ダイエットすると、便秘になるのはなぜ?
痩せない、朝起きられない、二日酔いがつらい……。なかなか思い通りにならない、自分の体。とくに冷夏の今年は、調子が狂っている人も多いのではないでしょうか?
そこで、人体の仕組みをわかりやすく解説した書籍『からだ事件簿』から、大人も知らない体との「上手な付き合い方」をご紹介します。
無理なダイエットが招く“便秘スパイラル”
食べる量を減らすダイエットは手軽ですが、方法を間違えると便秘になってしまうので、注意しましょう。
食物は、消化しやすいように胃で溶かされ、小腸で栄養が吸収されます。その残りカスが大腸に運ばれ、さらに栄養が吸収されます。そこから水分を吸収し、うんこを作るのが大腸の仕事。作ったうんこは、大腸の奥に整理して貯められます。
でも、大腸に一定量が溜まらない限り、わたしたちは便意を感じません。これは、脳が便意をコントロールしているため。うんこがたまって大腸の壁が伸びると、その情報が神経を通じて脳に伝えられ、脳がお尻の筋肉をゆるめます。これが「トイレにいきたい」と感じる状態です。
しかし、無理に食事の量を減らしたりすると、このシステムがうまく働かなくなります。食事の量が減ると、うんこの量が減り、便意を感じにくくなります。腸内に留まる時間が長いほど、うんこから水分が抜け、固くなっていきます。こうして、固いうんこがどんどん腸内に溜まる“便秘スパイラル”に陥ってしまうのです。
どうすれば、便秘を回避できるのか?
規則正しくストレスのない生活をしたり、早起きして腸の動きを活性化させるのも有効ですが、すぐに試せるかんたんな便秘改善法をご紹介します。
◎ ゆったりした服を着る
お腹がきつい服を着ると、大腸が動きにくくなります。
◎ 野菜やフルーツを食べる
野菜やフルーツに含まれる食物繊維は、うんこをやわらかくする働きがあります。ゴボウや柿、イチゴがおすすめです。
◎ 運動をする
お腹の筋肉が強化されると、うんこを押し出す力がパワーアップします。階段を使うなど、ちょっとしたことから始めましょう。
【DR大友の視点】
ダイエットと便秘を訴える方は少なくありません。
そのためには便秘を引き起こすような腸内環境はダイエットを始めとする様々な症状や病気を引き起こしてしまう可能性があることを理解していただく必要があります。
ダイエットを成功させる時には慢性炎症という概念を理解する必要があります。
慢性炎症はインスリン抵抗性という状況を引き起こし、糖が消費されにくい状況を作り、ひいては糖尿病を引き起こすことにもなりかねません。
実はインスリン抵抗性を引き起こす要因として腸内環境の悪化があるのです。
つまり便秘になっているのはダイエットが成功しないサインともいえます。
ダイヤモンドオンラインの記事で紹介されているような ’’ゆったりした服を着る’’ ’’野菜やフルーツを食べる’’ ’’運動をする’’ も重要だと思いますが、DR大友的視点としては、一番の大きな要因は水分不足を挙げたいと思います。人は思いのほか多くの水分をお食事から摂取しています。
ダイエットの際には、いつも以上のお水を摂取されることを強くお勧めしたいと思います。
〔大友“ピエール” 博之〕
日本のみならずロサンゼルス、フランクフルト、香港、バンコクに拠点を持ち、個別化医療(precision medicine)を実践している。免疫栄養学に基づいた食事指導、ホルモン補充療法、運動療法を取り入れた治療で定評がある。
・ 医師 日本抗加齢医学会専門医 / 欧州抗加齢医学会専門医 / 日本麻酔科学会専門医
・ 西洋薬膳研究家、シェフドクターピエールとしても活躍中
・ 渋谷セントラルクリニック代表
・ 一般財団法人 日本いたみ財団 教育委員
・ 料理芸術や食の楽しみといった価値感を共有するシェフなどが集う日本ラ・シェーヌ・デ・ロティスール協会のオフィシエ
・ ワインにも造詣が深く、フランスの主要産地から名誉ある騎士号を叙任している。
シャンパーニュ騎士団 シュヴァリエ / ボルドーワイン騎士団 コマンドリー /ブルゴーニュワイン騎士団 シュヴァリエ