低GI食・低GL食 ていじーあいしょく・ていじーえるしょく

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低GI食とは

「GI値」とは、グリセミック・インデックス(glycemic index)の略で、ある食品を摂取した後に、血糖値がどのくらい上昇するのかを食品ごとに調べ、指標化したものをいいます。通常、ブドウ糖(グルコース)を摂取した時の血糖値の上昇率を100とした相対値で示されています。GI値が高いほど、血糖値を急激に上昇させやすい食品であるという一つの目安になります。すなわち、「低GI食」とは血糖値を急激に上昇させない、あるいは血糖値を緩やかに上昇させる食事を意味しています。

食事や間食を食べると、血糖値が上昇し始めます。その後、健康な人であれば血糖値を下げる働きをするインスリンが分泌され十分に働き、食後2時間程度で140mg/dl未満にまで下がり食べる前とほぼ同じ値に戻ります。

しかし、糖尿病の人(治療なし)や糖尿病予備軍の人は、インスリンが必要量分泌されなかったり分泌が遅れたりすることにより、血糖値が低下せずに高いままの状態が続きます。このことは血管を傷め体の様々な器官に悪影響を及ぼします。そのため血糖値を急激に上昇させない食品を知り、日々の食生活に取り入れることは糖尿病や予備軍の人のみならず健康な人にとっても、肥満や糖尿病の予防や健康維持につながります。

血糖値を上昇させやすい食品、すなわち「高GI食品」といわれているものは、白米や白パン、もち、白砂糖などといった精製度が高い糖質で構成されている食品です。同じ糖質を多く含む食品でも、食物繊維を多く含む玄米や大麦、雑穀、全粒粉パン、そばなど精製度の高くない食品は血糖値を緩やかに上昇させるため「低GI食品」といわれています。

高GI食品と低GI食品

血糖値はその名の通り「糖質」を多く含む食品を摂取すると上昇するため、ご飯・パン・めん類などの糖質を主な成分とする穀類は、玄米やそばなどを除きGI値が70点以上の「高GI食品」に分類される食品が多いです。他のグループでも例えば、じゃがいも里芋などのいも類は糖質を多く含んでいるため「高GI食品」に分類されています。

しかし、さつまいもは食物繊維を多く含むため血糖値を緩やかに上昇させるGI値が55点以下の「低GI食品」に分類されます。
果物は甘いため「高GI食品」のイメージがありますが、含まれる糖質の組成によりGI値は低めになります。パイナップルスイカがGI値が56~69点以下の「中GI食品」に分類されますが、食物繊維を多く含むキウイフルーツりんごは、GI値が35点ほどとなり「低GI食品」に分類されます。

せんべいやビスケット、カステラなどの菓子類や甘い飲料などは、白米や薄力粉、砂糖など精製度が高い糖質を主な原料として作られているためGI値が高くなります。

「低GI食品」としてあげられるものは、食物繊維を多く含む豆類や、野菜類きのこ類海藻類、ナッツ類などがあります。一般的に、食物繊維を多く含む食品は食品中の糖質が緩やかに吸収されるため、「低GI食品」となります。

また「高GI食品」も糖質の吸収を抑制する食物繊維を多く含む「低GI食品」を組み合わせることで、食事全体のGI値を低下させることが可能になります。例えば、うどんだけでは「高GI食」になりますが、野菜のお浸しや煮物などを加えることで食事全体のGI値は低くなります。このように「高GI食品」を摂る際には、摂り過ぎに注意し「低GI食品」を組み合わせることで食事のGI値を低下させることが大切です。

低GL食とは

「GL値」とは、グリセミック・ロード(glycemic load)の略で、「GI値」(glycemic index)にその食品に含まれる糖質の重量をかけた値のことをいい、血糖値を上昇させる程度を表す指標です。ハーバード大学公衆衛生学大学院の研究チームが考案し推奨しています。「GI値」は食品中の糖質が血糖値を上昇させやすいかどうかを示す指標ですが、「GL値」は食品中に含まれる糖質量を考慮しているため、例えば「高GI食品」に分類される人参は含まれる糖質量が多いわけではないということや、通常は一食当たりの摂取量が少ないため「GL値」は低くなります。一方で、パスタは「GI値」が56~69点以下の「中GI食品」に分類されていますが、主食であるため一回の摂取量が多くなり、「GL値」では「高GL食品」に分類されます。「GL値」が高い食品は、白米、ベーグル、コーンフレーク、スパゲッティ、食パン、マッシュポテトなどがあり、いずれも「GI値」が高く、一食の摂取量が多い食品になります。すなわち「GL値」が低い「低GL食」とは、血糖値を上昇させやすい「高GI食品」の摂取量を少なくし、「低GI食品」の摂取量を増やした食事のことをいいます。また「中GI食品」に分類されている食品でも摂取量が多くなればGL値は高くなるため注意が必要です。

 

大友博之 渋谷セントラルクリニック エグゼクティブ ディレクター

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