低脂質・高タンパクのカジキ

魚のホルモンと聞くと驚く向きもあるでしょうが、白子やあん肝、カツオの内臓を熟成させた酒盗…などなど。
日本には魚のホルモン料理は豊富に存在しています。

それでもカジキのホルモンは鮮度の問題からとても珍しい。
釣り上げたあと、内臓をそのままにしておくと鮮度が下がるので、漁師さんはすぐに取り出して鮮度を保ちます。
そして取り出した内臓は地元のみで消費され、市場には殆ど出回らないのだそう。

よく「カジキマグロ」という名称を耳にしますが、これは、はえ縄でマグロを漁獲するときに一緒に獲れることが由来しているだけでマグロとは種が異なります。

カジキは脂肪分が少なく、良質なタンパク質を豊富に含んでいます。
体内に取り入れるとアミノ酸に変化して、筋肉を修復する作用があります。体内に十分な量のアミノ酸があると筋肉の疲労改善に役立つので、疲れにくく体力の向上につながります。低脂質・高タンパクであることから、ダイエット中の方やアスリートの方におすすめの食材です。

淡泊な魚ですが、カジキの持つパワーを知ればこれからカジキに対する印象もガラっと変わるかもしれません。

カジキの効能・効果には
▶体の機能を維持する
カジキは良質なタンパク質を豊富に含み、アミノ酸組成も優れているため健康な体を作るのには欠かせない食材と言えます。

▶骨を丈夫にする
カルシウムを多く摂ったからと言って骨は強くなりません。カジキに多く含まれるビタミンDの効果で血液中のカルシウムが骨に吸収されやすくなります。

▶体を温める
東洋医学では、カジキは「体を温める効果」を持っています。暖かい時期が旬であるカジキですが、夏風邪など体を冷やさないようにするときにはぜひ使ってみましょう。

▶肌の生まれ変わりを促進
カジキはビタミンB群が豊富。ビタミンB群には代謝をサポートする効能があるので肌にもいい影響をもたらし、肌トラブルを防ぐ効能があります。
肌の代謝（ターンオーバー）が乱れると、老廃物などが肌に蓄積されている期間が長くなり、様々な肌トラブルを引き起こします要因となります。ビタミンB群がターンオーバーの遅れを改善してくれるので、吹き出物や肌荒れといった肌トラブルの予防に役立ちます。

▶コレステロール値の低下
カジキに含まれるDHAは血中のコレステロールや中性脂肪を減らす作用があります。また、EPAの働きには血液の流れを良くして血栓を予防する効果があります。この働きによって、脂質異常症や動脈硬化の予防と改善、脳梗塞を防ぐといった効果が期待されています。
さらに、DHAには脳の働きを活発にするともいわれています。DHAとEPAは両方を併せて摂るのが望ましいですね。

東洋医学的には
・寒熱：温（体を温める）
・昇降・収散・潤燥：昇（気や熱を上昇させる）
・臓腑：肝・腎
・五味：甘（補い滋養する作用）
・毒性：なし

「同物同治」に倣い、食べてみよう

そんな貴重な代物を渋谷の駅前で食べられるのが嬉しいし、日本の凄いところ！

イタリア、サルディーニャ風にオリーブオイルでソテーしてルッコラのサラダを添えたホルモンたち。
胃袋やハツ、腸、レバーなどさまざまな部位が交じっているうえに牛や豚よりもサッパリと上品な感じなので、最後まで飽きる事なくいただきました。

中国の薬膳には「同物同治」という言葉があり、これは身体の調子の悪い場所と同じものを食べる事で不調を治そうという考え。

夏は外と室内との温度差や暑さからのストレスで自律神経のバランスが乱れ、胃腸の動きも悪くなりがち。

これは魚だけでなくお肉にも言えますが、正肉部分よりも内臓のほうが消化も良く、ビタミンAやミネラルなどの栄養価も高いことが多いので「同物同治」にならって内臓系で夏の胃腸をいたわってみるのもオススメです。

 

Tharros（タロス）
東京都渋谷区道玄坂１丁目５−２ 1F ビル 渋谷ＳＥＤＥ

 

〔大友“ピエール” 博之〕

日本のみならずロサンゼルス、フランクフルト、香港、バンコクに拠点を持ち、個別化医療（precision medicine）を実践している。免疫栄養学に基づいた食事指導、ホルモン補充療法、運動療法を取り入れた治療で定評がある。

・ 医師 日本抗加齢医学会専門医 / 欧州抗加齢医学会専門医 / 日本麻酔科学会専門医
・ 西洋薬膳研究家、シェフドクターピエールとしても活躍中
・ 渋谷セントラルクリニック代表
・ 一般財団法人 日本いたみ財団 教育委員

・ 料理芸術や食の楽しみといった価値感を共有するシェフなどが集う日本ラ・シェーヌ・デ・ロティスール協会のオフィシエ
・ ワインにも造詣が深く、フランスの主要産地から名誉ある騎士号を叙任している。
 シャンパーニュ騎士団 シュヴァリエ / ボルドーワイン騎士団 コマンドリー /ブルゴーニュワイン騎士団 シュヴァリエ