脳を休ませたければ白味噌
具足煮とは戦士の休息に必要な献立
大阪の日本美容外科学会2023でホルモン補充と未来の美容治療の話をしてきました。
学会の楽しみの一つはなんといっても、ご当地ご飯。
今回は伝統の関西料理を出してくれる”梅市”さんにお邪魔しました。
1. 材料の良さを活かすこと
2. 出汁の旨さで野菜を美味しく炊くこと
3. 食材の持ち味以上の味はつけないこと
こうしたポリシーで作るお料理を生成りと言って、今では作れる人がいないそうです。
メインは伊勢海老と山芋の具足煮。
ちなみに具足とは鎧や兜のことで、エビやカニを殻つきのまま煮た料理の事を言います。
今回は関西らしい白味噌仕立てなのですが、これが医食同源的には鎧を被った戦士の休息的なお料理なのです!
植物性乳酸菌の腸脳作用
白味噌に含まれる「GABA」は脳の興奮を抑えて眠りやすくなる、ストレスを減らしリラックスさせる効果があります。
昔から白味噌は夜に、赤味噌は朝に摂るのが良いと言われるのにはやはり理由があるのですね。
注目すべき味噌の栄養成分
味噌の原料となる大豆は良質なタンパク質や脂質、糖分、ビタミン、ミネラルなどを含む栄養価の高い食品ですが、消化吸収されにくいのがウィークポイント。
しかし、大豆を発酵させて味噌に加工すると大豆の豊富な栄養素が酵素によって分解されて、体内に消化・吸収されやすくなります。
■イソフラボン
フラボノイドの一種で、ポリフェノール成分のひとつです。
女性ホルモンに構造が似ていて、抗酸化効果も高いので、更年期障害の軽減や骨粗しょう症の予防、がん予防、美肌づくり、アンチエイジングなどに効果があるとして注目されている成分です。
■ビタミンE
抗酸化作用があり、老化防止や美肌作りに働きます。
■リノール酸
シミ・そばかすの原因となるメラニンの生成を抑制する効果があるほか、血中コレステロールの上昇を抑えるため、動脈硬化や心臓疾病を予防するといわれます。
■食物繊維
腸の働きを促進して便秘を解消します。
■コリン
肝機能を高めるビタミン様作用物質で、動脈硬化予防や肝機能の活性化に役立ちます。
また、東洋医学的には
・ 寒熱:寒(体の熱を冷ます)
・ 昇降・収散・潤燥:収(気を体の内に収める作用)
・ 臓腑:脾、胃、腎、肝
・ 五味:鹹(軟化させる作用)
・ 毒性:なし
腰の冷え改善
二日酔いの解消
ちなみに白味噌スプーン1杯にはヨーグルト100gと同量の乳酸菌が含まれており、便秘の改善にも効果的。
この具足煮には山芋が入っているのも更なる休息ポイント。
滋養強壮に富んでいることから「山うなぎ」とも呼ばれる山芋には成長ホルモンの分泌を促すアルギニンが豊富なので、スタミナアップや疲労回復に効果抜群。
Dr.ピエールも殻付きの甘海老、長芋、白味噌でオリジナル具足煮を作りたいと思います。
梅市
大阪府大阪市中央区東心斎橋1丁目6−3 ハイツ千年町 2F
〔大友“ピエール” 博之〕
日本のみならずロサンゼルス、フランクフルト、香港、バンコクに拠点を持ち、個別化医療(precision medicine)を実践している。免疫栄養学に基づいた食事指導、ホルモン補充療法、運動療法を取り入れた治療で定評がある。
・ 医師 日本抗加齢医学会専門医 / 欧州抗加齢医学会専門医 / 日本麻酔科学会専門医
・ 西洋薬膳研究家、シェフドクターピエールとしても活躍中
・ 渋谷セントラルクリニック代表
・ 一般財団法人 日本いたみ財団 教育委員
・ 料理芸術や食の楽しみといった価値感を共有するシェフなどが集う日本ラ・シェーヌ・デ・ロティスール協会のオフィシエ
・ ワインにも造詣が深く、フランスの主要産地から名誉ある騎士号を叙任している。
シャンパーニュ騎士団 シュヴァリエ / ボルドーワイン騎士団 コマンドリー /ブルゴーニュワイン騎士団 シュヴァリエ