旨み成分のイノシン酸がたっぷり!イタリア生まれの発酵食品「アンチョビ」 あんちょび
アンチョビはカタクチイワシを3枚下ろしにして塩漬けにし、発酵・熟成させたのちオリーブオイルに漬けて缶詰や瓶詰めとしたイタリア発祥の保存食です。
塩分が強いのでそのまま食べることはなく調味料として使うことで旨味や香りを発揮します。
アンチョビの材料のカタクチイワシの旬は、初夏から秋にかけてといわれていますが、1年を通して水揚げされており、さほど味は変わりません。
栄養素
アンチョビの原料であるカタクチイワシにはからだを温める作用と胃腸の働きを良くする作用があります。からだの気と血を補い、血の巡りをよくすると考えられており、動脈硬化など生活習慣病の予防効果が期待できます。
コレステロールや中性脂肪を減少すると言われているDHAやEPAが多く含まれます。
ビタミン・ミネラルではビタミンB12とナトリウムの成分が多いです。
アンチョビの栄養成分(一尾あたり)
エネルギー・・・41kcal
タンパク質・・・2.05g
脂質・・・3.36g
炭水化物・・・0.37g
ビタミンA・・・1.55μg
ビタミンD・・・0.44μg
ビタミンE・・・0.19mg
ビタミンK・・・0.84μg
ビタミンB2・・・0.02mg
ナイアシン・・・1.07mg
ビタミンB6・・・0.06mg
ビタミンB12・・・1.53μg
葉酸・・・2.09μg
パントテン酸・・・0.12mg
ビオチン・・・2.09μg
ビタミンC・・・0.12mg
効能・効果
■DHA
DHAは正式名称を「ドコサヘキサエン酸」といい、体内で合成できない不飽和脂肪酸のうち、多価不飽和脂肪酸のn-3系脂肪酸(オメガ3脂肪酸)です。DHAには体内の免疫反応を調整したり、脂肪燃焼の促進、血管壁の収縮など多くの働きがあるといわれています。さらにアレルギー疾患や生活習慣病の予防や改善のほか、脳の神経細胞の情報伝達を促進する働きによって言語や行動、認知機能などにもよい影響が期待されています。
■EPA
EPAは正式名称を「エイコサペンタエン酸」といい、DHAと同様の多価不飽和脂肪酸のn-3系脂肪酸(オメガ3脂肪酸)に属します。体内の免疫反応の調整やアレルギー疾患、生活習慣病の予防や改善に効果が期待できます。また、血液の凝固を抑える働きがあるため、血栓の予防薬としても利用されることがあり、中性脂肪の増加による動脈硬化や脂質異常症の改善に役立つ成分として特定保健用食品や機能性食品としても利用されています。
■ビタミンB12
ビタミンB12はアミノ酸の代謝や核酸の代謝などの補酵素として働きます。また葉酸と協力して正常な赤血球をつくり出すために重要なビタミンであり、植物性の食品にはあまり含まれていないため、動物性の食品から摂るように心がけましょう。
■ビタミンD
アンチョビにはビタミンDが豊富に含まれています。ビタミンDは日光に当たることにより体内で作られる成分ですが、それだけでは足りないので食べ物から摂取する必要があります。ビタミンDはカルシウムの吸収をサポートする働きをするので、骨や歯を作るためには欠かせない栄養素です。また、免疫機能にも関わるため風邪などの病気予防に効果が期待されます。
■ビタミンA
アンチョビには、粘膜や皮膚の健康を維持するために大切な栄養素であるビタミンAが含まれています。体内に病原菌が侵入してこようとしたとき、それを防ぐ役割をするのは粘膜です。また、ビタミンA台は抗酸化作用を持ち、活性酵素を取り除いてくれるため、がんの予防や老化、動脈硬化予防効果が期待できます。
■カルシウム
カタクチイワシには豊富なカルシウムが含まれています。カルシウムは骨の中に貯蔵されていて、身体のどこかでカルシウムが不足すると骨から溶け出したカルシウムは血液に乗って不足したところへ届けられます。アンチョビにはカルシウムの吸収をサポートする働きを持つビタミンDも含まれているので、効果的にカルシウムを取り入れることができます。
■セレン
セレンは土壌や水など自然界に広く存在するミネラルです。人の体内では主に肝臓や腎臓に存在し、甲状腺ホルモンの活性化に必要なほか、有害物質を無毒化したり、血栓の予防にも役立ちます。強い抗酸化作用があり、アンチエイジングや生活習慣病予防、がんの予防効果についても期待されています。
■チロシン
チロシンはアミノ酸の一種で、神経伝達物質であるドーパミンやアドレナリンの原料となるので、神経や脳のサポートをする成分です。うつ病の改善に効果があるといわれています。
■タウリン
タウリンはアミノ酸の一種で、魚介類に多く含まれている成分です。ヒトでは真菌や筋肉、脳、肺などに含まれますが、体内のタウリン量の50~80%は筋肉に存在しています。タウリンは肝臓で胆汁酸の分泌や幹細胞の再生をサポートする働き、細胞膜を安定化させる働きがあることが分かっています。
東洋医学的側面
・寒熱:温(穏やかに体を温める)
・昇降・収散・潤燥:潤(体を潤す性質)
・臓腑:脾・肝・腎・心
・五味:甘(補い滋養する作用)・鹹(軟化させる作用)
・毒性:なし
胃腸を健康にする
気血を補う
脳を機能を高める
情緒を安定させる
血の巡りを良くする
筋骨を丈夫にする
栄養素を上手に摂るための保存方法と調理方法
アンチョビは缶詰、瓶詰、チューブとも未開封であれば常温保存が可能ですが、開封後は冷蔵庫で保管するようにしましょう。冷蔵の保存期間の目安は約1ヶ月程度です。
瓶詰の場合、使い切れなかった分はアンチョビが完全にオイルに浸かった状態にして冷蔵庫で保存しましょう。オイルが足りないときは、オリーブオイルを足しておくとよいでしょう。
缶詰の場合、開封後に使い切れなかったものは清潔な保存容器や瓶などに入れ替え、アンチョビがオイルに十分に浸かった状態にして冷蔵庫で保存しましょう。
フィレは冷凍保存することができます。使いやすい枚数をラップの上に平らに並べ、できるだけ空気を抜いて包み、冷凍保存用のチャック袋などに入れて冷凍しましょう。解凍は自然解凍か凍ったまま加熱調理をしても大丈夫です。
保存状態によってはオイルが酸化したり、味や風味が変わることがあるので早めに使い切るようにしましょう。