熟成肉の美味しさと安全性のアレコレ
熟成肉マエストロの情熱的なステーキ
Dr.ピエールが熟成肉に目覚めたのは世界一のステーキハウスとも称されるニューヨークのピータールーガに行った時。
1990年代のブルックリンはまだまだ怖い場所だったけど、それを押して出かけて食べたステーキは今も超えるものがないほど素晴らしいお味!
日本でもいつの間にか熟成肉という言葉も一般的になり、今やファミリーレストランや牛丼チェーン店でも見かけるほどになりました。
今回京都でいただいたのは、最近話題の熟成肉のマエストロなる方によって手掛けられた和牛。
岡シェフの芸術的であり、情熱的でもある火入れもあって、赤身の部分もとても柔らかく、ナッツのような香ばしい熟成香を放つ素晴らしいステーキでした。
熟成肉をいただくときに気を付けておきたいこと
ということで今日は熟成肉のアレコレ。
肉の熟成は大まかにウエットエイジングとドライエイジングの2つに分けられます。
ウェットエイジングというのは、真空パックの状態で熟成させること。
もともとは輸送の際に肉の劣化を防ぐための保存方法なので、Dr.ピエールの感覚ではお肉はやわらかくなるけれど、うま味はそれほどアップしない印象。
もう一つが前述のピータールーガに代表される、アメリカで一般なドライエイジング。
低温で風を当てて乾燥させながら熟成させる方法です。
低温熟成によってアミノ酸が増えて旨味が増し、独特の熟成香が生まれます。
こうすると良いことだらけのようにも思いますが、肉の熟成は微生物が付けば肉が汚染される危険があるので細心の注意が必要です。
またお肉そのものの安全性にも消費者としては気をつける必要があるのです。
というのも食用に育てられた牛よりも安いため、経産牛を熟成させて出しているお店があるから。
固くて食肉には適さないとして廃棄や加工に回されていた、出産経験のある「経産牛」が熟成によって柔らかくなることから最近はかえってプレミアがついた食肉用として流通していることも・・・。
日本には熟成肉の規定がないことから、販売者が自主的な判断で熟成肉を扱っています。
そのため本当に熟成している肉なのか、正しく安全に熟成されているのかはグレーゾーン。
医療的な視点でいうと、牛そのもののホルモンの問題、遺伝子組み換えの餌など新しい時代が故のはっきりと解決されていない問題も盛り沢山だと思います。
我々食べ手側も、熟成肉と聞いて安易に飛びつくのではなく、背景を確認したり自分の舌に聞いたりすることが必要ですね!!
プレーゴ藤吉
京都市中京区木屋町二条下ル上樵木町494
〔大友“ピエール” 博之〕
日本のみならずロサンゼルス、フランクフルト、香港、バンコクに拠点を持ち、個別化医療(precision medicine)を実践している。免疫栄養学に基づいた食事指導、ホルモン補充療法、運動療法を取り入れた治療で定評がある。
・ 医師 日本抗加齢医学会専門医 / 欧州抗加齢医学会専門医 / 日本麻酔科学会専門医
・ 西洋薬膳研究家、シェフドクターピエールとしても活躍中
・ 渋谷セントラルクリニック代表
・ 一般財団法人 日本いたみ財団 教育委員
・ 一般社団法人食の拠点推進機構 評価認証委員/食のプロフェッショナル委員
・ 料理芸術や食の楽しみといった価値感を共有するシェフなどが集う日本ラ・シェーヌ・デ・ロティスール協会のオフィシエ
・ ワインにも造詣が深く、フランスの主要産地から名誉ある騎士号を叙任している。
シャンパーニュ騎士団 シュヴァリエ / ボルドーワイン騎士団 コマンドリー /ブルゴーニュワイン騎士団 シュヴァリエ