⑤ 下部尿路症状 サプリメント ノコギリヤシと亜鉛に気をつけて
Dr.大友
渋谷セントラルクリニックエグゼクティブディレクター
おしっこ問題とか勃起もそうなんですけど正直な話、サプリメントを飲んでいる方は多いと思いますが外来に来るときは既に何か飲んでいる方は多いですか。
Dr.小池
JR東京総合病院泌尿器科部長
多いですね。
Dr.大友
どのようなサプリメントを飲んでいるのですか。
Dr.小池
今一番多いのはノコギリヤシですね。
Dr.大友
ノコギリヤシ!
それは何を目的に飲んでいるのですか。
Dr.小池
おしっこを出やすくするために飲まれている方が多いです。
Dr.大友
ガイドラインにもありますが何に効くのですか。
Dr.小池
ノコギリヤシのいいところは抗炎症作用です。前立腺肥大にある炎症を抑えるというところです。
試してみることは悪いことではないと思います。
Dr.大友
それで良くなる方もいるのですか。
Dr.小池
はい、います。
あとは亜鉛です。
Dr.大友
昔から亜鉛は男性の勃起にもいいと書いてあるのをみたことがあります。
Dr.小池
サプリメントで飲んでいる方もいらっしゃいます。
Dr.大友
どうですか。
Dr.小池
亜鉛はいいと思いますが、ガイドラインにも書いてあるように摂り過ぎると良くありません。
Dr.大友
かえって症状が悪くなる。
Dr.小池
はい。
おしっこが出にくくなったり出なくなってしまったり、合併症が進行することがあります。
亜鉛の摂り過ぎには注意が必要です。
Dr.大友
ちなみに亜鉛の摂り過ぎとはどれくらいなのですか。
Dr.小池
ガイドラインに記されているのは1日80mgです。
Dr.大友
80mg!
すごい量ですね。
Dr.小池
はい、すごい量です。
Dr.大友
私は一番多くて50mgくらいです。80mgは相当な量ですね。
治すために神経質になって飲んでしまうのでしょうね。
Dr.小池
そういう可能性はあります。
あとは量がわからない。牡蠣のエキスだと実際何mg入っているかわからないですから。
Dr.大友
2錠から4錠が適切ですと書いてあっても、効かないなと思って知らないうちに8錠くらい飲んでいる可能性がありますよね。
Dr.小池
可能性があります。
Dr.大友
それはむしろヤバい。
Dr.小池
そうですね。
Dr.大友
かえって悪化する可能性がある。それは気をつけないといけませんね。
Dr.小池
はい。
Dr.大友
亜鉛を飲みたければ、亜鉛〇mgと表記されているものがいいですね。
Dr.小池
はい。
あとはリコピンですね。
Dr.大友
リコピンも抗酸化作用で改善することもある。
Dr.小池
あります。リコピンは抗酸化作用があるのでいいです。
あとはビタミンDです。
Dr.大友
私はビタミンDが大好きです。
すべてに効きますし今のコロナウィルスに対しても免疫力を上げてくれるといわれてますが、尿路症状にも効果があるのですね。
Dr.小池
そうですね。
ビタミンDはアボルブに似た作用がありまして、アンドロゲンの受容体を阻害する作用がありますのでビタミンDは有効です。
Dr.大友
摂り過ぎて悪い報告もないですね。
Dr.小池
ないです。
Dr.大友
ということは、気をつけなければいけないことは亜鉛だけですか。
Dr.小池
亜鉛の摂り過ぎには気をつけて頂きたいです。
Dr.大友
80mgは日本のサプリメントではなかなかいかないと思いますけどね。
売っているのは大体15mgくらいなのでボリボリ食べるような感じ。
Dr.小池
それを毎日続けるとまずいです。
Dr.大友
基本的にミネラルは測定しながらの方が安全ですね。
Dr.小池
そうですね。
Dr.大友
ノコギリヤシがファーストチョイス。
そしてリコピンがいいですね。何か月くらいを期待したらよいですか。
Dr.小池
1か月くらいで効果がないと思ったら泌尿器科に来てください。
Dr.大友
金銭的には泌尿器科で受診した方がお安いのですよね。
Dr.小池
はい。
お安いですし泌尿器科で処方する薬の方が効果があります。ご自身で頑張らずにすぐに受診して頂きたいです。
Dr.大友
恥ずかしがらずに。外来ですと看護師さんがいますし、何と相談すればいいのですか。
Dr.小池
外来に来た方には問診表を記入して頂きます。
デリケートなことなので恥ずかしくないようなかたちで対応しています。安心して受診してください。
Dr.大友
サプリメントを1か月くらい飲んで効果がなければ、泌尿科の先生にご相談するのが一番ですね。
ありがとうございました。
大友博之 渋谷セントラルクリニック エグゼクティブ ディレクター
日本抗加齢医学会専門医、日本麻酔科学会専門医、日本医師会認定産業医、国際抗加齢医学会専門医(WOSAAM)
免疫栄養学に基づいた食事指導、ホルモン補充療法、再生医療、運動療法を取り入れた新しい統合医療をベースにした診療で著名人にもファンが多い。最先端の西洋医学に通じている一方で、「鍼治療の魔術師」と呼ばれるほど鍼治療の名手で東洋医学にも造詣が深い。
またワインと健康食の愛好家しても名高く、ボルドー、ブルゴーニュ、シャンパーニュのワイン騎士団から名誉ある「シュバリエ」を叙任されているほか、料理芸術や食の楽しみといった価値感を共有する美食家が集う日本ラ・シェーヌ・デ・ロティスール協会の「オフィシエ」でもある。
小池祐介 JR東京総合病院泌尿器科部長
日本泌尿器科学会専門医指導医、泌尿器腹腔鏡技術認定医、日本排尿機能学会認定医、がん治療認定医、日本臨床腎移植学会腎移植認定医
趣味は90年代洋楽ロック鑑賞となかなか上手くならないゴルフ