京都の和食店で日本式チャーハンについて考える
チャーハンはパラパラであるべきなのか?
この日のご飯は肉厚の蟹の身を抱き込んだ炒飯。
たっぷりの蟹味噌が乗せられており、少しずつ混ぜながら食べ進めることで徐々に一体感が生まれてゆく楽しさは、お米がパラパラではなくしっとりと炒められているからこそ。
Dr.ピエールは日本の食文化にはこうしてご飯と具材の一体感を味わうことを大切にしてきた歴史があるように思う。
だからこそ丼文化が発達し、本場中国では見かけない天津丼や麻婆丼という料理も生まれたのも、ナポリにないナポリタンが日本でイタリア料理として定着したのも、そう考えるとどこか府に落ちる。
となると、炒飯=パラパラはわかるけど、チャーハン=絶対にパラパラであるべし、というのは本当に正しいのかなという疑問が頭に湧いて離れなくなってきた。
日本式しっとりチャーハンの魅力
そもそも中国のお米は細長のインディカ米だから、炒めると自然とパラパラ感や香りが出る。
それはそれで魅力の一つですが、日本には水分多めのまた別の魅力があるお米があるのだからその良さを活かした方が自然な気もしていました。
今回のように何よりしっとりと丁寧に炒められた日本式チャーハンはしみじみとお米の美味しさを感じられるし、油でお米の1粒ずつをコーティングする必要がないので使う油の量も少なくて済むという利点もある。
ちなみに日本の町中華では炒飯&ラーメンというセットが一般的ですが、医食同源の思想が何千年も続いている中国では、健康に対する意識からなのか炭水化物同士のラーメンとチャーハンを一緒に食べるということはしないそうで、やはり油を摂取する分どこかで調整しているのだなと納得する次第。
チャーハンというとカロリー多めとか糖化ストレスとか色々と考えて二の足を踏んでしまうこともあるけど、これからはDr.ピエールも油少なめで究極のしっとり炒飯を研究してみたいなと思いました。
〔大友“ピエール” 博之〕
日本のみならずロサンゼルス、フランクフルト、香港、バンコクに拠点を持ち、個別化医療(precision medicine)を実践している。免疫栄養学に基づいた食事指導、ホルモン補充療法、運動療法を取り入れた治療で定評がある。
・ 医師 日本抗加齢医学会専門医 / 欧州抗加齢医学会専門医 / 日本麻酔科学会専門医
・ 西洋薬膳研究家、シェフドクターピエールとしても活躍中
・ 渋谷セントラルクリニック代表
・ 一般財団法人 日本いたみ財団 教育委員
・ 料理芸術や食の楽しみといった価値感を共有するシェフなどが集う日本ラ・シェーヌ・デ・ロティスール協会のオフィシエ
・ ワインにも造詣が深く、フランスの主要産地から名誉ある騎士号を叙任している。
シャンパーニュ騎士団 シュヴァリエ / ボルドーワイン騎士団 コマンドリー /ブルゴーニュワイン騎士団 シュヴァリエ