モロッコでサルモネラ感染症になった話

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ニワトリの思い出は人それぞれだと思う。
小学校の時にクラスで飼ったニワトリかもしれないし、クリスマスの時の丸焼きのこともあるかもしれない。

ピエールのニワトリの思い出はモロッコ旅行。
僕はスペインからジブラルタル海峡を渡ってアフリカに向かう旅をしていた。まだ21世紀になる前の話である。

スマホもインターネット情報もなく、1冊の本だけ携えて船でモロッコへと渡った。船で上陸したタンジェという旧市街は東京という都市で育ったピエールにはまさに混沌。人はガヤガヤしていて、道路も舗装されていない。映画で見た終戦直後のような世界。
ミントティーやパクチーなどのハーブの香る道にはニワトリが無造作に吊るされている。

ベッド一つに共同シャワーの安宿で荷を解いた後に街のレストランに繰り出したピエールはさっき見かけた鶏肉がどうしても食べてみたくなった。
ガスが通っていないからなのか?炭火で焼かれた鶏肉は少し生っぽい気がしたけど野性味あふれて美味しかった。

付け合わせのサラダを食べて、旅の疲れもあり早くに宿に戻りベッドについた。
そして23時。猛烈なお腹の痛みで目を覚ました。

何が何だか分からないけど、お腹は緩いし、吐き気もすごい。
買っておいたミネラルウォーターはあっという間に無くなってしまった。

外に出ようにも昼間の混沌が嘘のように人はいなくて、もちろんコンビニもない。
このまま死んでしまうのではないかと思いながら、一晩で10回はトイレに行ったと思う。
翌朝にはトイレに行く元気もないほど、消耗していたけどお腹の痛みは減ってきていた。

意を決して出かけたモロッコ滞在はお腹の調子の悪さで不本意なものになってしまった。

時は流れて、その秋の授業で感染症を習った
鶏肉を食べる時に気を付けないといけないのはカンピロバクターサルモネラ

・カンピロバクターの特徴
潜伏期間が比較的長く、食品を食べてから発症するまで2~7日くらいかかります。
主な症状は腹痛、下痢、発熱(37~38℃)で、通常倦怠感、発熱、頭痛、筋肉痛等の前駆症状があり、次いで吐き気、腹痛が現れます。
敗血症、関節炎、まれにギラン・バレー症候群、ミラー・フィッシャー症候群など発症する場合があります。

・サルモネラの特徴
腹痛、激しい下痢、嘔吐、発熱(38~40℃)が主な症状です。
重症の場合は粘血便や血中に菌が侵入し、基礎疾患がある場合は死に至ることがあります。
サルモネラ菌が付着した食品を摂取してから6~72時間(平均12時間)で症状が出ます。

そこでピエールは発症時間から考えるとモロッコでサルモネラにかかったことを悟ったんだ。

サルモネラ感染症の原因は
* 肉の生食や加熱不十分な食品
* 例:鶏刺し、鶏わさ、鶏たたき、鶏レバー
* 2次汚染されたサラダなど
* 動物(鳥類など)の糞に汚染された井戸水などの飲料水

タンジェの滞在でどれも思い当たることばかり。
それ以来、どんな焼き鳥屋さんに行っても鶏肉には火をしっかり入れようと決意した。

時は20年流れて、ピエールは同級生と医食同源マガジンを作ることにした。
消化器内科の菰池先生との対談で、現代病と言われている機能性ディスペプシア過敏性腸症候群の原因の一つにサルモネラなどの感染症が関係していることを知った。

たった一度の感染症でその後に引き続くような病気になってしまう可能性もあるわけだから声を大にして言いたい。

鶏肉を調理する時はしっかりと火を入れること
調理の前後はいつも以上に手を洗うこと
鶏肉とそれ以外の食材とは包丁・まな板を別にすること
、鶏肉は冷蔵庫に入れて保存すること。

特に小さなお子さんがいる場合は免疫力も高くないからより注意が必要だよ。

今日も最後まで読んで下さいましてありがとうございました。

もう少しサルモネラ感染症が関係している過敏性腸症候群(IBS)機能性ディスペプシアについて詳しくお知りになりたい方はこちらをご覧ください。

 

大友博之 渋谷セントラルクリニック エグゼクティブ ディレクター

日本抗加齢医学会専門医、日本麻酔科学会専門医、日本医師会認定産業医、国際抗加齢医学会専門医(WOSAAM)

免疫栄養学に基づいた食事指導、ホルモン補充療法、再生医療、運動療法を取り入れた新しい統合医療をベースにした診療で著名人にもファンが多い。最先端の西洋医学に通じている一方で、「鍼治療の魔術師」と呼ばれるほど鍼治療の名手で東洋医学にも造詣が深い。

またワインと健康食の愛好家しても名高く、ボルドー、ブルゴーニュ、シャンパーニュのワイン騎士団から名誉ある「シュバリエ」を叙任されているほか、料理芸術や食の楽しみといった価値感を共有する美食家が集う日本ラ・シェーヌ・デ・ロティスール協会の「オフィシエ」でもある。

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