
食事で健康を支える、シェフドクターが語るFAMの使命と挑戦
シェフドクターを始めた理由
私は医師であり、同時に「FAM」でシェフドクターをしています。
それはレストランでもあり、思想の実験場でもあり、
そして「食事と医療の関係」を問い続けるための場です。
FAMを始めた理由は、
食事が、想像以上に人の健康を左右している
という事実を、臨床と自分自身の体験を通して確信するようになったからでした。

Food As Medicineという考え方
オープン後によく尋ねられたのが店名「FAM」の由来です。
FAMという名前は、
Food As Medicine(食事を薬として捉える)
そして、Family(家族や親しい人と囲む食卓)
この二つの言葉を重ね合わせたものです。
「食事こそが、最も基本的で、最も影響力のある医療ではないか」
この考え方は、決して新しいものではありません。
古代ギリシャの医師ヒポクラテスは、
汝の食事を薬とし、汝の薬は食事とせよ
と語りました。
また古代中国には、王の健康を守るために食事を管理する「食医」が存在していました。
医療と食事は、本来、同じ地平にあったのです。
FAMという名前にした理由は、「食事こそが最高の治療になり得るかもしれない」という仮説に基づいています。
こうして書くと既にお気づきの方もいると思いますが、ピエールのシェフドクターの由来はこの食医にあります。

食事療法への目覚め
そんな私も最初から食事の重要性をフルに理解していたわけではありません。
食事の本当の重要性ついて知ることになったのは、
自分が酒さ様皮膚炎と言う病気になったから。
日本での治療がうまくいかず、ロサンゼルスにあるUCLAの皮膚科教授に診療を受けた際、
「あなたの皮膚ダメージは乳糖不耐症による腸管のダメージが大きな原因」と指摘されたことに始まります。
実はアンチエイジングの観点から行っていた遅発性アレルギー検査で
乳製品との相性が悪いことは分かっていましたが、症状がないため放置していました。
半信半疑ではありましたが、
乳製品(乳糖)を食事から取り除き、ライフスタイルを変えたことによって
半年後に難病を治癒したという体験が、私自身や私の診療を大きく変えました。
この経験から栄養素やカロリー、消化吸収だけでなく、 腸の免疫も踏まえた食事療法が必要だと認識するに至ったのです。
慈恵医大の同級生とともに「病気になったらどんなものを食べれば良いか」というテーマで
イシペディア(医食同源サイト)やこのInstagramアカウントを立ち上げまのも、このきっかけがあったからです。
そういった背景もあり、FAMは最新医学や現代的な価値観も含めてシェフドクターとして、
そして活動してきたことを表現する場として2023年4月からクリニックの患者様向けのプライベートレストランとしてオープンしました。

これからも病気や症状を持つ方々やアンチエイジングに関心のある方々に向けて、新しい価値観をご提案できるよう活動してまいります。
「何を食べるか」は、
「どう生きるか」と、ほぼ同義です。
私は医師として、
そしてFAMの経営者として、
医療と食事のあいだにある空白を、
体験として、静かに埋めていきたいと考えています。
引き続き、シェフドクターピエールにお付き合いいただければ幸いです。
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〔大友“ピエール” 博之〕
日本のみならずロサンゼルス、フランクフルト、香港、バンコクに拠点を持ち、個別化医療(precision medicine)を実践している。免疫栄養学に基づいた食事指導、ホルモン補充療法、運動療法を取り入れた治療で定評がある。
・ 医師 日本抗加齢医学会専門医 / 欧州抗加齢医学会専門医 / 日本麻酔科学会専門医
・ 西洋薬膳研究家、シェフドクターピエールとしても活躍中
・ 渋谷セントラルクリニック代表
・ 一般財団法人 日本いたみ財団 教育委員
・ 料理芸術や食の楽しみといった価値感を共有するシェフなどが集う日本ラ・シェーヌ・デ・ロティスール協会のオフィシエ
・ ワインにも造詣が深く、フランスの主要産地から名誉ある騎士号を叙任している。
シャンパーニュ騎士団 シュヴァリエ / ボルドーワイン騎士団 コマンドリー /ブルゴーニュワイン騎士団 シュヴァリエ








