F-1で知ったパルミジャーノ・レッジャーノの魅力と魔力
乳糖フリーで安全なチーズ
先週末は特別なご招待でフェラーリのパドックスタッフと同じ環境下で観戦させていただきました。
レース中にピットで熱く作業している姿にも心打たれましたが、何よりも興奮したのがチームハウス。だってF-1ドライバーのルクレール、サインツもふらっとコーヒー飲みにくるなんて、ファンならずとも垂涎の環境。
そしてDr.ピエール的に驚いたのが、フェラーリがランチにも手を抜いていないこと!
フェラーリは食通の州とも知られるエミリア・ロマーニャ州が本拠地だけあって、ランチに出たボロネーゼは日本で一番美味しいのではないかと思う。
その理由はおそらくパルミジャーノ・レッジャーノのクオリティーにあり。
普段のDr.ピエールは乳糖不耐症なので乳製品を避けているのですが、パルミジャーノ・レッジャーノだけは別!
というのも乳糖(ラクトース)の含有量が100gあたり0.1g以下とほとんど含まれていないから、お腹を壊す心配もなくパクパク食べられるのです。
乳糖不耐症~乳糖の量~
ここで乳糖不耐症についてお話しましょう。
乳糖不耐症とは、小腸から分泌されるラクターゼという乳糖分解酵素が不足していることによって、乳糖をグルコースとガラクトースに分解することができない症状です。
乳糖を分解できないとお腹が痛くなったり、水っぽい下痢になってしまったりすることが多いです。ちなみに、正常に分解できる人はこれをエネルギー源として利用することができます。
生まれたての赤ちゃんから5歳頃まではラクターゼは多く分泌されるので母乳が飲めないということはありませんが、大人になるにつれてラクターゼが分泌されなくなって来る可能性があります。
これまでは下痢にならなければあまり問題ないとされてきましたが、人によっては分解されない乳糖による腸管の粘膜が傷つくことによって体内に慢性的な炎症を引き起こす可能性があることが話題になっています。
パルミジャーノ・レッジャーノに乳糖が少ないのには理由があって、製造の過程で乳酸菌のミクロフローラによって乳糖が発酵されるから。
ちなみに乳糖を含まないチーズは他にもグラノパダーノや青カビのゴルゴンゾーラがありますよ。
この3つであれば、乳糖不耐症の人でもお料理のコクを出したい時には困らないはず。
- ハードチーズ:製造過程で乳糖が失われるので、乳糖不耐性の人でも食べやすくなっています。パルメザンチーズやグリュイエールチーズなどが有名。
- セミハードチーズ:ハードチーズよりは乳糖が多く含まれます。マンチェゴチーズやカマンベールチーズなどが有名。
- フレッシュチーズ:カッテージチーズやモッツアレラチーズは乳糖を多く含むので注意が必要です。
フェラーリチームのおかげで、期せずして”お腹が空いては戦はできぬ”ことを再認識したDr.ピエールでした。
〔大友“ピエール” 博之〕
日本のみならずロサンゼルス、フランクフルト、香港、バンコクに拠点を持ち、個別化医療(precision medicine)を実践している。免疫栄養学に基づいた食事指導、ホルモン補充療法、運動療法を取り入れた治療で定評がある。
・ 医師 日本抗加齢医学会専門医 / 欧州抗加齢医学会専門医 / 日本麻酔科学会専門医
・ 西洋薬膳研究家、シェフドクターピエールとしても活躍中
・ 渋谷セントラルクリニック代表
・ 一般財団法人 日本いたみ財団 教育委員
・ 料理芸術や食の楽しみといった価値感を共有するシェフなどが集う日本ラ・シェーヌ・デ・ロティスール協会のオフィシエ
・ ワインにも造詣が深く、フランスの主要産地から名誉ある騎士号を叙任している。
シャンパーニュ騎士団 シュヴァリエ / ボルドーワイン騎士団 コマンドリー /ブルゴーニュワイン騎士団 シュヴァリエ
2022年10月14日