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記憶力をアップさせる「やまぶしだけ」 やまぶしだけ

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ヤマブシタケは日本全国に自生する、細く柔らかい針で覆われたフワフワしたキノコです。
若いうちは色が白く、成長するにつれて淡い茶色っぽくなってきます。白くて丸い形が山伏の胸に付ける飾りの「梵天(ぼんてん)」に似ていることから「山伏茸(やまぶしたけ)」と名付けtられたとされています。

木材腐朽菌の一種で、白腐れを起こします。多くのきのこと異なり、傘をつくらず、直径5~10㎝の球状で側面と下面より長さ1~5㎝の尖った針を無数に垂らします。
9~10月にブナなどの広葉樹の倒木や枯幹に発生します。日本では長野県が最も収穫量の多い産地となっていますが、基本的に様々な地方で目にすることができます。

天然物は生での入手が難しく、主に乾燥品として流通しています。ヤマブシタケの旬は秋です。原木栽培では春~初夏にかけても収穫することができます。
天然物はシカに食べられてしまうこともあり幻のキノコと呼ばれています。菌床栽培されたものは通年で流通しています。

天然物は苦みが強い場合がありますが、栽培物は苦みが少なくなるように栽培されています。

栄養素

多くのきのこに存在しているβ-グルカンは、やまぶしだけにも多く含まれています。また、やまぶしだけにしか存在しないと言われているヘリセノンは、近年、認知症予防に効果があると期待されている成分です。

効能・効果

抗がん作用:β-グルカンは、免疫力向上や生活習慣病予防だけでなく、がん細胞の活性化を抑制する働きがあると言われています。

便通促進:きのこ類に多く含まれている不溶性食物繊維は、腸内の水分を吸収して、腸の蠕動運動を活発にし、便秘改善に貢献します。

記憶力向上、認知症予防:やまぶしだけ特有であるヘリセノンは、脳内の神経細胞の分裂を抑制する物質で、記憶力低下だけでなく、近年は認知症も予防すると期待されています。

東洋医学的側面

・寒熱:平(体を温めも冷やしもしない)
・昇降・収散・潤燥:潤(体を潤す性質)
・臓腑:胃、脾、腎
・五味:甘(補い滋養する作用)
・毒性:なし

栄養素を上手に摂るための保存方法と調理方法

通常、購入するときは、おがくずで包んだ状態になっていることが多いです。購入後は、冷蔵庫で5日程度保存することができます。適度な大きさに切って、冷凍庫で保存することも可能です。
あまり見かけない食材で、中には苦みをもつものもありますが、歯切れがよく美味です。天ぷらにしたり、さっと湯通しして三杯酢や酢みそ、辛子しょうゆで和え、淡白な味と香りを楽しむことができます。また、吸い物や炒め物にもよく合い、すきやきに入れても美味しくいただけます。

 

【監修】 大友博之 渋谷セントラルクリニック エグゼクティブ ディレクター

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