食事法
医学界で血圧を下げるために推奨されているお食事法がDASH食。
-低ナトリウム→塩分控えめ
-高カリウム→塩分を排出するための
-豊富な食物繊維
が特徴の食事療法です。
サルモレッホには生ハムやチーズ由来の塩分も多いのですが、カリウムや食物繊維が多いトマトが豊富に含まれているため塩分をデトックスしてくれるというわけ。
トマトの主な栄養成分(可食部100gあたり 1個(中サイズ) 100~150g)
・βカロテン・・・540μg
・ビタミンC・・・15mg
・ビタミンE・・・0.9mg
・カリウム・・・210mg
・カルシウム・・・7mg
・食物繊維・・・1.0g
・鉄・・・0.2mg
東洋医学的には、
・寒熱:涼(穏やかに体の熱を冷ます)・寒(体の熱を冷ます)
・昇降・収散・潤燥:潤(体を潤す性質)・降(気を降ろす)
・臓腑:胃
・五味:酸味・甘(補い滋養する作用)・酸(免疫力を高める作用)
・毒性:なし
体に潤いを持たせて、渇きを止める
胃を丈夫にし、消化を促進する
疲労を回復させて、夏バテを予防する
カリウムの存在と働き
カリウムとはアルカリ金属元素の一つで、主に細胞内の体液として人体に存在するミネラルの一種です。
その割合は細胞内に9割存在し、残りの1割は細胞外に分布されています。
カリウムは細胞外に多く存在するナトリウムとともに血圧や浸透圧を調節する働きがあり、細胞内からナトリウムを調整し、バランスを保っています。
カリウムには利尿作用もあり、尿や汗としてナトリウムを体の外へ出す役割を果たします。
他にも血圧の上昇を抑える働きや、老廃物の排出をサポートする役割を担うカリウムは生命活動に必要不可欠な成分と言えます。
そんなカリウムはナトリウムとの関係が非常に重要であり、カリウムが細胞内からの浸透圧を維持し、ナトリウムが細胞外からの浸透圧を維持する役割を担っています。
両者のバランスが崩れ、細胞内の浸透圧が高くなると濃度を調整するために水分量が多くなり細胞が破裂する危険性があります。
カリウムはナトリウムとのバランスを取りながら細胞を正常に保ったり血液を調節したりすることで体内の状態を良い状態で保つ役割を担っています。
それを踏まえカリウムとナトリウムはバランスよく存在することが重要と言えます。
塩分が多いお食事が好きな方の晩酌には、カリウムが豊富なワインがお勧めです。
ちなみに日本酒、焼酎、ウィスキーにはカリウムがほぼ含まれていないので、血圧が高い方は要注意ですぞ。
ピエールもサルモレッホにスペインの白ワインを合わせて万全の血圧対策をしてみました。
Hotel Hospes Palacio del Bailío
C. Ramírez de las Casas Deza, 10, 12, 14001 Córdoba, スペイン
〔大友“ピエール” 博之〕
日本のみならずロサンゼルス、フランクフルト、香港、バンコクに拠点を持ち、個別化医療(precision medicine)を実践している。免疫栄養学に基づいた食事指導、ホルモン補充療法、運動療法を取り入れた治療で定評がある。
・ 医師 日本抗加齢医学会専門医 / 欧州抗加齢医学会専門医 / 日本麻酔科学会専門医
・ 西洋薬膳研究家、シェフドクターピエールとしても活躍中
・ 渋谷セントラルクリニック代表
・ 一般財団法人 日本いたみ財団 教育委員
・ 料理芸術や食の楽しみといった価値感を共有するシェフなどが集う日本ラ・シェーヌ・デ・ロティスール協会のオフィシエ
・ ワインにも造詣が深く、フランスの主要産地から名誉ある騎士号を叙任している。
シャンパーニュ騎士団 シュヴァリエ / ボルドーワイン騎士団 コマンドリー /ブルゴーニュワイン騎士団 シュヴァリエ